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仁志の気持ち。

2005-06-06 00:51:25 | 2005年シーズン
 
人の気持ちを、他人が知ることはなかなか出来ない。
だから、仁志の気持ちを、我々は知ることが出来ない。
よって我々は、仁志の言動や態度、顔色などを映像から見て取り、
彼は今、こんな気持ちでいるのではないか、と想像したりする。
仁志は今、どんな気持ちでいるか。

8マン。
かつて、若大将こと原辰徳がつけていた背番号である。
小学生の時(だったか?)懸賞で手に入れた原のサイン入りバットを宝物のようにし、
それ以来、原を目指し、サード、クリーンナップ、そしてジャイアンツへの入団を実現した。
ルーキーの年から、同期の清水と共にレギュラーを獲得(清水の試合出場は若干少なかったが)、
1番バッターとして、新人賞を手にした。

中畑、篠塚、原、駒田、吉村、槙原、斉藤、桑田、そして仁志らの時代。
ゴジラ松井を打線の中心に、仁志、清水、元木らが、
高橋ヨシノブや上原、ニ岡などをひっぱって新たなジャイアンツ黄金時代を築いて行くはずだった。
ところが。FA以来、落合、清原、広沢、ハウエル(だっけ?ヤクルトの4番を打っていた)、
江藤、工藤、あげくはローズに小久保と、毎年毎年、次から次へと大物選手がやってくる。
そして使えない外国人選手が目白押し。
すべての移籍選手に問題があるとは言わない。
チームにとって良い結果をもたらした選手もいるだろう。
イヤ、そういう選手は多かったに違いない。
しかし、仁志が見て来たジャイアンツ、めざしていたジャイアンツ、
そして自分達が築いて行こうとしていたジャイアンツは、
彼が入団した頃から迷走を始め、そして加速するように消えて行った。
これはあくまでも勝手な想像だから、無責任に書いているのだが、
仁志の言動から、一連の補強に対する苛立ちのようなものを伺い知ることが出来る。

何年前のどの辺りの選手がFAで入って来た年かは忘れたが、
シーズン前、インタビュアーにその年の豊富、優勝への意気込みのようなコメントを求められた際、
彼は「単に優勝するということだけではなく、他のチームとどれくらい差が付けられるか、
ブッチギリで優勝しないと意味がない」という発言をした。

もともと無愛想ぎみな応え方をするところはあるが、その時の彼の口調や表情には、
少なからず怒りのようなものが込められているように見えた。
そして去年のシーズンオフ、大リーグへの移籍を希望。
結局、現実には至らず、残留する事になったが。
そこがジャイアンツの選手の難しい所でもあり贅沢な所でもある。
ジャイアンツを去り、他のチームへ移籍するという勇気。
ならばいっそ大リーグへ、という図式は容易に想像がつくが。
はたして彼がそうであったかは判らない。

そのひとつの例が、松井秀喜であったように思えてしかたがない。
松井が大リーグ移籍を決意表明したのは、その年の日本シリーズで日本一に輝いた日の翌日だった。
彼は決断に至るまでの経緯や思いを記者会見などで発言していたが、
それまで、松井が大リーグへ行くなどという報道や彼自身の発言などは一切、表に出ていなかった。
まさか、という思いだった。
しかし、その発表を知る前日、ようするに日本シリーズの最終戦が行われた日、
松井が何かを決断した、という表情を見せた瞬間があった。
その表情は、全国にTV放送されていた。その表情を見て取った瞬間、「あ、何かを決断したな」と思った。
FA移籍か残留か。世間の思いは「移籍などあり得ない」が主流だったと思う。

その表情は、日本一に輝いた瞬間にあった。
優勝、日本一が決まった瞬間、テレビカメラはマウンドに集まる選手達を映していた。
もちろんその中の映像に松井がセンターから走り寄る姿も含まれていた。
笑顔で抱き合う選手達。全員が笑顔だった。
もちろん外野から走ってくる選手たちも。
しかし、センターから走ってくる松井の顔に、他の選手のような笑みはなかった。
「終わった」「これで終りにしよう」そこまで言ってしまうとあと付けになってしまうが、
その時、明らかに、何かを決意した表情を見せた。
「もうこのチームにオレは必要ない」なのか、
「もうこのチームにオレの居場所はない」なのか、
彼の本意は誰にも判らない。
しかし、そのあとの祝賀会での彼の表情には、何かを決意した晴れ晴れしさがあった。

松井がめざした理想のチーム。
それがどういうものだったのか、あるいはそんなものあったかどうかさえ判り得ない。
しかし、少なくとも、その時のジャイアンツに彼の理想がなくなっていたことは、間違いではないように思える。
その時の松井と、昨年、大リーグを口にした仁志とが、どこか重なって見えるのだ。
「このチームには、自分の理想はもうない」と。
これはあくまでも勝手な想像である。
なんの根拠もない。
だがもし、生え抜きの選手達にこういった思いがあるとしたら、
それはチームにとって恐ろしい事であり、ファンにとって非常に寂しい。




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