Nikkoh の 徒然日記

ゲイ(=男性同性愛者)の Nikkoh が、日々の雑感やまじめなこと、少し性的なことなどを、そこはかとなく書きつくります

男性浴場を女性が清掃する件について(記事紹介)

2022-08-11 00:05:09 | 男性差別 IV (性的羞恥心のこと)
NHKが、マスキュリズムに関連して、とても意義深い記事を掲載してくれていました。 
男性用の大浴場を女性スタッフが清掃する件について取り上げています。 
貴重な統計も載せられた良記事だと思いますので、紹介させていただきます。

“本当はイヤなのに 男湯・男性トイレに女性清掃員 なぜOK?” | NHK | WEB特集

【NHK】男湯を女性従業員が清掃することを気にする意見が寄せられています。業界の対応などを調べました。

NHKニュース

 


“本当はイヤなのに 男湯・男性トイレに女性清掃員 なぜOK?”(2022年7月1日 19時48分)
「女性差別がよく問題になりますが、男性差別があります。男湯、男子トイレに女性の従業員が入ってくることです。その逆は許されないのに、なぜこの件は許されるのでしょうか」
男子高校生がNHKに寄せてくれた投稿です。
「確かに…」と思いつつ、女性の私(記者)、そもそも男湯をどのくらい女性従業員が清掃しているのかわからなかったので調べてみることにしました。
すると興味深いデータや、変化の波が見えてきました。 

◆ 『男だから気にするな』って言われても…… 
NHKの情報提供窓口「ニュースポスト」に投稿を寄せてくれたのは、栃木県の高校3年生の男子生徒です。
冒頭に紹介した内容に続いて次のように記されていました。
「部活帰り友達と銭湯に行きました。その時服を脱いでいたら目の前を女性の従業員が横切りました。友達と『中にいたら嫌だね』と話していて、頭を洗い始めていたら横から女性の従業員が来て僕の所にあったシャンプーを詰め替え始めました。本当に恥ずかしかったです。これを逆の立場で想像してみてください。こんなことがあったら世間では大炎上ですよね?男子トイレもそうです。男性がトイレで用を足している時に後ろには女性がいる。なぜ男性は我慢しなければならないのでしょうか」
早速、男子生徒に連絡を取ってみると、昔から男子トイレや男湯に女性の従業員が入ってくることはよくあったものの、中学生くらいから気になるようになったといいます。
駅のトイレや銭湯で経験し、それぞれ改善を求めましたが見直されなかったといいます。

男子生徒 「本当に恥ずかしかったです。苦情を入れたけれど何も変わらない。『男だからそれぐらい気にするな』という風潮が日本にあるからかもしれませんが、男性利用者が不快と感じていること自体、問題だと思います」

◆ “男湯を女性スタッフが清掃” 44%の施設で
私自身が女性のため肌感覚ではわからないのですが、実際にどのくらい女性の従業員が男湯の清掃をすることがあるのでしょうか。
どこかで把握していないかと取材を進めていくと、全国のスーパー銭湯でつくる「温浴振興協会」が2019年にアンケート調査を取っていました。
それによりますと、回答のあった118施設のうち、44%にあたる52施設で女性従業員が男湯を清掃していると答えました。

男性浴室清掃に入るスタッフ 118施設回答
・ 男性 56%(66施設)
・ 女性 44%(52施設)

もちろん、女性従業員と答えた施設でも、男性従業員ができる時は対応しているそうです。とはいえ、銭湯にいったら2分の1に近い確率で女性の従業員が清掃しているとなると、気になる人は落ち着いてお風呂に入っていられないかもしれません。
一方で取材中、銭湯に勤めている70代の女性従業員から「おばあさんでも異性の風呂を掃除するのは緊張していたので、男湯を男性が掃除するようになった時、ホッとしました」という声も聞かれました。
清掃する側も負担に感じている人がいるようです。

◆ 集まり始めた『男性だって恥ずかしい』の声
こうした中、温浴振興協会には、男性利用者から女性従業員が男湯を清掃しないでほしいという意見が寄せられているといいます。

温浴振興協会 理事 「最近協会にも頻繁に、恥ずかしい、なんとかしてくれとメールが来ます。具体的には『男湯に女性が入ってきて恥ずかしかった』とか、『男だからいいのか』とか、中には夫が外国の方で一緒に風呂に来た妻から『夫が風呂にいたら女の人が入ってきてびっくりしていた』という意見も寄せられました。当然ですが、男性でも異性に見られたくない人はいると感じます」

