AtoZ Nanotechnologyはオーストラリアのナノテク情報発信会社であるが、時々特定の分野でのナノテクノロジーの現状を紹介している。これまでもいくつか紹介してきたが、化粧品産業でのナノテクノロジーの記事を紹介しておこう。
ナノ粒子が化粧品に使われる理由は、紫外線吸収効果は高めるためと、有効成分を細胞膜を透過しやすいナノ粒子に乗せて運ぶことによって(ドラッグデリバリー、9/6参照)、その効果を増進するためである。
http://www.azonano.com/article.aspx?ArticleID=3100
日焼け止めクリームは紫外線を吸収する酸化チタンや酸化亜鉛粒子などを含むが、これらの粒子をナノサイズにすることによって紫外線吸収効果が高まり、また可視光線を反射しやすくする。しかしながら、最近の研究によるとその安全性が必ずしも保証されてるとはいえない。これらのナノ粒子は光触媒の作用をもつ。すなわち紫外線を吸収することによって周辺の分子を分解し、ラジカルと呼ばれる反応性の高い分子を作り出す。これらのラジカルがガン発生の原因となる可能性がある。またナノ粒子が血流にまぎれ込んだ時の人体に対する影響はあまり明らかになっていない。
ローションクリーム、老化防止クリーム、などスキンケアクリームの有効成分を細胞内に運び込むのにナノ粒子が用いられる。これらのナノ粒子は、脂質やデンドリマと呼ばれる枝分れした分子であるが、毒性を持たない。また生物適合性が高く拒絶反応を起こさないことが知られている。しかし皮膚細胞に用いたときその有効性を疑問視する向きもある。
ナノ粒子はいろんな面でその効果を発揮しつつあるが、その危険性には常に注意を払う必要がある。リスクに関する研究も多くなされている。政府も高い関心を示していて、アメリカ政府(FDA,食品医薬品局)、EUともに勧告を発している。オーストラリアはまだだそうだ。さて日本では。
http://www.nanowerk.com/news/newsid=24971.php?utm_source=feedburner&utm_medium=email&utm_campaign=Feed%3A+nanowerk%2FagWB+%28Nanowerk+Nanotechnology+News%29#.T5IoK5mc30s.google
http://www.nanowerk.com/news2/newsid=26557.php