IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

さて、もうすぐ野球場でキックオフです

2006-02-11 10:49:16 | ニュース
衛星ラジオを購入する人が僕の周囲でも少しずつ現れている。ラジオの本体と番組契約がまだ少し割高な気がするので、僕自身は契約をしていないんだけど、有名人が続々と高額のギャラで衛星ラジオに移籍しているのを見ると、ラジオ局側も十分なリスナーを確保しているということなんだろうか?衛星ラジオ局として有名なのがシリウス(ニューヨーク)とXMラジオ(ワシントンDC)で、XMラジオは9日に有名司会者のオプラ・ウィンフリーと総額5500万ドルの3年契約を結んでいる。XMと契約したリスナーはすでに600万人いるらしいけど、それでもラジオのパーソナリティで年に20億円近いギャラをもらえるとは…。XMラジオはメジャーリーグ機構から試合の放送権も買っていて、そちらの方は11年で6億5000万ドルの契約なんだとか。さてさて、今日は2002年にロサンゼルスで航空機テロが計画されていたという話を。

ブッシュ政権の掲げる対テロ戦争に対して議会からの風当たりが一段と強まりつつあるが、ブッシュ大統領は9日にワシントン市内で演説し、アメリカ政府の諜報活動によってロサンゼルスの高層ビルに航空機を衝突させるテロ計画を未然に防いだと語り、あらためて諜報活動の重要性を国民にアピールしている。ブッシュ大統領によると、2001年10月にアフガニスタンでオサマ・ビン・ラディン氏と会った4人の東南アジア出身者が靴に隠した爆弾を用いてハイジャックし、西海岸で最も高いビルとして知られるロサンゼルスのリバティ・タワーにハイジャックした航空機を衝突させる計画だったのだという。4人は計画を実行に移す直前に、アジアで警察当局などによって拘束されたとの事だ。「アメリカは依然として危険な状態に置かれている」、演説でそう語ったブッシュ大統領は、国際的なテロ活動を防ぐためには各国との協力が必要不可欠だと力説している。

2002年に西海岸でテロの計画が存在したという話は以前にも語られていたが、その具体的な内容が明らかになったのは今回が初めてとなる。演説が行われた9日には、同じくワシントンで上院の公聴会が開かれており、ブッシュ大統領の命令による令状無しの盗聴活動がテーマであった。大統領の側近はワシントン・ポスト紙に対し、公聴会が行われた日の演説で出た発言はあくまで偶然のものだったとかたり、イメージの上昇を目的とした情報公開ではなかったと強調している。複数のホワイトハウス高官はワシントン・ポスト紙の取材に対し、テロ計画に関する詳細の発表は約3週間前に決まったのだと語っている。ホワイトハウスとは逆に、諜報関係者の間からは情報公開に対して反対の声が挙がっており、諜報機関が深刻な問題として考えてきた2002年の事件が政治的に利用されたと考える関係者も少なくない。

ブッシュ大統領の演説から間もなく、ロサンゼルスではアントニオ・ビヤライゴーサ市長が記者会見を開き、「演説で明かされた情報が事前に伝えられていなかった」と不満を露にしている。また、9日の演説ではテロ計画者4人の拘束に国内での盗聴活動が役立ったかどうかは言及されておらず、BBCの取材に応えた複数の政権高官も、この部分に関しては沈黙を貫いている。CIAによる秘密刑務所の存在が国内外のメディアによって昨年から明らかにされてきたが、4人の拘束者の収容先についても依然として不明のままだ。民主党のブラッド・シャーマン下院議員(カリフォルニア州)はBBCの取材に対し、「なぜ今になって情報が明らかにされたのか、非常に気になります」と語っている。

