僕らのゲイライフプロジェクト は、ゲイのライフスタイルに関わるトピックについてみんなで意見を出し合い,話し合い、自分たちのGayLifeを見つめ直すしゃべり場的イベントです。名古屋でほぼ毎月、第2土曜日に開催されています。
初めて参加したのは、2012年7月でした。もう4年5ヶ月になるんですね。
初参加の回は第68回でしたが、今年は第100回を突破しました。来年は10周年を迎えるようです。
ここでは、2015年の参加分(5回)について、ごく簡単にですがまとめておこうと思います。
第95回「脱おひとりさまについて」(3月14日)
2組のゲイカップルがゲストとしておみえになり、以下の6項目についてお話をしていただきました。
[1] どこで出会いましたか?
[2] 初めて出会ったとき相手のことをどう思いましたか?
[3] どうやって距離を縮められましたか?
[4] アプローチしたとき / されたとき、どう思いましたか?
[5] つきあうときの決め手は何でしたか?
[6] 長く付き合うコツはなんだと思いますか?
最後の長く付き合うコツについては、以下のような項目が出ました。
・ 思いやり
・ 先の分からないことは心配しない
・ 勝手に相手の気持ちを決めない
・ 相手を信じる
・ 持ちつ持たれつ(お互い様)という感覚
・ 互いのゆずれないところは話し合い、譲歩し合う
・ よく話し合って、意思の疎通を図る
「脱おひとりさま」をする、すなわち、パートナーを持つということは、家族が増えるということですね。
そこには、つながりや安らぎや居心地の良さのようなプラス面がある一方で、自由が利かなくなったり摩擦が生まれたりといった負の側面もあるように思います。
もちろん、出会ってパートナーになるまでの過程にも大変さがありますが、じつはパートナーになってからの方が大変なのかもしれません。良好な関係を維持していくためには、譲らなければならないことや我慢しなければならないことが、山ほどあるはずです。それを受け入れてなおパートナーを持ちたいと思えるか、その人とパートナーになりたいと思えるかが大切なのでしょうね。
僕はと言うと、おひとり様の方が良いなあと今は思います。
もちろん完全に孤独になってしまっては困るのですが、適度な距離のある友人関係くらいが心地良いですね。あまり親密になりすぎると、疲れてしまう感じです。
また考えが変わるときが訪れるのかもしれません。でも、当面は、おひとり様で生きていくというスタンスを貫くことになりそうです。それが僕の道です。
第97回「ゲイバーとゲイカルチャー」(5月9日)
まず、“ゲイカルチャー”についてイメージを自由に出し合いました。
参加者の方々から出たワードの一部を、書き出してみましょう。
〔場所〕ゲイバー,ハッテン場,プール,銭湯
〔イベント〕 ナイト,ハウス
〔容姿〕 短髪,ガチムチ,ヒゲ,オシャレ
〔言動〕 オネエ,ホゲ,毒舌
〔隠語〕 “○○専”
〔飲食〕 カフェ,甘味
〔社会運動〕 虹,パレード,HIV
〔経済〕 可処分所得が高い,リッチ
〔特質〕 秘密の集まりの秘密の文化,地下組織
フムフム、なるほどといったところでしょうか。
もちろん、ゲイと言っても本当に色々な人が居るので、ここに挙げられた色々なものに馴染む人も馴染まない人も居ます。
(筆者である僕にも、“ゲイカルチャー”の中で馴染めないものや相容れないものが色々あります)
その辺りは、他のさまざまな社会集団の中に形成される“文化”と同じですね。
ゲイバーは、ゲイカルチャーのことを話す上で避けては通れないものでしょう。
実際のところ、ゲイバーへ足を運ぶゲイはどのくらいの比率なのか分からないのですが、この日の参加者では、「年に数回」や「月に1回程度」という人が多くいました。
ゲイバーへ行く意味としては、たとえば以下のようなものがありそうです。
・ 出会いを求めて
・ しゃべりなどを楽しむ
・ 情報収集
・ 自然体になれる居場所を求めて
僕は、ゲイバーは、
「マイノリティがマジョリティになれる場」なんだと思っています。
当たり前のことですが、ゲイバーの中ではゲイがマジョリティ(多数者)です。そして、もしそこにストレートがいたら、彼らがマイノリティ(少数者)になります。普段と構図が逆転するのです。
この空間では、同性愛が“普通”であり、“当たり前”のことになるのです。
そうした非日常の空間で、日頃はさらけ出せない自分自身の素の姿を解放することができる。ゲイに限らず、マイノリティにはそのような場が必要なのかもしれませんね。
第98回「カミングアウトについて」(7月11日)
この日は、カミングアウトについて、じっくり話し合いました。
参加者の中では、カミングアウトしたことがあると言う人が多数(8割)でした。
[1] カミングアウトした後に言われた嬉しいこと
・ 「あなたはあなただから」
・ 「何が変わるの?」
・ 「ゲイでもなんでも、お前は大切な友達だからな!」
・ 「身の回りに実はセクマイがいるんだなと実感できた」
関係性が特に変わらなかったというものが多いようです。僕も、もしカミングアウトをしたなら、そういう反応が嬉しいですね。ただ1つの事実に過ぎないのですから。
もっとも、ゲイであることにプライドを持ち、そこに1つの事実以上の意味を持たせている人の場合は、また感じ方が違うという話もききます。難しいですね。
