皇居の落書き

乱臣賊子の戯言

「ゆるがせにしてはならない」の闇

2024-08-29 22:26:56 | 皇室の話(3)
令和6年8月28日17:37、共同通信より配信の「女系天皇「容認とは言わず」 石破氏、皇位継承の議論」と題する記事がある。

確かに、石破茂氏は、最初から女系天皇容認とは言っていない。
このことは、このブログでも言及していたところである。

それより気になったのは、男系固執派ではない石破氏にしても、改めて以下のように述べていることである。
-----引用開始(下線は筆者)-----
 秋篠宮家の長男、悠仁さままでの皇位継承の流れは不変だと指摘。その上で「これから先、本当に日本国民の総意に基づく天皇家が続くために何がいいのか。最初から排除して考えるものではない」と語った。
-----引用終了-----

立皇嗣の礼を既に行ったところであるので、例えば、皇嗣殿下までの流れは不変という意見であれば、筆者にしても理解できる。
しかし、悠仁さままでは不変とするのはなぜなのか。
悠仁親王殿下は男系男子に該当するので、現行の皇室典範の下においては、悠仁親王殿下の皇位継承は予想できるところではある。
ただ、そういうことを言ってしまうと、皇位継承資格者が存在しない段階にならなければ、皇位継承の在り方は変えられないことになるのではないだろうか。

「日本国民の総意に基づく天皇家が続くために何がいいのか」について議論をした上で、男系男子固執については実質的な理由がないし、皇室の方々(特に女性)を不条理に苦しめるだけだということが明らかになれば、次の皇位継承から変えるということも、議論としてはあり得るであろう。
いつの時点から変えるべきかは、どこに問題があると捉えるかによって決まってくる論点のはずである。

しかし、石破氏にしたところで、「悠仁さままでの皇位継承の流れは不変」と言う。

この流れは不変というのは、結局、政府の有識者会議の報告書(概要)で記された「今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、次世代の悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない。」と共通の立場ということになる。

この報告書については、最初に読んだときから随分と奇妙な印象を持った。
「ゆるがせにしてはならない」とは、価値判断先行というべきもので、政府の報告書らしくない。政府の報告書としては、随分と下手くそなのではないか。

そして、あまりに情念のこもった表現である。
この情念には、その主体となる存在がいる筈である。
それは誰なのか。

筆者は、最初は、安倍系保守のような男系派であろうと思っていた。
ただ、安倍系保守は、そんなに秋篠宮家を大事にしていないのではないか。
男系派である以上、愛子内親王殿下よりも悠仁親王殿下ということにはなるであろうけれども、彼らの本音は旧宮家の復活ということであろう。

であれば、「ゆるがせにしてはならない」という情念の主体として考えられるのは誰か。
ここで、思い起こされるのは、平成18年2月7日の秋篠宮妃殿下のご懐妊報道があった翌日の朝日新聞記事である。

編集委員・岩井克己氏の「秋篠宮さま「東宮さまに遠慮していたが・・・」」と題する記事で、以下の記載がある。
-----引用開始-----
 「東宮さまのほうに遠慮していたが、『もうそろそろいいよ』とのお許しがあったので・・・・・・」
秋篠宮さまは、親しい人にこんな話をもらされたことがあるという。
-----引用終了-----

「もうそろそろいいよ」と言ったのが誰なのかは書かれていないが、続けて平成15年12月の湯浅利夫宮内庁長官(当時)の第3子発言への言及があり、「突然の第3子発言は、天皇、皇后両陛下の意向を受けたものだったと見られている」と書いているので、「もうそろそろいいよ」の主体は、平成の天皇皇后両陛下であったことを示唆していると言えるであろう。

これは、筆者の勝手な憶測、想像にすぎないのだが、そう考えると、いろいろとつじつまがあってくる。
御進学問題にしても、何故これだけ無理なことができてしまうのか。

結局、この写真が全てを表しているのだろうか。
2009年9月、神奈川県葉山町【時事通信社】

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山下晋司氏の違和感とは?

