皇居の落書き

乱臣賊子の戯言

愛子天皇の実現につき、最大の難関は天皇陛下の御了解

2024-05-31 23:13:51 | 皇室の話(3)
皇室典範は法律であり、その改正等については、国政に関する事項であるから、皇室は関与することができない。

となれば、天皇陛下の御了解は、手続として不要ということが、建前ではあるのかもしれない。

しかしながら、皇室典範の改正は、皇室の方々の人生を大きく変えてしまうことになるものであるから、実行するとなれば、十分な説明は必要であろう。

そして、ご質問があれば、十分に答えることができなければ、ならないのではないだろうか。

筆者としては、皇位継承者の選定は、本来、天皇陛下の専権事項であるという考え方に立っているので、十分に納得いただき、御了解いただくことは、必須であると考えている。

さて、このように考えた場合、女系女性拡大という方策を実現しようとする場合、それは愛子内親王殿下の皇位継承を意味することになると思うが、天皇陛下の御了解を得られる見込みはどの程度あるだろうか。

筆者は、女系女性拡大支持の立場の方々が、天皇陛下の御了解という問題について、どのように捉えているかということが、非常に気になるのである。

愛子内親王殿下の資質の素晴らしさへの称賛、秋篠宮家への失望。
こういうことを主な動機とする議論であれば、到底受け入れてもらえないであろう。
むしろ、皇室の中に亀裂を生みかねない議論ということで、迷惑に思われる可能性が高い。

天皇陛下に御了解をいただくためには、おそらく、以下の論点について、十分な説明ができることが必要だろう。

1 制度の全体像が具体的に描けているか。
  
2 皇室の歴史、伝統との整合性はどうか。

3 現行憲法との整合性はどうか。

4 皇室の方々の生活はどのようになるか。無理なく長続きできるか。

5 国民の理解が得られるか。

これまでの議論の様子を見ると、2,3、5に重点が置かれているが、1はまだまだこれからという感じであり、4はあまり考慮されていないようである。

ただ、4も、皇室の長という天皇陛下のお立場からすれば、極めて重要な問題であることは間違いない。
とりわけ、秋篠宮皇嗣殿下のお立場をどうするか、という問題である。

令和2年11月8日には、立皇嗣の礼が行われており、立皇嗣宣明の儀において、天皇陛下が広く内外に宣明をしているわけである。

仮にというのも恐れ多いことではあるが、天皇陛下から、
「皇嗣殿下の立場はどうなるのだ」
「立皇嗣の礼をすでに行っているというのに、立場を変えるというのか」
「立皇嗣の礼、皇嗣という立場の重みをどう考えているのか」
といった御質問があった場合に、どう答えるか。


筆者の目から見ても、秋篠宮同妃両殿下は、上皇上皇后両陛下との関係を重視するほどには、天皇皇后両陛下との関係を重視しているようには見えず、それどころか張り合っているようにさえ見えるのである。

しかし、間違いなく、天皇陛下は、皇嗣同妃両殿下を大切にされている。

昨年11月、宮内庁長官は、秋篠宮邸改修工事の経緯についての説明を行い、「両殿下のお気持ちに十分お応えできず、大変心苦しく思っている」と述べて、秋篠宮同妃両殿下を擁護した。
(令和5年11月22日、日テレNEWS配信「宮内庁長官 秋篠宮邸改修工事の経緯を改めて説明「結果的に費用高額に」「両殿下のお気持ちに十分お応えできず、大変心苦しく思っている」」)

これよりも前、予算に関する説明の中で、宮内庁担当者は秋篠宮同妃両殿下を見限るような対応(見ごろし)をしていたのであるが、路線を変更して宮内庁長官が擁護したのである。

それも、宮内庁が落ち度を認めるという形での擁護の仕方であり、こういう擁護の仕方を宮内庁長官が行うとなれば、天皇陛下のご意向(かばってあげて欲しい)があったということは、ある程度知性のある者であれば、自然に理解できるであろう。

改めて、天皇陛下の偉大さを感じるところではあるが、そのような陛下にご納得いただくということは、どれだけ大変なことか。

皇室も国民も、皆が幸せになることができるということにつき、十分な根拠と覚悟が必要となるのである。

女系女性拡大支持の立場の議論において、今後、天皇陛下の御了解という問題意識を持った検討がなされていくことを期待したい。
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毎日新聞・第49回衆議院選挙候補者の女性天皇賛否アンケート結果(東京編)

