西京極 紫の館

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燕雀の夢  天野純希/著  角川書店

2020年05月05日 18時18分56秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
群雄割拠の時代に、一際異彩を放つ戦国の英傑たちの父は、息子たちに何を夢みたのか。“うつけ殿”と揶揄される息子に対し、ただ1人恐れを抱く織田信長の父・織田信秀を描いた「黎明の覇王」ほか、上杉謙信の父・長尾為景「下剋の鬼」、武田信玄の父・武田信虎「虎は死すとも」、伊達政宗の父・伊達輝宗「決別の川」、徳川家康の父・松平広忠「楽土の曙光」、豊臣秀吉の父・木下弥右衛門「燕雀の夢」の珠玉の6篇を収録した傑作歴史小説。

【総合評価】 ☆☆☆☆★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆☆☆★
  独創性 ☆☆☆☆★
 読み易さ ☆☆☆☆★

【西京極の読後感想】
誰もが知っている有名な戦国武将の父親って言うと皆「はて、誰だったっけ?」となるものですが、その父親にスポットを当てた短編集。読み物としての面白さにはそれぞれで差はあるものの、著者の独自解釈の入ったお話もあり楽しめました。戦国モノを読み尽した歴史通の為の箸休めとしてオススメ。以下、各エピソード毎に寸評をば。

下剋の鬼:長尾為景が謀略の限りを尽くし主家を討ち越後を統一するまでを描いた一篇。真偽のほどは定かではないが、後継者の景虎(後の上杉謙信)が生涯義を貫いたってのは皮肉よね。
虎は死すとも:武田信玄が甲斐から追放した父・信虎がどんな晩年を過ごしたかを描いた本作。最後は“息子に認められたかった”のだと自覚するまでの行はこれまた諧謔の妙味あり。
決別の川:伊達政宗の父・輝宗のドラマチックな最期はNHK大河ドラマ『独眼竜政宗』でも描かれていて有名なエピソード。どこまでもお人好しな旧世代輝宗と、新人類政宗の対比が面白かった。
楽土の曙光:今年の大河『麒麟がくる』では家康の父・広忠を暗殺したのは織田信長ってことにしてましたが、本作では犯人は〇〇〇〇になってます。ソレが誰か知りたい人は本作を読みましょうw
黎明の覇王:本作で一番面白かったのがコレ。信長の父・信秀が尾張統一の為に企てた起死回生の策とは?その信秀に死を齎したのは誰か?2つの謎が仕組まれた秀作。
燕雀の夢:一般的に秀吉は百姓の出と言われますが、本作では父・木下弥右衛門は半農ながらも武士として描かれます。その理由は最後まで読み進めると判るのですが…ニヤリ

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ファイアマン(上・下)  ジョー・ヒル/著  小学館

2020年04月13日 20時15分15秒 | 西京極の本棚
       
【紹介文】
皮膚に鱗状の模様が現れ、身体から発火して焼死  未知の疾病“竜鱗病”が突如広まり、猛威をふるいはじめた。学校保健師のハーパーは、妊娠と同時に感染が発覚。錯乱した夫に殺されそうになるが、消防士姿の謎の男“ファイアマン”に救われ、迫害された感染者たちが身を寄せ合う秘密のキャンプに導かれる。外の世界では自警組織が感染者狩りをしてまわるようになり、やがてハーパーの暮らすコミュニティの中にも不穏な空気が流れ…。ニューヨークタイムズベストセラー1位獲得、終末期のサバイバルを描く大スペクタクルエンタテインメント!(邦訳:白石朗)

【総合評価】 ☆☆☆★★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆☆★★
  独創性 ☆☆☆☆★
 読み易さ ☆☆★★★

【西京極の読後感想】
キングの息子ジョー・ヒルの長編作。総ページ数1200ページ超と読むのはかなり大変。読み始めた頃は新型コロナウイルスが流行する前だったのに、読み終わった今では小説と現実が完全にリンクしちゃいました(苦笑)所謂パンデミック・ディストピア物なのですが、他とちょっと違うのは感染者側の視点で描かれる物語だというところ。上巻で主人公が感染し周囲から迫害を受ける恐怖を、下巻では安息の地と思われた感染者キャンプが崩壊していく恐怖をそれぞれ描いています。若干余計なエピソードが混じってテンポが悪くなったように感じたのがちょっと残念。

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怪獣生物学入門  倉谷滋/著  集英社インターナショナル