2024-08-08 22:30:00 | 皇室の話(3)
令和6年8月8日、Yahoo!ニュースにて「悠仁親王殿下、成年式前に園遊会等「宮中行事以外」参列の可能性 発表に感じた違和感」と題する山下晋司氏の記事が掲載されている。

これは、8月5日のNEWSポストセブンの「【宮内庁の公式回答が物議】悠仁さま「秋の園遊会に参加へ」異例の発表、紀子さまが判断を焦られた背景に愛子さま人気の高さか」と題する記事についてのコメントのようである。

筆者も、NEWSポストセブンの記事を読んで、確かに宮内庁の回答は変だなとは思った。
ただ、そのポイントは、山下氏とは異なる。

山下氏は、同氏の記事にて、「私は悠仁親王殿下の出欠より「園遊会は宮中行事ではない」という箇所が気になった。」と述べている。

しかし、筆者の感覚からすれば、園遊会は宮中行事ではないというのは自然なことだ。

「宮中」という言葉の国語辞典的な意味は、
「① 宮殿の中。特に、天皇の居所をさすことが多い。禁中。禁裏。くちゅう。」(精選版 日本国語大辞典)というものである。

したがって、「宮中行事」といえば、考えるまでもなく宮殿での行事ということにあるであろう。
「宮中祭祀」という言葉もあるが、これは「宮中」の意味として「天皇の居所」ということを捉えて、皇居の中の宮中三殿での祭祀ということになるのではないか。

いずれにせよ、園遊会は赤坂御用地で行われているものであり、宮殿での行事でもなく、皇居内での行事でもないので、宮中行事とは言えないであろう。

その上で、宮中行事かどうかで区別するというのは、宮中行事は宮殿という儀式を行うための専用施設で行われる行事であり公的性格が強いということから、成年式前は控えるという判断も十分に理解できる。

しかしながら、NEWSポストセブンや山下氏らは、園遊会は本来宮中行事に含まれるのではないかと思っているかのようである。

違和感の出発点が筆者とは異なっている。

ただ、筆者としても、視点は異なるが、宮内庁の回答は、やはり変なのである。

宮中行事は何かと問われたのであれば、筆者のように宮殿で行われる行事のことと答えればよいだけなのだ。

なぜ、宮殿で行われる行事への参加は控えられるのかについては、宮殿で行われる行事は公的性格が強いためと答えれば、それでよいはずだ。

では、何故そのように答えることができなかったのか。

「『宮中行事』を明確に定義したものはありません」

この答え方には、理解してもらおうという思いが全く見られない。
ケチをつけられたくないという防御一辺倒の答え方なのであるが、最近は広報に随分と力を入れているはずなのに、いったいどうしたというのであろうか。


さて、こういう場面について、会社勤めをしている人には、心当たりのあるケースがあるのではないだろうか。

いつもは、前向きに、親切に対応してくれる担当者なのに、突然、中身のない答えしかしない、当たり前のことしか答えない・・・

そういったケースでしばしば見られるのは、その担当者の上にものすごいパワハラ気質の上司がおり、その案件について判断に苦しむ指示や関与がある場合である。

この場合には、担当者は、何か意味のあることは何も言えなくなってしまう・・・。

今回の宮内庁の回答のケースで、パワハラ気質の上司に相当する存在が誰なのかは分からないが、例えば、『悠仁親王殿下の参加される行事について勝手に限定的なことを述べるんじゃない』とか、『宮殿の行事に参加することだってあるかもしれないだろ』とか、そういった雷が落ちたのだとすれば、もう何も言えないだろう。

そのような背景があったとすれば、宮内庁の答え方に繋がってくるのではないか。

それにしても、山下氏の記事の最後に、「令和の宮内庁は理解に苦しむことが多い。」とあるが、「令和の」という言い方だと天皇陛下に原因があるかのようであり嫌な感じである。原因は秋篠宮家なのではないのか。
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石破茂氏の「女性・女系天皇も排除せず」発言の謎

2024-08-06 20:57:00 | 皇室の話(3)
令和6年8月4日17:40、共同通信より配信の「女性・女系天皇も排除せず 石破氏、皇位継承策巡り」と題する記事がある。

-----引用開始-----
自民党の石破茂元幹事長は4日放送のインターネット番組で、安定的な皇位継承策を巡り「男系の女性天皇、女系の男性天皇の可能性を全部排除して議論するのはどうなのか」と言及した。
-----引用終了-----