2024-05-30 21:16:15 | 政治家
皇位継承の問題につき、ここしばらく「政治家」といった括りで述べたりしているのだが、「政治家」にも様々な意見があるかもしれない。

毎日新聞のサイトにて、第49回衆議院選挙における候補者の情報が掲載されており、各候補者のアンケートの結果も掲載されている。

アンケートには、「問16:皇族の女性が天皇になることに賛成ですか、反対ですか。」が含まれており、回答は、賛成、反対、非該当(設問で示した選択肢以外の回答)、無回答の4つに区分されている。

候補者に対するアンケートなので、当選しなかった方の分も掲載されているが、とりあえず、当選した方の回答を、東京について取り出すと、以下のようになっている。

非該当となっている回答例が多くなっている。シンプルな問だと思うので、その立場については分かりやすく示して欲しいものだ。


「問16:皇族の女性が天皇になることに賛成ですか、反対ですか。」

東京1区
 山田美樹  自民 回答:無回答
 海江田万里 立憲 回答:賛成
 小野泰輔  維新 回答:非該当

東京2区
 辻清人   自民 回答:非該当

東京3区
 松原仁   立憲 回答:無回答
 石原宏高  自民 回答:非該当

東京4区
 平将明   自民 回答:非該当

東京5区
 手塚仁雄  立憲 回答:賛成
 若宮健嗣  自民 回答:反対

東京6区
 落合貴之  立憲 回答:非該当
 越智隆雄  自民 回答:賛成

東京7区
 長妻昭   立憲 回答:賛成

東京8区
 吉田晴美  立憲 回答:賛成

東京9区
 山岸一生  立憲 回答:賛成

東京10区
 鈴木隼人  自民 回答:反対
 鈴木庸介  立憲 回答:賛成

東京11区
 下村博文  自民 回答:無回答

東京12区
 岡本三成  公明 回答:賛成
 阿部司   維新 回答:非該当

東京13区
 土田慎   自民 回答:反対

東京14区
 松島みどり 自民 回答:賛成

東京15区
 柿沢未途  自民 回答:賛成

東京16区
 大西英男  自民 回答:非該当

東京17区
 平沢勝栄  自民 回答:反対

東京18区
 菅直人   立憲 回答:賛成
 長島昭久  自民 回答:非該当

東京19区
 末松義規  立憲 回答:賛成
 松本洋平  自民 回答:非該当

東京20区
 木原誠二  自民 回答:反対
 宮本徹   共産 回答:賛成

東京21区
 小田原潔  自民 回答:非該当
 大河原雅子 立憲 回答:賛成

東京22区
 伊藤達也  自民 回答:反対
 
東京23区
 小倉将信  自民 回答:反対
 伊藤俊輔  立憲 回答:賛成

東京24区
 萩生田光一 自民 回答:非該当

東京25区
 井上信治  自民 回答:反対
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男性配偶者の問題

2024-05-29 21:55:10 | 皇室の話(3)
筆者は、皇位継承資格につき、女系・女性拡大支持の立場であるが、そういう方向に政策を進めるための運動家ではないつもりである。

運動家であれば、その推進にマイナスになることについては口を閉ざすべきということになるであろうけれども、女系・女性拡大を実現した場合の懸念として、男性配偶者の立場の問題があることは、述べておかなければならないと思った。

佳子内親王殿下のギリシャ訪問の報道が連日続いており、当初は、報道ぶりが過剰であるように感じたのであるが、連日のスケジュールを一生懸命にこなされて立派であると思うし、成功であったと思う。

皇室の御活動について考えた場合、女性皇族の果たす役割は、非常に大きい。
むしろ、今の日本の皇室であれば、役割を果たすという点で、男性より女性の方が向いているのかもしれない。

若い女性の可愛らしさとか華やかさの魅力というものは、男性がいくら頑張っても太刀打ちできないであろう。

佳子内親王殿下は、自らの長所を十分に把握した上で、それを最大限発揮できるよう、努力を重ね、今回、発揮できたということだと思う。
賢明にして、立派なことである。

皇室において、男性がその魅力を発揮するとなると、伝統の担い手としての権威者といった方向性になるのではないかと思う。

この方向性は、男性だけのものというわけではなく女性でも可能であり、特に愛子内親王殿下の場合は、可愛らしさと華やかさの魅力、伝統の担い手としての権威者の魅力の両方について、別格のレベルで兼ね備えている稀有な存在であると言えるだろう。

