中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

雲南省少数民族の手作り紙

2013年10月25日 | 中国貴州少数民族の村

貴州省と同じように雲南省に住む多くの少数民族も紙(手工造紙)を漉くようです。雲南省では、大理白族自治州に住む白族の竹紙、白綿紙、楚雄市禄豊県のイ族の竹紙、西双版納に住むタイ族泰紙、麗江市に住む納西族の東巴紙、香格里拉のチベット族の白地紙等が特に有名だそうで今でも、それらの地域では紙漉きが行われ、手作りで紙が作られているそうです。

雲南省の少数民族の紙漉きの原料も、貴州省と基本的には同じようで、その紙漉きに使用される原料は、主に楮(コウゾ)、竹との事。

「雲南民族手工造紙地図」(雲南科技出版社)という本に拠れば、雲南省に紙造りの技術が伝わったのは829年の事だそうです。現在の大理市を中心に栄えた南詔国(漢族からは烏番と呼ばれるチベットビルマ族語族系でイ族)が、唐王朝支配下にあった当時の四川省成都を攻め落し、その戦争の結果成都から数万にも及ぶ子供、女性、技術者、労働者等を捕虜として捕らえ雲南省に連れ帰ったそうです。

その捕虜として連れ帰った人の中に、紙を造る技術者がおり、それを機に雲南省には紙造りの技術が伝わり紙造りが始まったそうです。その南詔国も白族出身の段思平により、938年に滅ぼされ、段思平により新たに大理王国が建国されたそうですが、約300年に亘り、繁栄を誇ったその大理国の時期には仏教が大変に栄え、それに伴い写経のために紙造りが大理国では大変に盛んになったとの事。

「雲南民族手工造紙地図」に拠れば、1956年には雲南省大理市鳳儀鎮のあるお寺から、3000冊に及ぶ大量の仏典が発見されたそうですが、その中には、最も古い物として1052年に写経された物もあったそうです。

この本の中では、雲南省の紙造りの技術は戦争を機に、雲南省に伝わったが、その後仏教が栄えると共に、写経の為に紙造りが大変に盛んになったと述べています。貴州省と同じように、雲南省でも紙の用途としては、写経以外は、包装用、冥紙、甲馬等に利用されたそうです。


清明節の墓参りや廟会等でよく燃やされる冥紙。冥紙の原料は主に竹で、それでこのような黄色い色をしてる。 


大理鎮の観音寺の廟会の祭に大量に燃やされる冥紙。大理はその昔仏教が栄えた事もあり、お寺がとても多いです。


冥紙を燃やしながらお祈りする人。冥紙は、竹が原料なのでこのように黄色い色をしている。


手漉きの紙に書かれたお祈りの言葉。この紙の原料は何かは分りません。


こちらの紙はかなりゴワゴワした手触りで、紙も厚く、やはり何が原料全く見当がつきません。このような紙は初めて見ました。昔ながらの手漉きの紙に墨で書かれた物。


これが甲馬と呼ばれる物で、この紙の原料はやはり竹との事。甲馬の作り方は、木版画と同じ手法で作るようです。



最新の画像もっと見る