利用者の意識の変化を感じてきた協会では、男性利用者へのアンケート調査も行いました。

男性脱衣所・浴室の清掃は(男性1348人に調査)
▼男女気にしたことがない  50%(674人)
▼男女どちらでもいい    20%(270人)
▼できれば男性従業員で行う 25%(337人)
▼必ず男性従業員で行う   5%(67人)

1300人余りの男性利用者へのアンケートでは、「気にしたことがない」が半数、「どちらでもいい」が2割でしたが、「できれば男性従業員で行う」「必ず男性従業員で行う」という回答もあわせると3割を占め、男性利用者の3人に1人は、同性に清掃してほしいと感じていることが分かりました。

◆ 時代とともに男性も声をあげられるように
この結果について、性差別の問題に詳しく男湯に女性従業員が入ることを規制してほしいと声を上げている森立(もり・りゅう)弁護士に話を聞きました。

森立弁護士 「潜在的に3割の男性が恥ずかしさを感じているのは多いと感じます。性別に関する問題というと“女性が差別される側”とか“女性の置かれた状況の改善が必要”という方向で語られがちだったと思いますが、女性が声を上げやすい世の中になってきたことで、男性も我慢してきたことや抱えてきた違和感に対し声を上げやすくなってきたのではないでしょうか」

◆ 利用客の声を受け…変わりはじめたスーパー銭湯
こうした中、業界では変化の動きも出てきています。 
埼玉県のスーパー銭湯ではオープンから16年間、清掃は女性従業員の仕事で男湯も女湯も女性が清掃してきました。しかし、利用客からの声を受け、2年前から改善を重ねてきたといいます。

店長 「20代から30代ぐらいの男性のお客さんから、女性による清掃は何とかならないかとご意見いただいていました。何度も仰る方もいて、そこまで苦情を入れてくるということは、うちのお湯が気に入ってもう一度来たいという思いの裏返しではないかと感じました。そうした方たちが女性が清掃していることでハードルになって入れないのはもったいないですし、今の風潮にあった運営にしなければいけないと思ったんです」 

そこで行ったのが、従業員の配置転換です。コロナの影響をうけて砂蒸し風呂を廃止したこともあり、砂かけを行っていた5人の男性従業員に男湯を清掃してもらうことにしました。
その結果、全ての営業時間の8割で男湯は男性従業員が清掃するようになりました。
平日は1時間に1回は掃除に入り、洗面台、床の掃除、カラン周辺の片づけ、サウナマットの取り替えなどをしているといいます。これが土日だと30分に1回は入るそうです。
土日は全て男性が行うように見直し、平日も男性が必ず入っているそうですが、それでも午後3時から6時の時間は人手が薄く、営業時間の2割は今も女性が対応しているといいます。
そこで当面の対応として、女性従業員の清掃に抵抗がある人には、なるべく配慮をするので事前に受け付けに申し入れてもらうよう掲示を入り口に設置しました。
「当館は衛生管理上、女性スタッフが男性浴場にも出入りをいたしております。望まないお客様には、極力出入りをご配慮いたしますので、事前にご利用時間を受付にお伝えください」

◆ 男性従業員も女性従業員も確保 人件費で難しさも
一方で、これ以上男性スタッフを確保することは容易ではないといいます。
男性が足りない時間帯に、新たに雇うとなると年間の人件費は180万円~200万円必要になるそうですが、コロナ禍で利用客が減ったことに加え、昨今の物価の上昇が経営を圧迫していて、簡単に増やせる固定費ではないといいます。

店長「そもそもこの商売は売り上げの10%も利益が出ません。コロナ前まで利用客が戻っていないのに加えて、宴会などの利用もなくなりました。資材も高騰しており、赤字にならないように経営するのが精一杯で、これ以上は人員を増やせず悩ましいです」

◆ 男性トイレの清掃は?外国人からの要望で変化も
では、「男性トイレ」の清掃はどうなっているのでしょうか?7割が女性従業員だと言われているビルの清掃について港区に本社があるビルのメンテナンス会社に話を聞きました。