安定的な皇位継承ということを考えるのであれば、女性・女系についても議論をするべきというのは当然のことであろう。

憲法第1条に「この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」と定められているのであるから、議論の上で、国民がどうしても男系男子でなければ認めないということであれば男系男子維持とすればよいし、女性・女系でも認めるということであれば、正統性に何ら問題のない女性・女系天皇を認めればよい話だろう。

こういうと男系派の人たちは、ここでいう「日本国民の総意」とは現在の国民を意味しているのではなく過去・現在・未来の国民の意味だとか言うのだろうけれども、過去・現在・未来を通じての統一体の意識といったものはあまりに観念論であろう。

筆者からすれば、石破茂氏の発言はごく当然のものであると思うのであるが、気になったのは以下の箇所である。
-----引用開始-----
 石破氏は、秋篠宮家の長男悠仁さままでの皇位継承の流れは「絶対に動かしてはいけない」と強調した上で、不測の事態に備えて考えるのが政治家の責任だとの認識を示した。
-----引用終了-----

「秋篠宮家の長男悠仁さままでの皇位継承の流れは「絶対に動かしてはいけない」」というのは、何なんだろう。

「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議の報告でも、「今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、次世代の悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない。」という表現は出てきたが、それと同趣旨のようだ。

もちろん、継承ルールの変更を議論する際、いつから適用するかということは大きなポイントとなる。
その際、次期継承資格者が決定していて、当事者も世の中も、みんながそのつもりでいるというのであれば、次期継承資格者までは変更せず、その次から適用することにしようという話であれば理解はできる。

ここで、皇嗣という立場については、皇太子ほど確定的なものではないものの、立皇嗣の礼も行っていることだし、次は今の皇嗣殿下というところまでは前提にしようという言い方であれば、分からなくはない。

しかし、悠仁親王殿下まで確定させようとすることの意味は何なのだろう。

最近の報道では、佳子内親王殿下にも注目が集まっているようであるし、安定的な皇位継承策として女性・女系も認めた方がよいということであるならば、皇嗣殿下の次に佳子内親王殿下とすることを想定した議論というのも、十分にあり得るのではないのだろうか。

敢えて、佳子内親王殿下を想定という必要はなく、まずは皇嗣殿下まで確定、その次の世代については、それぞれどのような御予定でお育ちになったかを踏まえるとか何とか言えば、佳子内親王殿下を外して悠仁親王殿下にもっていくということも十分に可能だろう。

しかし、そういう過程を飛ばして、悠仁親王殿下までを先取りして確定させようとしている。

これって、どういうことなのだろう。

佳子内親王殿下の皇位継承もあり得るということだと困るということなのであろうか。
それは結局、何らかの形で、皇室サイドの意向をくみ取ったということを意味しているのだろうか。

あるいは、皇室サイドの意向は、悠仁親王殿下まで確定して欲しいということだと、忖度したということなのだろうか。

ここからは、筆者の妄想であるけれども、皇室サイドの意向というものが、やっぱりあったのではないかという気がするのである。

すなわち、
このままでは、皇位継承の安定的な確保は難しい。
そこで、対策はいろいろ考えられるが、取りあえず悠仁親王殿下までの流れは動かさないで欲しい。
それさえ守ってくれるなら、旧宮家養子でも、女性・女系でも、可能な対策を導入してもらって構わない。
というような。

皇室サイドの近視眼的身内主義とでも言えようか。

あまり考えたくはないことであるが、こう考えると、つじつまが合ってくる。

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愛子さまの順位についての正しい理解

2024-08-05 21:41:08 | 皇室の話(3)
令和6年8月3日8:32、AERAdot.より配信の「悠仁さま 秋の園遊会「ご出席」ならば、愛子さまの「前」か「後ろ」かの悩ましい立ち位置」と題する記事がある。

愛子内親王殿下と悠仁親王殿下の並び順を取り上げた記事なのであるが、そもそもの問題設定自体がおかしい。

以下の記載がある。
-----引用開始-----
 今年の春の園遊会では、天皇陛下と皇后雅子さまの後に、皇位継承順位1位で皇嗣の秋篠宮さまと皇嗣妃の紀子さまが続き、天皇家の内親王である愛子さま、そして皇嗣家の内親王である佳子さまという順序となった。