しかし、難しいのは男性だ。

伝統の担い手としての権威者という方向性は、皇統に連なる者、皇位継承資格者といった背景がないと難しいと思われる。

これまでは、男性皇族は、皇統に連なる者、皇位継承資格者であり、伝統の担い手としての権威者としての魅力を発揮し、可愛らしさとか華やかさの魅力については、ふさわしい女性を妻として迎えることで補うということが可能であった。

しかしながら、女系・女性拡大を実現した場合における民間出身の男性皇族は、どのような役割を果たすことができるだろうか。

問題は、ここだ。

皇統に連なる者、皇位継承資格者という背景はない。

世の中には、美しさと華やかさを有する男性もいるけれども、女性皇族(内親王、女王)の可愛らしさと華やかさに及ばないのであれば自らの存在意義を見出せないかもしれず、超えてしまった場合には、おそらく世の中の受け止めはあまり良くない。

ヨーロッパの君主国においても、女王の配偶者である男性は、心理的になかなか厳しく、鬱の傾向にあると見受けられる。

それでも、ヨーロッパの君主国の場合は、軍というものが存在するので、男性が男性らしさを発揮し、自らの存在意義を確認できる道が、まだあるのではないかと思う。

しかしながら、日本の場合には、そういう道はない。

いずれ、うまい具合に適性を有する男性が現れ、うまい具合に役割を果たすだろうというぼんやりとしたイメージのままだと、いざ制度がスタートしたとして、みんなが不幸になる可能性が高い。

これは、そういうお立場に立つ方の個性の問題というだけではなく、圧倒的に、世の中が、皇室の男性、女性に対し、それぞれどういう理想のイメージを投射するかという問題なのである。

現実論として、そこには性差があるということは、認めざるを得ないのではないだろうか。

歴史上の女性天皇の存在、女系継承の実態があったと言い得ることはその通りであると思うのだが、在位中の女性天皇の配偶者としての役割を果たした男性の実例は、存在していない。

もとより、仮に例があったとしても、かなり時代状況が異なるので、例があるから安心というわけではなく、そういう意味では、例があってもなくても同じなのかもしないが、女系・女性拡大支持の方々においては、民間出身の男性配偶者の役割、自己実現の道について、どのようにイメージしているのか、聞いてみたいところではある。

男性にとって、自らが納得し、世の中も納得する在り方というのは、女性を守るという方向性なのだろうか。

そうすると、至上の存在である天皇(女性)を守るため、下位の勢力と対峙するという観点からは、宮内庁の長官に近い立場の方が、やりやすいのかもしれない。
聖と俗の両方にまたがるような立場であろうか。

最近、弱者男性といった言葉を耳にすることが多い。
男性配偶者の在り方の問題は、皇室だけの問題ではなく、今の日本の社会における男性の在り方の問題とも、どこか通じるものがあるかもしれない。
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薄汚い野望から愛子さまを守ろう!

2024-05-28 21:16:52 | 皇室の話(3)
最近は、皇室に関する記事を書くことを引退したつもりでいたのだが、しばらく書き続けていたら、また、情報が集まりだしてしまった。

「女性自身」令和6年6月11日号に「愛子さま 自由恋愛剥奪へ 岸田首相が皇室典範改悪」と題する記事がある。

嫌な話であるが、以下のようなことが書いてある。
-----引用開始-----
《旧宮家の男系男子を養子として皇籍に復帰させる》という提案に、ある意図が透けて見えると、宮内庁関係者は語る。
「旧宮家の”男系男子”といっても、国民にとっては親しみのない存在で、受け入れられるかは疑問が残ります。それにもかかわらず自民党が養子案に固執するのは、あるもくろみがあるからでしょう。
 かねて愛子さまをはじめとする女性皇族と”旧宮家男子”の結婚を実現させようとする声が、保守系の少なからぬ議員から上がっているのです」
 安倍晋三元首相は、’17年2月の有識者会議メンバーとの会食の席で、「女性皇族が『旧宮家』の男性を恋に落ちて結婚し、男子が生まれたら万々歳なんですが」と発言したと報じられている。
 「80年近く前に皇室から離れた旧宮家が、国民になじみのない存在だということは、”男系派”の議員たちも認識しています。
 しかし、いま国民から絶大な支持を受けている愛子さまが、旧宮家の男系男子と結婚してくだされば、男系での皇位継承が今後も維持され、国民の支持を広げられるという構想なのでしょう」(前出・皇室担当記者)
-----引用終了-----