いよいよ数時間後に日本対アメリカの親善試合がキックオフ。J-WAVEの番組内でジョン・カビラ師匠が嘆いていたように(ポッドキャスティングで毎日聞いております)、DCユナイテッドでプレーする16歳のフレディ・アドゥがすでにアメリカ代表の合宿から離脱したため、今日の試合で出場する可能性があるユナイテッドの選手は3人に減っている。もちろん日本代表を応援するんだけど、個人的にはユナイテッドのベン・オルセンやランドン・ドノバン、そしてノルウェー戦でハットトリックを記録したテイラー・トゥエルマンの調子もチェックしたい。そして、今日になってアドゥ関連で仰天ニュースがブリテン島から。タイムズ紙の報道によると、プレミアリーグのチェルシーがアドゥを獲得するために、すでに彼の所有権をもつMLS(メジャーリーグ・サッカー)と交渉を開始したらしい。MLS側はタイムズ紙の報道を否定しているけど、870万ドルという具体的な移籍金の額も報じられていて、電撃移籍の可能性も十分にある。この2年間、僕はアドゥをスタジアムで見続けてきたけれど、フィジカル面を考えれば、もう少しアメリカ国内でプレーすべきだと思う。870万ドルの移籍金に、MLS側が「イエス」と言ってしまいそうな雰囲気がプンプンする話だけど。


写真:9日にワシントン市内で演説するブッシュ大統領 (AFP通信より)

ディエゴ・ミリトの4ゴールとアラゴンの飲んだくれ

2006-02-10 13:45:58 | ビジネス
ホワイトハウスで8日にヨルダン国王のアブドラ2世と会談を行ったブッシュ大統領。国王と共に記者団の質問に答える様子がテレビでも流れていて、それを見た時にふと感じたんだけど、アブドラ国王の方がブッシュ大統領よりも洗練された英語を話していた…。アブドラ国王の母はイギリスの出身で、国王自身も少年時代をサリーにあるプレップスクールで過ごしているけれど、それでもヨルダン人なんだから、24時間を英語で過ごしているわけではないだろうに。ブッシュ大統領の英語よりもネタとして面白かったのが、ご近所のフェアファックス郡でCIA職員が下着泥棒で逮捕されたという話。44歳の容疑者は高級住宅地マクレーンで窃盗を繰り返していた模様で、フォールスチャーチにある容疑者の自宅からは盗まれた宝石や現金、そしてカバンに詰められた1000枚以上の女性用下着が発見されている。相変わらず小ネタの多い町です…。さて、前FRB議長のグリーンスパン氏に関する話を。

連邦準備制度理事会(FRB)のアラン・グリーンスパン前議長が退任から1週間後の7日、高額のギャラで民間企業の会合に出席し、経済問題について講演を行っていた事実が複数の米メディアによって8日に報じられている。ロイター通信が報じたところによると、グリーンスパン前議長は7日にニューヨーク市内でリーマン・ブラザーズ社主催の会合に出席し、「市場がFRBによる今後の追加利上げの幅を過小評価している」と発言した模様だ。この会合にはリーマン・ブラザーズの銀行家やヘッジファンドに関係する投資家達が招待されていたが、プライベートな集まりを理由に、退任直後の前議長による発言の内容は明らかにされていない。しかし、翌日の市場は動きを見せており、為替相場や長期金利が実際に上昇している。後任としてFBR議長に就任したベン・バーナンキ氏がまだ金融政策に関して語っておらず、その前に出た前議長の発言に、市場関係者驚きを隠せないようだ。

FRBは金融政策に関する報告書を年に2回作成しており、来週にはその最新版が連邦議会に提出される予定だ。「この時期に行われたグリーンスパン氏の発言には、正直驚かざるをえません」、ある市場関係者は英ファイナンシャル・タイムズ紙にそう語っている。グリーンスパン氏の行動を驚きではなく、批判の目で見る関係者も少なくないようだ。JPモルガン社のアンソニー・カリダキス氏は、「前議長の発言で市場が動くのは避けられなかったでしょうし、彼もそれを自覚していたはずですよ。もし知らなかったのなら、その愚直さは非難されるべきです」と語っている。1940年代にはニューヨークのジュリアード音楽院でクラリネットを学んでいたという異色の経歴を持つグリーンスパン氏は、レーガン政権時の1987年にFRB議長に就任し、それからの18年半をアメリカ中央銀行のトップとして過ごしてきた。

グリーンスパン氏が退任直後にコンサルタント会社を設立した事は知られていたが、バーナンキ氏のFRB議長就任から日が浅いため、コンサルタントとしての活動はまだ先の話として考えられていた。8日のロイター通信は、グリーンスパン氏が7日の会合前に同じくリーマン・ブラザーズ社が主催した昼食会にも出席したと報じており、ここでも金融政策などに関する前議長の話があった模様だ。英タイム紙はグリーンスパン氏が12万ドルのギャラで、東京で行われた投資家の会合にニューヨークからビデオ出演したと報じており、少なくとも10万ドルが支払われたとされるリーマン・ブラザーズのギャラ(7日分)を合計すると、すでにこの数日間で22万ドル以上を手にした計算となる。グリーンスパン氏のFRB議長時代の年収は18万ドルだった。FRBの広報官はロイター通信の取材に対し、「秘密情報を公にしない限り、いかなる制限も存在しない」と語っており、一部の投資家だけを対象に行われた講演が法律上問題なしとの認識を示している。

