夢をかなえる新聞・聖教新聞 -人間革命の指針-

聖教新聞は夢をかなえる新聞です。その中より「新・人間革命」、名字の言、体験から夢をかなえゆくための指針をつづります。

共戦10

2011-11-23 22:21:11 | 小説「新・人間革命」
 会館は、同志の浄財によって、つくられたものだ。したがって、どこまでも大切に使用することが鉄則である。山本伸一は、すべての幹部が、その精神に徹し切ってほしかったのである。

 午後五時前からは、伸一が出席して、県の日を記念する代表者勤行会が開催され、引き続き、中国方面や山口県の幹部との懇談会がもたれた。懇談会の会場には、あの開拓指導の折に、伸一の激励で立ち上がった人や、話を聞いて入会した人たちの顔もあった。

 「皆さん、お楽に! 共に汗を流した、懐かしい広布の戦友とお会いできて嬉しい!」

 満面に笑みを浮かべ、目を輝かせて、伸一を見つめる六十代前半の男性がいた。山口開拓指導のころ、リウマチで苦しみ、「信心で本当に克服できるのか」と食い下がってきた増田一三である。

 彼は、盗難に遭ったりすると、信心に疑いを起こし、文句を言うために、東京まで伸一を訪ねて来た。そのたびに、伸一は、精魂込めて指導を重ねた。温かく包み込み、諭すように励ますこともあれば、厳しく信心の姿勢を正したこともあった。

 また、増田のリウマチが再発した時には、懸命に題目を送り、励ましの手紙を書いた。

 伸一は、彼には、何度となく、「大事なことは、疑うことなく、信心をし抜いていくことです」と語ってきた。その増田が、歓喜に満ちあふれた姿で、集って来たのである。

 「増田さん、どうぞ前においでください。お元気で何よりです」

 増田は、前に来て座り、にこやかに語った。

 「ありがとうございます。先生には、いつも愚痴と文句ばかりぶつけまして……」

 「いいんです。愚痴や文句は言わない方がいいに決まっていますが、どうしても、心が収まらない時には、先輩幹部にぶつかって、指導を受けていくんです。陰で文句を言ったり、一人で悶々としていてはいけません。増田さんは、文句を求道に変えていったから、ここまで信心を貫くことができたんです」

コメントを投稿