旧宮家の男子を愛子さまのお相手候補として報じる記事は以前から見かけたが、つくづく頭にくる話だ。

男系継承などという空虚な原理の確保のために、いや、そもそも、愛子内親王殿下の結婚について口にして欲しくない。

こんな薄汚い野望は、徹底的に打ち砕いてやらなければならない。
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騙されないために、森暢平氏の記事は必見

2024-05-28 20:44:33 | 皇室の話(3)
ネット上では「週刊エコノミスト」で配信、紙面では「サンデー毎日」に掲載されているのだが、皇位継承の議論に関係する森暢平氏の記事は、この議論を考えようとする者にとっては、非常に参考になる。

最新は、令和6年5月27日配信の「140年前より後退したニッポンの女性天皇議論 成城大教授・森暢平」。

明治時代の人々の議論に比べ、今の政治家の議論が如何に軽薄で姑息で卑怯なものであるかが良く分かる。

他の連載記事を見ても、旧宮家というのがどのような存在であったか、厳しく、正確に指摘されている。

旧宮家については、世の中に、なんとなく高貴で素晴らしい人たちなんだろうという幻想が存在しているように思う。

根拠があってそう思うのなら結構なことであるが、根拠なくそういう思いを抱いているのであれば、それは幻想というべきであり、幻想に流されて制度化するというのは危ういことである。

森暢平氏の連載は、そういった幻想を次々に打ち砕いていく。

こういう作業をする人はなかなかおらず、貴重な論文である。

騙されないために、必見。
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「佳子さま」のギリシャ訪問、維持したい御公務、広報戦略??

2024-05-27 21:49:58 | 筆者のつぶやき
今回はただのつぶやきである。

佳子内親王殿下はギリシャ御訪問するために、令和6年5月25日に御出発になったとのことで、連日、その様子がわりと頻繁に報じられている。

ただ、タイミング的に、皇族数の確保の議論が行われており、微妙な感じがしてしまった。

女性皇族に婚姻後も皇族の身分を保持していただき、担っていただく御公務というのは、こういうイメージなのだろうか。

この議論との関係がなければ、素朴に素晴らしいと思えたのであるが、いろいろと難しいことを考えてしまう。


また、海外御訪問については、佳子内親王殿下以外の場合についても当てはまるのだが、メディアによる様々な映像。

これはどうしても「映える」ものが用いられることになると思うのだが、海外御訪問を報じる際に「映える」映像を用いると、観光旅行をしているように見えてしまう。

昔から、どなたの場合であってもそうなのである。


広報戦略ということが話題になったけれども、どうも上手くないような感じがする。
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情けない政治家たち

2024-05-25 23:39:08 | 皇室の話(3)
令和6年5月23日付け産経新聞配信の「全体会議の定例化を変更、各党派個別聴取に 「今国会で意見集約」は堅持 皇室巡る与野党協議」と題する記事がある。

-----引用開始-----
衆参両院は23日、各党派代表者を衆院議長公邸に集め、皇室の課題に関する2回目の全体会議を開いた。週に一度のペースで議論を続ける予定だったが、多忙を極める会期末に向けてスケジュール調整が困難との指摘があり、当面は衆参両院の正副議長が個別に各党派の意見を聴取し、必要に応じて全体会議を開くことになった。
-----引用終了-----

非常にがっかりなことである。

「当面は衆参両院の正副議長が個別に各党派の意見を聴取し、必要に応じて全体会議を開く」というのは、要するに、政府案以外のことをいろいろ述べても、それにはまともに取り合わないということなのだろう。

政府案への同意を得て、それが多数であると取りまとめることさえできればいい。
政府案以外の議論については、承りますというだけで無視するか、せいぜい『こういう意見もありました』という記録を残しておけばいい、というぐらいの扱いになってしまうのだろう。

個別に意見を聴取というのは、そういうことである。

しかし、こんなことでいいのか。

皇室制度が国の根本に関わる問題であると認識するのなら、まずはいろいろな立場からの意見を出させ、合議することが大事なのではないのだろうか。

合議の場にて、自らの立場では思いつかなかった意見を目にして考え直したり、あるいは、同じ意見を目にして確信を深めたり、より広い視野での検討が可能となる。

もちろん、多様な意見が出てくれば、集約に要する労力は大きなものとなるであろうが、今後、数十年先、百年先といった将来に関わる国の根本に関わる議論であるならば、避けてよいプロセスではないのではないだろうか。