スペインサッカーの話を最後に。昨日行われた国王杯のレアル・サラゴサ対レアル・マドリッドの試合、こちらでは昼間に中継があったのでDVRに録画して、夜中に見ることにした。もしかしたら日本のスポーツニュースでも報じられたかもしれないけど、ホームのサラゴサが6-1で夢のような大勝利。知ってる人もいると思うけど、僕はワケあってレアル・サラゴサというアラゴンにある田舎チームのファンでして、すぐにボストンとワシントンに住むサラゴサ出身者とサラゴサに住む友人に祝福のメールを送った。サラゴサで医者をやってる友人は、あまりに嬉しくて明け方まで自宅で酒盛りを楽しんで、そのまま勤務先の病院に向かったらしい(ご愛嬌ということで)。彼のメールの最後には、「(4得点を決めた)ミリトはマラドーナの後継者さ。間違いない!」と卒倒してしまいそうな一言があったけど、根拠の無い話を真剣に話すのもスペイン人の魅力ということで、どうかご愛嬌!


写真:8日に行われたスペイン国王杯で、ゴールを祝福するサラゴサのイレブン。 (AP通信より)

来年のスーパーボール、ハーフタイムショーの主役はこの2人?

2006-02-08 14:03:11 | ニュース
9000万人が見たという5日夜のスーパーボール。ハーフタイムに行われるショーには大物スターが出演する事でも知られていて、2002年にはU2、翌年にはシャニア・トゥエインやスティングのコンサートが行われている。2004年のハーフタイムショーで、ジャネット・ジャクソンが舞台の上で胸を露出し、それが大騒ぎになったのも記憶に新しい。「ジャネット事件」以降、大会主催者やテレビ局はスターによる想定外のパフォーマンスを心配しだし、2日前のショーに出演したローリング・ストーンズにもテレビ局側からの「センサーシップ」が入ってしまった。幾つかの曲に性的な表現が含まれるのが理由で、その部分だけミック・ジャガーのマイクが無音にされるという手の込み具合。7日になってストーンズも声明を発表し、「あまりにも馬鹿げている」と不満タラタラ。ハーフタイムショーにそこまでの倫理観を求めるんだったら、コンドリーザ・ライスにピアノを演奏させて、ジョン・アッシュクロフトにでも歌わせればいいのに。さて、今日は以前から世界中で大きな騒動を引き起こしているムハマンドの風刺漫画掲載問題に関するニュースを。

デンマーク紙などが掲載したイスラム今日の預言者ムハマンドの風刺漫画をめぐって、世界各地で暴動が発生しているが、イスラム諸国に対する理解をアピールしたいアメリカ政府は、同時に言論の自由も保障しなければならないジレンマに直面している。ヨーロッパのいくつかの新聞が掲載したムハマンドの風刺画に対し、ブッシュ政権は当初「宗教的な憎しみ合いを助長するもの」として、批判的なスタンスをとっている。しかし、レバノンやシリアでデンマークやノルウェーの大使館が焼き討ちに遭い、イスラム教徒による抗議集会で死者が出た国まであると報じられると、ブッシュ政権は風刺漫画に対する批判をトーンダウンさせている。政権高官は6日、風刺漫画がイスラム教徒を怒らせた事実に理解を示しながらも、イスラム地域で頻繁に見られる反キリスト・ユダヤ主義のスピーチも非難されるべきだと語っている。

ワシントンにあるシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」のジョン・アルタマン氏(中東問題担当)はAFP通信の取材に対し、信仰に対する尊敬と言論の自由の両方を世界中に訴えてきたブッシュ政権が直面した大きなジレンマだと指摘し、同様に言論の自由が保障されたヨーロッパ諸国の実情がイスラム世界では「ダブルスタンダード」として考えられていると語っている。「イスラム教徒に対して侮辱的な内容が表現の自由として語られる反面、ホロコーストのような話題でユダヤ人を侮辱すれば刑務所に放り込まれる。イスラム世界でヨーロッパに対してそういった見方を持つ人は多いです」、アルタマン氏はそう語っている。ワシントンのアメリカン大学で国際関係論を教えるダンカン・クラーク教授は、ブッシュ政権が極端なスタンスをとらない背景について、政権内部で中東地域におけるアメリカのマイナスイメージが十分に認識されているからだと語っている。

ヨーロッパ大陸ではすでに幾つもの新聞でムハマンドの風刺漫画が掲載されているが、イギリスの新聞各紙は現在も掲載を控えている。アメリカ国内の主要紙のほとんどが風刺画と言論の自由に関して社説などで問題提起を行っているが、フィラデルフィア・インクワイアラー紙は4日の紙面でムハマンドが爆弾型のターバンを巻いた風刺画を掲載しており、「読者が信じる宗教には尊敬を払っていますが、この風刺画が非常に大きなニュースとなったため、読者の方それぞれで内容を判断していただきたいのです」という断り書きも入れられている。6日朝には20人以上のイスラム教徒がインクワイラー紙の社屋前で抗議デモを行い、デモ参加者と編集部員との間で話し合いが行われている。また、ワシントンでは6日から国内のイスラム教団体幹部が集まり、デンマーク大使館関係者らと会談を行っている。

神戸つながりの話が1つ。夜8時過ぎに仕事が一段落して、さすがに自炊する気力も無く、自宅から歩いてすぐの場所にあるカレー屋に夕食を食べに行った。自宅を出る前、ポッドキャスティングの新しい番組を何本かダウンロードして、自分の携帯型MP3プレイヤーに落とした。ポッドキャスティングではニュース番組やコメディ番組をよく聞くんだけど、今日は日本の番組も何か聞いてみようと思い、神戸にあるKiss-FMの番組を選んでみた。神戸にあるラジオ局の番組にもかかわらず、トークは東京の神楽坂についてだったんだけど(なんでかなぁ…)、なかなか面白かったです。カレー屋に到着して注文を終えると、サッカー仲間の1人が近くの席で結婚したばかりの奥さんとダンドリー・チキンを食べてた。ちょうど僕が日本語で書かれた書類を持っていたので、それを見た奥さんがダンナに「あんた、日本語OKなんでしょう?」と真剣に聞いていた。同じサッカーチームで知り合ったこの友人は、もともとイギリス出身なんだけど、家族の仕事の都合で神戸に3年間住んでた事があり、地元のインターナショナルスクールに通っていたのだ。「まあね」、友人は得意気にそう言った…。知り合って3年になるけど、これまでに彼から聞いた日本語は「ありがとう」だけだ。


写真:パキスタンのペルシャワールで7日、ムハマンドの風刺漫画掲載に抗議するデモが行われた。 (ロイター通信より)

レイチェル・ワイズの新作映画、二重マルでしたよん

2006-02-07 13:29:09 | エンターテーメント・カルチャー
大学院の同窓会事務所から、「新しい卒業者名簿を作るので住所と電話番号をチェックさせてください」と連絡があった。住所などの確認を終えると、「卒業者名簿は本がいいですか、それともCDの方で?」と聞かれたので、そんなに高くはないだろうと思った僕は何も考えずに「じゃあ、両方ください」と言った。「送料込みで160ドルです」と電話の向う側から聞こえた言葉に腰を抜かし、値段を2度聞きなおしたけれど、それで何か変わったわけではなく、仕方なく本だけを注文する事にした。母校に文句言っても仕方ないけれど、ボッタクリだよなぁ。さて、今日は「メガチャーチ」という教会が増えてきたという話を、6日のクリスチャン・サイエンス・モニターの記事から。大きな量販店なんかが「メガストア」って呼ばれることがあるけど、それと同じ感覚で、とにかくデッカイ教会の事を「メガチャーチ」と呼ぶらしい。フィリピンのセブ島で地元のカトリック教会のミサに出席した時、1000人近くいた出席者に驚いた事があったけど、これよりも大きな規模の教会がアメリカには1000ヶ所以上あって、今も増え続けているんだとか…。ではでは、そのメガチャーチの話をどうぞ。

