皇居の落書き

乱臣賊子の戯言

皇位継承の問題について(手遅れになる可能性)

2024-04-29 00:08:41 | 皇室の話(3)
令和6年4月26日、安定的な皇位継承を巡り、自民党は有識者会議の報告書を妥当とする所見を衆参両院の議長に報告したということが報じられた。

その具体的な内容は、以下の二つの方策である。

1:女性皇族について、結婚後も皇族の身分を保持する。ただし、夫と子は皇族とはしない。
2:旧皇族の男系男子を養子縁組みで皇族とする。

どちらも、根本的には、皇室の存在意義は男系男子の血統にあるという考え方があるのであろう。

1は、今の皇族の若い世代を皇室にとどめることを目的としているようであるが、そんな複雑な配偶関係、家族関係というものが、現在の社会で本当に実現可能なのであろうか。
とても当事者のことを本気で考えているようには思われず、実効性はなさそうに思われる。
また、そもそもこの方策は、皇位継承の危機の解消には繋がらない。

2についても、旧皇族の男系男子をそれほどありがたがる理由というのが、筆者にはよく分からない。
皇室の方々は、これまで、極めてアンフェアな批判、中傷などに数多くさらされてきたが、そういった時、旧皇族の人たちが皇室を守るために立ち上がるといったことがどれくらいあったであろうか。
皇室の方々の危機に際し、身を挺して守るといった姿があれば、多少は期待もしたのであるが。
ただ、この方策についての実現可能性が高まれば、いよいよ具体的な人物の話となり、意外と尊敬するべき人物もいるのかもしれない。いないのかもしれない。
いずれはっきりするであろう。

これらの方策については、おおむねこのような印象であり、方策として意義のあるものとは思われない。
そして、意義のあるものとは思われないが故に、何となく無難な感じもしてしまうかもしれない。

そこに罠がある。

これらの方策は、皇位継承の危機に対する方策としては意義はないように思われるが、皇室典範改正に反映された場合、確実な効果を有するのは愛子天皇の実現阻止、ということである。

自民党の報告について、メディアの報じ方を見ると、二つの方策の内容や、せいぜいその妥当性を論じるぐらいであり、その議論自体が、愛子天皇阻止を大前提とするものであることを、どれほど多くの人が気づいているのだろうか。

筆者としては、非常に気になるのである。

そもそも、自民党の報告というのは有識者会議の報告に乗っかっただけのものであるが、愛子天皇阻止ということは、有識者会議の報告の概要において、極めて明確に示されている。


一枚目にて、この報告の目指す方向性が、以下のとおり、矢印マークで示されている。

----引用開始----
今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、次世代の悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない。
悠仁親王殿下の次代以降の皇位継承について具体的に議論するには機が熟しておらず、かえって皇位継承を不安定化させるおそれがある。
悠仁親王殿下の次代以降の皇位の継承については、将来において悠仁親王殿下の御年齢や御結婚等をめぐる状況を踏まえた上で議論を深めていくべきではないか。
----引用終了----

ご丁寧に下線の引かれた「今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、次世代の悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない。」ということが、要するにこの報告の全てなのである。

「ゆるがせにしてはならない」というのは、呆れるほどに情念のこもった表現であるが、その「ゆるがせ」ということは何を指しているのか。

それは誰がどう考えても、今の愛子内親王殿下の人気であり、愛子天皇への国民の期待であり、愛子天皇の実現可能性のことであろう。

それは、悠仁天皇の実現をゆるがせにしかねないものであるから、何としてでも阻止したいというのが、この有識者会議の報告であり、それに乗っかった自民党の報告なのである。

この報告は、表面上は、実効性のない、問題の先送りのような、そしてそれ故に、あまり危険性のないものである印象を有するかもしれないが、実は、愛子天皇という大きな選択肢を捨てるという決定を、国民が気がつかないうちに確実にしようとするものなのである。
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