夢をかなえる新聞・聖教新聞 -人間革命の指針-

聖教新聞は夢をかなえる新聞です。その中より「新・人間革命」、名字の言、体験から夢をかなえゆくための指針をつづります。

幹部は常に自己教育を

2009-02-14 14:11:34 | 小説「新・人間革命」
本部総会が終わって間もなく、伸一は、理事の代表と、戸田城聖の七回忌までの活動の打ち合わせを行った。まず、統監部長の山際洋が、組織の実態を知る資料として、総支部や支部ごとの世帯の伸び率の一覧表を配布した。それを参考にしながら、各組織の検討が始まった。

一人の副理事長が、つぶやくように語った。

「これを見ると、伸びているところと、停滞しているところの差が、だんだん大きくなってきている。全体的に都市部は発展しているが、農村部はかなり遅れが目立つな」

すると、別の副理事長が言った。

「農村部は旧習が探く、折伏が難しいという面もあるが、要は支部長だな。支部長が駄目だと、どうしても組織は伸びない」

その言葉を聞くと、伸一は、この二人の副理事長に尋ねた。

「それでは、あなたたちは、副理事長として、その支部に対して、何をしてきたのですか」

厳しい口調であった。

二人驚いた様子で、気まずそうに、上目遣いで伸一を見た。

「牧口先生は高齢になってからも、たった一人でも会員がいれば、日本中、どこまでも足を運ばれた。そして、そこで折伏を行じられた。これが、学会の幹部の精神であり、幹部の行動であらねばならない。

全国どこへ行っても、支部長も、支部婦人部長も、また、地区部長も、地区担も、皆、必死です。悩みに悩んで、懸命に活動しています。それを、最高幹部でありながら、自らは何もせず、野球でも観戦するかのように、どこの支部が強いとか、弱いとか言っているのは、低級な評論家ではないですか。

自分は苦労もしないで、高みから見下ろし、あれこれ言うのは、官僚主義に毒されている。自分では気づかなくとも、堕落が始まっているんです。

私は、そういう幹部とは、徹底して戦ってきましたが、これからも、断固、戦います。そうでなければ、会員がかわいそうだからです。

戸田先生の七回忌への総仕上げにあたり、まず、なさねばならないことは、全幹部が学会精神に、草創の心に立ち返ることだ。戸田先生は、逝去された年の二月十一日、ご自身の快気祝いと誕生祝いを兼ねた祝宴をもってくださったが、その時に、先生は、なんと言われたか覚えていますか」

伸一は、皆の顔を見渡した。誰も、答える者はいなかった。

「戸田先生は、あの日、最近は指導の成果が出ていないようだと語られた。そして、それは会員のせいではなく、むしろ、根本となる幹部の信心の問題であり、幹部に成長がないことが、その原因であると指摘された。

しかも、その後で、『学会の発展のためには、まず会長である私自身が、しっかりしなければならん。私自身が自分を教育し、磨いていかねばならんと思っている』と言われた。

そのうえで、同様に、各組織にあっては、幹部がしっかりしなければならないと、指導してくださった。つまり、戸田先生は、ご自身の、また、幹部の?自己教育″ということを、叫ばれた。これは、先生の遺言です。常に?自己教育″していける人でなければ、本当の幹部とはいえません。

今、私も、戸田先生と同じ気持ちであり、同じ決意でいます。日々、学び、日々、自分を戒めながら、日々、自己に挑戦し、?自己教育″しています。学会のいっさいは、私の責任であり、私の問題であるからです。その強い自覚があるがゆえに、私は、評論家のような、傍観者のような、無責任な発言は絶対にできないんです。

皆さんも、副理事長ならば、あるいは、理事であるならば、私と同じ決意に立っていただきたい。そうでなければ、何人、理事が増えようが、広宣流布の力にはなりません。かえって足手まといになるだけです。

戸田先生が第二代会長に就任された時、学会は十二支部であり、その十二人の支部長は、命をなげうつ思いで、先生とともに、広宣流布に生き抜こうと心を定めた。清流のごとき清らかさと、滝のごとき勢いで、戦いを開始した。

皆、?地位も、名誉も、財宝もいらない。ただ、ただ広布に走り、この世の使命を果たしていこう″と決意していた。それが学会精神であり、草創の心です。その決意が、広布の原動力となっていった。

このなかには、その時の支部長もいるし、みんな草創からの幹部なんだから、あの生き生きとした心意気を思い起こしていただきたい。そして、まず、ここにいる私たちが、学会精神に、草創の心に帰ろうではありませんか!」

皆の目に決意が光った。伸一は、一人ひとりに、鋭い視線を注ぎながら言った。

「戸田先生の七回忌をめざし、最高幹部が草創の精神を体現していくうえからも、理事長の原山さんをはじめ、全副理事長が本部長として、組織の責任をもっていくようにしたい。責任が明確でないと、どうしても、組織から浮き上がってしまう。そして、そこから、無責任な体質がつくられていく。私は、そうした風潮を、学会から一掃していきたいんです。この人事は、今月の本部幹部会で発表します。もちろん、皆さんだけでなく、私も会長として、これまでの何倍も働きます。徹して、仏子である会員に尽くしていきます。見ていてください」

8巻 布陣

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