2020年01月25日 16時02分55秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
ゴジラ、ガメラ、マタンゴ、ドゴラ、『寄生獣』のパラサイトなどなど、怪獣たちは日本のSFを牽引し、最近では海外での評価も高まっている。その一方で怪獣たちは荒唐無稽な作り物のように思われてはいないか。怪獣とはどのような生物なのか?その形態や劇中の設定、登場人物たちの台詞などを手がかりに、生物学的な視点で徹底的に考察していく。そこから見えてきたのは、科学とSFを繋ぐ新たな発見だった。

【総合評価】 ☆☆★★★(満点は☆5つ)
  実用性 ☆★★★★
  独創性 ☆☆☆★★
 読み易さ ☆☆★★★

【西京極の読後感想】
専門が形態進化生物学である著者が色々な特撮怪獣の造形を分析する内容なのだが、そもそも着ぐるみで人が入るあるいは操演する前提でデザインされた怪獣たちを現実の生物進化の理屈で語ろうとしているので、説明が難解な割には結論が曖昧。シン・ゴジラの乱杭歯の秘密は結局解らず仕舞いだったけど、ジラースの命名が“ゴジラ”にエリマキをつけたから“ジラ”ースなんだと初めて気付かされた(むしろ今まで気付かなかったのが不思議…)。

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怪奇日和  ジョー・ヒル/著  ハーパーコリンズ・ジャパン

2020年01月15日 23時26分47秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
記憶を吸い取る“ポラロイドカメラ”を手にした謎の男が現れる『スナップショット』、森林火災が迫る町で起きた不可解な銃撃事件を追う『こめられた銃弾』、スカイダイビング中に不思議な雲に迷い込んだ男の追憶『雲島』、奇妙な雨が降り、あらゆものが命を奪われていく『棘の雨』の4篇収録。デビュー作にしてブラム・ストーカー賞に輝いたモダンホラーの奇才が放つ、怪奇幻想文学中篇集!

【総合評価】 ☆☆☆★★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆☆★★
  独創性 ☆☆☆☆★
 読み易さ ☆☆★★★

【西京極の読後感想】
このジョー・ヒルという作家、実はあのモダンホラーの巨匠・スティーヴン・キングの子供。果たして息子は父を超えたのか?それを確認する為にまずは短編集を、と本書を手に取った。結論から言えば…う~ん、テーマ選びも、話運びも、まだまだやなという感想。ただそれは伸び代だとも言えるので、今度は長編も読んでみようと思う。
スナップショット:写真を撮られると記憶が失われる。よくありそうな題材ではあるけれど、そこを老々介護や痴呆といった現代的な問題と絡める事で怖さを演出している。
こめられた銃弾:本作の中では一番面白かった。250ページほどあって短編というより中編。結末が最も破滅的であるところもホラーとしては秀逸。
雲島:雲の上にもし乗れたら…というお話。主人公がキモオタってところが面白いが、オチにもう一捻り欲しかった。
棘の雨:キングの短編『霧』によく似た異常気象から始まって人間心理の恐怖で終わる一作。主人公の行動動機がやや強引なのと、異常気象の原因が終盤明確になり過ぎてちょっと興醒め。

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夜葬  最東対地/著  角川書店

2019年11月14日 20時38分10秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
ある山間の寒村に伝わる風習。この村では、死者からくりぬいた顔を地蔵にはめ込んで弔う。くりぬかれた穴には白米を盛り、親族で食べわけるという。この事から、顔を抜かれた死者は“どんぶりさん”と呼ばれた―。スマホにメッセージが届けば、もう逃れられない。“どんぶりさん”があなたの顔をくりぬきにやってくる。脳髄をかき回されるような恐怖を覚える、ノンストップホラー。第23回日本ホラー小説大賞・読者賞受賞作!

【総合評価】 ☆☆☆☆★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆☆★★
  独創性 ☆☆☆☆★
 読み易さ ☆☆☆☆★

【西京極の読後感想】
Jホラーの先駆けとなった『リング』を彷彿とさせる本作。現象としてのオカルト要素と、呪いを解除する方法を探るミステリー要素を両立させているところも似ている。LINE(っぽいアプリ)とスマホナビを使ってるのもイマドキっぽくてイイ!期待したほどの怖さはないけど、映画化された方が怖いかも。そうなったら観るだろうなぁ。映画化されないかなぁ…

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