カミングアウトは、セクマイの存在を知らしめることにもなります。身近な家族や友人からカミングアウトを受けて、世の中には思ったよりたくさんのセクマイ当事者が生きているのだということを、実感を持って知る人も多いようです。
[2] カミングアウトした後に言われてつらいこと
・ 「私の信頼してた○○さんがそんな人だったなんて悲しいです」
・ 「かわいそう!私が幸せにしてあげる」
・ 「えっ!無理!けがらわしい!」
・ 「理解してあげているんだから感謝しろ」
・ 「そういうこと言ったら世間がかわいそがってくれると思ったら大間違いだ」
これはつらいですね。
ただ、残念ながら他者は変えられません。
今後、カミングアウトを考えておられる当事者の皆様は、このような反応が返ってくることも覚悟しなければなりません。心づもりをしておけば、少しは受け止めやすいでしょう。傷が浅く済みます。
[3] どこまでのことを話すか / 訊かれたら困ること
「好きなタイプ」や「パートナーについて」を話すという人もいれば、「私はゲイです」で留めておくという人もいました。
どこまでのことを話すのかは、相手との関係性によるところも大きいでしょうね。
訊かれたら困ることについては、SEXの話が困るという人が多かったです。そういう話題はデリケートなところでもあり、異性愛者の男性や女性に対してならば、訊くのが憚られるようなものです。しかし、なぜか同性愛者に対してはしばしば投げかけられるようですね。
[4] カミングアウトした人と今後もうまく付き合うためには?
例えば、以下のような考えが出されました。
・ よく見極めて、準備をした上でカミングアウトする(しても大丈夫な相手か否かを慎重に考える)
・ 適度な距離を保つ
・ 自分を人間的に成長させる。誠実で感じの良い真っ当な人であるように努める
また、「自然になるがままにまかせる」という意見もありました。
カミングアウトの相手が友人であれば、「去る者追わず」でいいのかもしれません。
ただ、家族の場合や職場関係の人の場合には、なかなかそうもいかないでしょうね。家族とはなかなか縁を切るというわけにはいきませんし、職場で人間関係がおかしくなってしまうと大変です。
やはり、カミングアウトは慎重に行う必要があるのではないかと、僕は思っています。
ゲイであることをオープンにして生きるのならば、カミングアウトしたときにどんな反応が返ってきても動じないでいられる強さと、カミングアウトした後に人間関係を上手に続けていく覚悟が必要なのではないかと思います。
第100回「ゲイと旅行について」(10月10日)
旅行について皆で話をしました。
「誰と行きたいか」という問では、一人旅派も居ましたが、パートナーや友達と行きたいという人が多かったです。
ちなみに僕は、一人旅が好きです。同行者に気を遣う必要もなく、勝手気ままに見たいものを見て、したいことをして、食べたいものを食べることができるからです。
その後は、「旅行でどんなことを楽しむか」ということや、「沖縄・台湾・タイにどんなイメージがあるか」ということ、「旅行先でのトラブル・不安・不満」など、のんびりと意見交流をしました。
僕の場合、旅先では地図を入手しようとします。地理が好きなので、地図を片手にあちらこちら散策するのが楽しいのです。
また、鉄道が好きなのもあって、旅先の鉄道路線に乗ってみたり、駅でのんびりしたりするのも楽しみ方のひとつです。列車の中や駅のホームなどで、その土地の人たちが会話しているのが聞こえてきたりすると、違う文化圏のところへ来たのだなあと言う実感が湧いてきたりもします。
第102回「総まとめ+忘年会」(12月12日)
総まとめとして、1年間の内容を振り返りました。
また、11月のテーマ「ゲイのライフスタイルと年齢について」で行われたロールプレイを再実施する流れとなり、体調を崩して11月は欠席だった僕としては嬉しかったです。
11月のゲイプロは、Aというゲイの架空の人生のストーリーをたどっていきながら、ゲイの年代別ライフスタイルについて考えるという流れになっていました。
[1] 18歳。信頼できるゲイ友達をつくりたい
[2] 26歳。恋人が欲しい(しかし消極的である)
[3] 35歳。家族との関係に悩む(「恋人は?」「孫の顔を見たい!」)
[4] 42歳。職場での人間関係に悩む(「結婚しないのか?」)
[5] 56歳。貯金無しで失業
[4] については、20~30代の未婚率がかなり高くなってきていることもあり、結婚云々のことを言われる機会も減ってきているのではないかと思いました。実際のところ、どうなのでしょう。
もしその点で困っているのならば、ゲイであることをカミングアウトするまでもなく、「結婚はする気がない」という点だけ伝えても良いのではないかと思いました。今、そういう人は決して珍しくないのですから。
[3] はなかなか大変な悩みで、多くの人が悩んでいるところなのではないでしょうか。「孫の顔を見たい」と願う心理もまた分かるところです。そして、それをかなえることができないというところに、大いに葛藤しますね。
19時に終了した後、参加者の皆様と忘年会へ行きました。
もつ鍋をいただきました。美味しかったです。
来年は2月13日(土)から始動とのこと。
また、都合のつくときは、楽しみに参加したいと思っています。