皇居の落書き

乱臣賊子の戯言

愛子天皇の実現につき、最大の難関は天皇陛下の御了解

2024-05-31 23:13:51 | 皇室の話(3)
皇室典範は法律であり、その改正等については、国政に関する事項であるから、皇室は関与することができない。

となれば、天皇陛下の御了解は、手続として不要ということが、建前ではあるのかもしれない。

しかしながら、皇室典範の改正は、皇室の方々の人生を大きく変えてしまうことになるものであるから、実行するとなれば、十分な説明は必要であろう。

そして、ご質問があれば、十分に答えることができなければ、ならないのではないだろうか。

筆者としては、皇位継承者の選定は、本来、天皇陛下の専権事項であるという考え方に立っているので、十分に納得いただき、御了解いただくことは、必須であると考えている。

さて、このように考えた場合、女系女性拡大という方策を実現しようとする場合、それは愛子内親王殿下の皇位継承を意味することになると思うが、天皇陛下の御了解を得られる見込みはどの程度あるだろうか。

筆者は、女系女性拡大支持の立場の方々が、天皇陛下の御了解という問題について、どのように捉えているかということが、非常に気になるのである。

愛子内親王殿下の資質の素晴らしさへの称賛、秋篠宮家への失望。
こういうことを主な動機とする議論であれば、到底受け入れてもらえないであろう。
むしろ、皇室の中に亀裂を生みかねない議論ということで、迷惑に思われる可能性が高い。

天皇陛下に御了解をいただくためには、おそらく、以下の論点について、十分な説明ができることが必要だろう。

1 制度の全体像が具体的に描けているか。
  
2 皇室の歴史、伝統との整合性はどうか。

3 現行憲法との整合性はどうか。

4 皇室の方々の生活はどのようになるか。無理なく長続きできるか。

5 国民の理解が得られるか。

これまでの議論の様子を見ると、2,3、5に重点が置かれているが、1はまだまだこれからという感じであり、4はあまり考慮されていないようである。

ただ、4も、皇室の長という天皇陛下のお立場からすれば、極めて重要な問題であることは間違いない。
とりわけ、秋篠宮皇嗣殿下のお立場をどうするか、という問題である。

令和2年11月8日には、立皇嗣の礼が行われており、立皇嗣宣明の儀において、天皇陛下が広く内外に宣明をしているわけである。

仮にというのも恐れ多いことではあるが、天皇陛下から、
「皇嗣殿下の立場はどうなるのだ」
「立皇嗣の礼をすでに行っているというのに、立場を変えるというのか」
「立皇嗣の礼、皇嗣という立場の重みをどう考えているのか」
といった御質問があった場合に、どう答えるか。


筆者の目から見ても、秋篠宮同妃両殿下は、上皇上皇后両陛下との関係を重視するほどには、天皇皇后両陛下との関係を重視しているようには見えず、それどころか張り合っているようにさえ見えるのである。

しかし、間違いなく、天皇陛下は、皇嗣同妃両殿下を大切にされている。

昨年11月、宮内庁長官は、秋篠宮邸改修工事の経緯についての説明を行い、「両殿下のお気持ちに十分お応えできず、大変心苦しく思っている」と述べて、秋篠宮同妃両殿下を擁護した。
(令和5年11月22日、日テレNEWS配信「宮内庁長官 秋篠宮邸改修工事の経緯を改めて説明「結果的に費用高額に」「両殿下のお気持ちに十分お応えできず、大変心苦しく思っている」」)

これよりも前、予算に関する説明の中で、宮内庁担当者は秋篠宮同妃両殿下を見限るような対応(見ごろし)をしていたのであるが、路線を変更して宮内庁長官が擁護したのである。

それも、宮内庁が落ち度を認めるという形での擁護の仕方であり、こういう擁護の仕方を宮内庁長官が行うとなれば、天皇陛下のご意向(かばってあげて欲しい)があったということは、ある程度知性のある者であれば、自然に理解できるであろう。

改めて、天皇陛下の偉大さを感じるところではあるが、そのような陛下にご納得いただくということは、どれだけ大変なことか。

皇室も国民も、皆が幸せになることができるということにつき、十分な根拠と覚悟が必要となるのである。

女系女性拡大支持の立場の議論において、今後、天皇陛下の御了解という問題意識を持った検討がなされていくことを期待したい。
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