今の日本の政治家には、あまりに覚悟がなさすぎる。

そもそもが、皇位継承の問題と切り離して、皇族数の確保を議論するという建前からして、騙しである。
誠意すらない。

これまでにこのブログでも述べたとおり、政府案というのは男系男子ルールを大前提として固定化するものであり、「皇位継承の問題と切り離して」というのが大嘘で、愛子天皇の実現可能性を確実に潰すことが目的なのである。


結局のところ、皇族という存在と皇位継承の在り方というものは、切り離せないのではないだろうか。
そうであれば、まずは、皇位継承の在り方を議論し、その上で、皇位継承の在り方にふさわしい形での皇族の在り方を議論するという進め方をするしかないのではないか。
そうしなければ、どこまでいっても瑕疵を抱えたままの議論となるのではないだろうか。

本当に、「皇位継承の問題と切り離して」、御公務の担い手としての皇族数の確保を目的とするのであれば、もっとも合理的かつ速効性のある方策は、これまでに婚姻で皇籍を離れた元女性皇族に皇籍に戻っていただくという方策である。

もちろん、ご本人の同意が必須ではあるが、国民の多くにとって、あまり違和感はないのではないか。

こういうと、小室眞子様についていろいろ言う人もいそうであるが、小室眞子様は一時金を辞退されているので、その分ハードルが低いとも言い得る。
また、悠仁親王殿下を支えるということであるならば、旧宮家の男系男子の子孫の方々よりも、遥かに頼りになるのではないのだろうか。

ただし、このようなことが議論されることはないであろう。
それは結局、問題の本質は、皇位継承の在り方にあるということを誰もが認識しているからということなのであろう。

それにも関わらず、「皇位継承の問題と切り離して」という建前で方策を示す政府はあまりに軽薄であり、それに追従して本質的な議論を避ける政治家は無責任であると言わざるを得ない。
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雑種とされる国民

2024-05-21 21:42:26 | 皇室の話(3)
前回の記事において、旧宮家の男系男子の子孫のみ、皇族と養子縁組をすることで皇族となることを可能とする方策につき、憲法第14条で禁ずる「門地」による差別なのではないだろうか、ということを述べた。

憲法が象徴天皇制を採用している以上、憲法14条の例外が生じるのは避けることはできないとしても、皇室外の国民は全て平等というのが、これまでの整理だったのではないか。

この論点について、政府の立場が、結局のところ安倍系保守に協力するということであるならば、何らかの理屈をこねることにより、クリアするということも可能であるのかもしれない。

ただ、そうであったとしても、考えれば考えるほど、国民の一人である筆者の心情として、なかなか受け入れ難いものである。

この方策は、分かりやすく言えば、本来平等であるべき国民につき、皇統という特別な血統に連なる集団と、そうではない雑種の集団とに分け、法制度として固定化するということである。

あからさまに「雑種」という表現は用いないであろうけれども、要するにそういうことだろう。


頭にくる話だ。

有力な政治家の多くは世襲議員であるためか、この感覚が理解できないのであろうか。
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八幡和郎氏というよく分からない論客

2024-05-18 23:57:07 | 皇室の話(3)
令和6年5月17日、八幡和郎氏による夕刊フジの「安定的な皇位継承めぐる議論を「旧宮家養子案」の重要性 女系派の悪質さ 一度皇族でなくなった人の子孫復帰を「憲法違反」と主張」と題する記事が配信されている。

「女系派の悪質さ」といった表現を用いているので、自身は男系派なのだろう。

ただ、男系派の論客として、八木秀次氏、新田均氏、百地章氏といった方々がおり、筆者とは考え方も違うのだが、それぞれ思想をお持ちの方々だということは良くわかる。

ただ、八幡氏の記事は、これまでにも見たことはあるものの、あまり思想のようなものが感じられない。
安倍系保守を応援したいようだということは何となく感じられるが、論じている内容は屁理屈のレベルにもなっていないような気がする。