「女性従業員が男性トイレに清掃に入ってくるとギョっとするという声は、外国人の利用者から多く寄せられていました」

この会社では、東京オリンピックで多くの外国人が来ると見込まれたことをきっかけに、男性従業員による清掃を希望している外国人が多く働くビルのトイレ清掃は男性が行うことにしました。
新たに5人の男性従業員を確保。
慢性的な人手不足の業界で、男性従業員が増加すればさらに事業を拡大できます。
男性従業員による男性トイレの清掃を求めるビルは他にもあるだろうと、他のビルの管理会社にも提案しましたが、返ってきたのは思いもよらないことばだったといいます。

「てっきり喜んでもらえると思っていたら、『綺麗に掃除してくれるだろうから、女性にやってほしい』と言われてしまうことがありました。男性従業員も同じ様に育成しているので実際には綺麗になるのですが、イメージの問題が大きい。実際にトイレを使う人からは『男性がいい』という要望があることを、管理会社やオーナーがもっと理解してくれればいいのですが……」 

◆ それって当たり前?男湯と男性トイレから見る“いま”
今回、NHKに寄せられた男子高校生の投稿をきっかけに取材を進めてみると従業員の確保の問題や、人件費といった課題に加えて、「男性なのに気にするな」といった風潮や「清掃は女性の方が…」といった先入観が壁になっていることが見えてきました。
利用する側も働く側も、心地よく安心できるようになるにはどうしたらいいか、こうした声を受け止め変わっていく必要があるのではないかと感じました。
NHKの情報提供窓口「ニュースポスト」では“当たり前”への違和感や身近な困りごとについても、皆さんからの情報をお待ちしています。

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以上です。いかがでしょうか。 

公衆浴場の脱衣場や浴室は、"異性の存在を前提としない場" です。そこへいきなり異性が入ってくることは、本来はあってはいけないことだと思います。 
しかし、それが男性に対してはまったく担保されていないというわけです。

温浴振興協会が行ったアンケート調査結果によれば、「気にしたことがない」が5割,「男女どちらでもいい」が2割ということで、約7割の男性が脱衣所や浴室の清掃を女性が行っても平気ということのようですね。たとえ少数派だったとしても、男性の性的羞恥心を踏みにじっていいということにはなりません。 

もっとも、この回答には年代による差が出てきそうだなと思います。若い世代のほうがより羞恥心が強い傾向があり、女性スタッフによる清掃により強く抵抗感を持つのではないでしょうか。この記事が書かれるきっかけを作ったのも高校生でしたし、温浴施設へ是正するように意見を出す男性も20~30代の方が多いようです。 

また、「男は恥ずかしがるべきではない!」とのジェンダー規範による抑圧の影響 も無視できないでしょう。意識していたとしても意識していなかったとしても、程度の差こそあれ、すべての男性がこの抑圧下で生きています。男性としてこの世へ生を享けたその瞬間からです。そのため、本当は女性スタッフが脱衣場や浴室へ入ってくることに対して羞恥心があり、不快感を抱いているのだとしても、それを表出できない男性も実のところ多くいると予想します。潜在的には、もっと多くの男性が不快感を持っているのかもしれません。
(性的羞恥心が麻痺してしまっている男性も多く居るのではないでしょうか。これもジェンダー抑圧の結果ではないでしょうか) 

羞恥心を公に表出することが社会的に許されており、羞恥心に対する配慮が当たり前のように行われるというのは、いうなれば女性の "特権" です。 
女性の性的羞恥心に対する配慮は誰しもが当然のように行うし、もし不十分であれば女性が直ちに声を上げ、基本的には速やかに是正されるようになっています。  

それに対して、羞恥心の表出が許されず、羞恥心に対する配慮をほとんど受けられないのが男性です。ジェンダー抑圧により性的羞恥心の表出じたいを禁じられているため、問題視すらされません。勇気をもって声を上げる人が現れても、その人を待ち受けているのは苛烈なバッシングあるいは無視です。
(ジェンダー規範に縛られた男女からのバッシング,性的羞恥心が麻痺している男性からのバッシング,羞恥心に対する配慮を男性が求めることを許したくない "特権" の上に胡坐をかいた女性からのバッシング……… etc.) 

しかし、この社会は少しづつですが変わってきているようにも感じます。 
声を上げる男性が確実に増えてきています。これが一番大きいです。臆せず声を上げる人が増えれば増えるほど、問題が認知されるようになるからです。  
「男性が恥ずかしがっても良い」「男性だって性的羞恥心への配慮を求めて当然」という感覚が社会の常識となる日が、遠くない将来には訪れたらいいですね。
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