「悠仁さまが参加されたとき、愛子さまの立ち位置がどうなるのか。皇嗣の長男を先にするのか、それとも内廷の皇女を先にするのか、というところに世間が注目してしまうことになりかねません」

 所さんは、そう指摘する。

 また、象徴天皇制を研究する名古屋大の河西秀哉・准教授も、懸念を示す。

「ご身位の通りであれば、秋篠宮ご夫妻に続く5番目に悠仁さま、6番目に愛子さま、そして佳子さまの順にお出ましになり、招待者と懇談となるでしょう。あくまで序列に倣ったものであり、そこに恣意性は一切ありませんが、秋篠宮家への反発が強い今は、悠仁さまへの逆風とならないか心配です」
-----引用終了-----

記事でコメントをしている先生方には、呆れてしまう。

皇室の方々の並び順は、結局は決めの問題であるにせよ、取りあえずの根拠となるのは皇族身位令である(明治43年3月3日皇室令第2号。昭和22年5月2日限りで廃止)。

この問題に関係する条文は、以下のとおりである。
天皇は当然に第一位として、皇后以下の順位を定めたものである。

皇族身位令
第一條 皇族ノ班位ハ左ノ順序ニ依ル
 第一 皇 后
 第二 太皇太后
 第三 皇太后
 第四 皇太子
 第五 皇太子妃
 第六 皇太孫
 第七 皇太孫妃
 第八 親王親王妃内親王王王妃女王
第二條 親王王ノ班位ハ皇位継承ノ順序ニ従フ内親王女王ノ班位亦之ニ準ス
② 前項ノ規定ニ依リ同順位ニ在ル者ハ男ヲ先ニシ女ヲ後ニス
第三條 親王妃王妃ノ班位ハ夫ニ次ク内親王女王ニシテ親王妃王妃タル者亦同シ

これによれば、天皇御一家、秋篠宮家までの並び方は、以下のようになる。
 1 天皇陛下
 2 皇后陛下
 3 愛子内親王殿下(第2条第1項)
 4 文仁親王殿下
 5 文仁親王妃殿下
 6 悠仁親王殿下(第2条第2項)
 7 佳子内親王殿下(第2条第2項)

なお、皇族身位令では想定していなかったが、令和のお代替わり後の皇嗣は、天皇の退位等に関する皇室典範特例法の第5条において「皇室典範に定める事項については、皇太子の例による。」と定められており、立皇嗣の礼も行われたということで、皇太子扱いすることになっているのであろう。
そして、皇太子については、皇族身位令第1条において、皇太后の次に特記されていることから、皇后陛下の次に繰り上がったということなのであろう。
 1 天皇陛下
 2 皇后陛下
 3(皇嗣)文仁親王殿下
 4(皇嗣妃)文仁親王妃殿下
 5 愛子内親王殿下(第2条第1項)
 6 悠仁親王殿下(第2条第2項)
 7 佳子内親王殿下(第2条第2項)

さて、6と7については、弟姉の関係にあることから、あるいは年齢順にするということも議論の余地があるかもしれないが、伝統的な考えを踏まえれば、5は当然に6・7よりも先順位となることは明らかであろう。

それこそ「ゆるがせにしてはならない」ことであり、愛子内親王殿下と悠仁親王殿下のどっちが先かといった問題設定自体がナンセンスなのだ。

訳の分からない宮内庁関係者がほざいている分にはまだしも、今回の記事では専門家としての所功氏、河西秀哉氏がいい加減なコメントをしている。

河西秀哉氏のコメントにある「ご身位の通りであれば、秋篠宮ご夫妻に続く5番目に悠仁さま、6番目に愛子さま、そして佳子さまの順にお出ましになり」とは何なのか。
河西秀哉氏の言う「ご身位の通り」の根拠は何なのか。
一体どこに書いてあるのか。

完全に間違いである。


専門家を名乗るのであれば、恥を知れと言いたい。

伝統を踏まえる限り、令和の御代において、愛子内親王殿下が秋篠宮家のお子様たちより後順位になるということは、あり得ない。

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