----引用開始----
誤解があるが、いま議論されているのは、「愛子天皇」の是非ではない。すでに法律で、秋篠宮殿下を皇太子とまったく同格の皇嗣殿下とすると定め、立皇嗣礼まで行われている。皇太子が空席というのは不適切だ。議論は悠仁さまに男子がいないときのためのものだ。
----引用終了----

これはすごく変な文章だ。
「誤解があるが、いま議論されているのは、「愛子天皇」の是非ではない。」というのは、「皇位継承の問題と切り離して、皇族数の確保を図ること」というのが有識者会議の報告などの建前であるから、そこまでは分かる。
しかしながら、それに続く内容は、皇位継承のことばかりである。
そして、最後に「議論は悠仁さまに男子がいないときのためのものだ。」とあるのだが、ここでいう「議論」とは何の議論なのか。

「皇位継承の問題と切り離して、皇族数の確保を図ること」という建前の下、「内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること」も方策として議論することになっているはずであり、それは、女性皇族が結婚して次々と皇籍を離脱しているという現状を踏まえた問題意識のはずであり、「悠仁さまに男子がいないときのため」といった将来の話ではないはずである。

したがって、「議論は悠仁さまに男子がいないときのためのものだ。」でいうところの「議論」とは皇位継承の問題以外ではあり得ない。

「誤解があるが、いま議論されているのは、「愛子天皇」の是非ではない。」と述べて、皇位継承の問題と切り離したものであると主張しつつ、結局、本音は皇位継承の問題で男系継承を確保したいということなのである。

こういうのは、文章で確認すれば、このようにおかしいということは分かるのだが、耳で聞いているだけだと、気がつかずに流されてしまうかもしれない。
まるで詐欺師の口上のようだ、というのは言い過ぎであろうか。

また、以下の箇所がある。
----引用開始----
女系派の主張で一番悪質なのは、一度皇族でなくなった人の子孫の皇族復帰を憲法違反として根絶したがっていることだ。

女系派は「悠仁さま、佳子さま、愛子さまの女系子孫にも皇位継承権を認めたら皇統は維持できる」と言うが、何世代か後には断絶している可能性が何割かある。それでは、天皇制廃絶となってしまう。女系を認める場合でも、旧宮家の復帰も必要なのだ。
----引用終了----

まず、「女系派の主張で一番悪質なのは、一度皇族でなくなった人の子孫の皇族復帰を憲法違反として根絶したがっていることだ。」という箇所なのであるが、女系派としての共通の見解のようなものがあるのかどうかは、筆者には分からない。

ただ、「一度皇族でなくなった人の子孫の皇族復帰」について、筆者としても憲法上の論点があると思っている。

現行憲法上、第2条で皇位の世襲を認めているのだから、天皇と一定の親族関係にある者を皇族として、特別な身分であるとしても第14条の平等原則の例外として許容されるというところまでは皇室制度に関する議論の基本である。

ただ、特別な身分が認められるのは、皇室の範囲内の方々についてであって、皇室外の国民は全て平等というのが、これまでの整理だったのではないか。

そして、「一度皇族でなくなった人の子孫の皇族復帰」という方策の具体的な内容なのであるが、旧宮家の男系男子の子孫のみ、皇族と養子縁組をすることで皇族となることを可能とするということであれば、現在国民である者の中に、養子縁組により皇族となることができる集団を作り出すということであり、その集団と集団外の違いは血統で決まるということになるのだから、これは明らかに憲法第14条で禁ずる「門地」による差別なのではないだろうか。

こういう疑問というのは、女系派ではなくとも、憲法を学んだことのある者なら当然に抱く疑問であると思うのだが、どのようにクリアするのだろう。

しかし、八幡氏は、「憲法違反として根絶したがっていることだ」といって、てっきり合憲性の論証を始めるのかと思いきや、それに続く文章は「女系を認める場合でも、旧宮家の復帰も必要なのだ。」という、法論理的な反論ではなく、現実論による反論なのである。

それにしても、この現実論による反論は、反論たり得ているのだろうか。
何より断絶の危機をもたらしているのは男系男子への固執なのであり、そのことを認めることなく、女系でも断絶する可能性があるではないかというのは、何というか、その場限りの口げんかなら有効かもしれないが、本質的な議論とは言いがたいと思う。

現実論ということで考えるならば、
男系男子に固執することにより、現皇室の範囲ではそれが維持することが難しいということで、旧宮家の男系男子の子孫にまで広げるとする。
しかし、あくまで男系男子に拘る限り、旧宮家の男系男子の子孫はいずれ断絶する可能性が高いのではないか。
であれば、結局、女系継承も認める必要が生じる。
ということになるのではないだろうか。

また、以下の箇所がある。
----引用開始----
また、「希望者はいるのか」と言う人がいるが、旧宮家の人々の最大公約数的意見は、「自分たちが希望する話でないが、頼まれたら最終的にはお受けするしかない」ということである。
----引用終了----

「旧宮家の人々の最大公約数的意見は」とあるのだが、これを読むと、旧宮家の人々に、希望する、希望しない,お受けする、お受けしないという何等かの意見表明があり、その中でもっとも多くの意見表明が「「自分たちが希望する話でないが、頼まれたら最終的にはお受けするしかない」ということであったというように感じられてしまう。

しかしながら、ほとんどの人々が無回答であり、ごく僅かの人々、仮に1人でも「「自分たちが希望する話でないが、頼まれたら最終的にはお受けするしかない」と述べれば、最大公約数的意見はそうであったというふうにも言えてしまう。

この質問で重要なのは、「「希望者はいるのか」ということで、そこで問われているのは、そういう制度に応じる人がどれくらいいるのかということであり、人数の規模を答えないと答えたことにはならない。
ただ、そのようには答えず、意見の内容の方に話を移して、「最大公約数的」という表現で規模感を出しているように繕う。

これは、本当にね、巧妙な詐欺師の口上、というしかないのではないか。

こうやって、文章で分析すると、おかしいということは確認できるのだが、口頭でのやり取りであると、何となく説得された感じになってしまうかもしれない。

なかなか恐ろしいことである。
才能と言えば才能なのだろう。

こういう八幡氏の巧妙な詐欺師の口上ということに自覚的であれば、その言論(と言い得るかは疑問であるが)を分析するというのも、面白いものであるのかもしれない。

しかし筆者は思うのだが、こういう八幡氏の主張を読んで、男系派の立場で少し応援された気持ちになり、幾分心地よくなったとして、それでどれほどの意義があるというのだろうか。

皇室のあり方の議論については、その言説に巧妙さはなくとも、魂のこもった主張こそを読んでみたいものである。
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次の皇位継承の問題2(悠仁親王殿下のお立場)

2024-05-17 22:26:25 | 皇室の話(3)
前回、秋篠宮殿下が将来即位するとしても、その在位期間は短いものとなるであろうことを書いた。

このことを大きな問題と考えるのであれば、悠仁親王殿下を天皇陛下の養子とすることも考えるべきであるのかもしれない。

現在、各政党で検討されている方策は、有識者会議の報告がベースとなっているが、

旧宮家の男系男子の系統の方々(国民)を宮家皇族の養子とすることが法的に可能であるならば、

皇室内の養子は当然に可能であろう。


そして、悠仁親王殿下の皇位継承資格者としての養育を実現しようとするのであれば、御成年を節目として天皇陛下の養子とし、

天皇陛下のなさりようを間近に体感するという生活を送って欲しいものである。

この場合、秋篠宮同妃両殿下が天皇皇后というお立場に立つことは事実上ないことになるが、

悠仁親王殿下の将来のためにはこの方がよいのではないか。


男系派の方策の検討が進めば、そこで可能であることが確認されることになる法的措置の応用として、

旧宮家の系統の方々の養子ということよりも、より実用的な意義のある方策を実施することが可能となる。


もちろん、筆者は、皇位継承資格の女系女子拡大支持の立場であるが、この場合でも、悠仁親王殿下の養子を行うことには意義がある。

女系女子に拡大した場合、皇位継承資格の順位は、愛子内親王殿下1位、秋篠宮殿下2位、佳子内親王殿下3位、悠仁親王殿下4位となるが、

この場合の2位、3位はあまり意味がないかもしれない。

それぐらいなら、悠仁親王殿下を天皇陛下の養子とし、愛子内親王殿下1位、悠仁親王殿下2位とした方が、

悠仁親王殿下が愛子内親王殿下をお支えしていく上でも十分な準備を行うことができてよいであろう。


もちろん、こういった構想は、国民の側から押しつけるのにはなじまないのではないかという思いは筆者にもある。

そこで、こういったことが可能となるように法的な制約の解除を行い、

天皇陛下を頂点とする皇室の自律に委ねるのがよいのではないかと思う。













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