個人の信仰心がいたる所で議論の対象となる最近のアメリカでは、2000人以上の信者を収容する大型教会も増加しており、これらの教会は「メガチャーチ」と呼ばれている。若手カリスマ伝道師として知られるジョエル・オスティーンは、2005年7月からテキサス州ヒューストンにあるコンパック・センター(NBAのヒューストン・ロケッツが過去に本拠地にしていたアリーナ)と長期リース契約を結んでおり、毎週そこで3万人の信者を前にして説教を行っている。オスティーンのような例は稀だが、1週間に2000人以上が参加するメガチャーチの数は過去5年で倍増しており、今では全国各地に存在している。コネチカット州の宗教データ調査機関「ハートフォード・セミナリー」などの報告書によると、現在アメリカ国内ではメガチャーチと判断される施設が1210ヶ所あり、毎週平均で3612人が集会に参加している。それらの多くは南部に集中しているが、全国的な広がりを見せているのも最近の傾向だ。

これまで地元の小さな教会でミサなどに参加してきたキリスト教信者達がメガチャーチに移るケースは少なくなく、アリゾナ大学のマーク・チャベス教授はクリスチャン・サイエンス・モニター紙の取材に対し、「現在も理由ははっきりしないのですが、小さな教会から大きな教会に移動する信者は今も確実に増えています」と語っている。チャベス教授の調査では、南部バプティスト教会の信者の15パーセントが、教会の数としては1パーセント程度にしかすぎないメガチャーチを利用している。メガチャーチ人気の理由には様々な説があるが、教会を対象にしたコンサルティング業を行う「リーダーシップ・ネットワーク」のデーヴィッド・トラビス氏は、「信者の求めるものが過去とは大きく違うのではないでしょうか」と語っている。信者は集会のクオリティや雰囲気にも高い期待を寄せているが、小さな教会では音楽や映像に資金を回せない現実がある。

メガチャーチの規模も様々で、信者数が2000~3000人という規模の教会が全体の54パーセントを占めるが、1万人以上の信者を抱える教会も4パーセント存在する。90年代に入ってから作られた教会も多いが、60年以上前に作られた教会がメガチャーチ全体の3分の1を占めているのも事実だ。9割以上のメガチャーチでエレキギターやドラムといった楽器による現代音楽が演奏されていて、ほぼ全ての教会でプロジェクターやスクリーンが使われている。ビジュアルや音響効果に力を入れたメガチャーチ人気は若い世代にも広がりを見せているが、同時に多くのメガチャーチがビジネスライクな運営を行っていると批判もされている。前出のオスティーン氏も100万ドル以上する家に住んでおり、伝道師としての適正を疑問視する声が後を絶たない。

週末の早朝と昨日の晩、借りてきたDVDで2本の映画を見た。1つは友人と彼の奥さんが絶賛していた「ザ・コンスタント・ガーデナー」で、昨日の夜中に見た2本目がドキュメンタリー作品の「ウォルマート:低価格に隠されたハイコスト」だった。「ナイロビの蜂」という邦題で原作の小説が日本でも売られている「コンスタント・ガーデナー」は、有名なスパイ小説家ジョン・ル・カレが2001年に発表した犯罪スリラーで、映画ではレイチェル・ワイズとレイフ・ファインズが主役を演じている。アフリカのケニアを舞台に、ヨーロッパの製薬会社の陰謀が描かれていて、比較的ゆっくりとした展開の中に新鮮さを感じた作品だった。日本ではまだ公開されていないのかな?2本目のドキュメンタリーはアメリカ最大の大型小売店の内部にメスを入れたもので、男女差別や想像を絶する低賃金、地方都市で地元コミュニティが崩壊する姿などが紹介されている。ウォルマートについて書きたいことは山ほどあるんだけど、とりあえず今日はこの辺で。


写真:2005年7月16日、コンパックセンターにオープンした「レイクウッド教会」に集まった信者達。 (AP通信より)

サッカー場だってあるのに、なぜ野球場?

2006-02-06 13:44:04 | テロリズム
金曜日の夜にサンフランシスコで行われるサッカーの親善試合(アメリカ-日本戦)。昼過ぎには友人のフランクからも電話があり、ボストン・グローブの他にESPNでもコラムを書いている彼は、日本代表に関する原稿に取り掛かっている最中だった。今回のメンバーでは個人的に一番気になっている阿部勇樹を10分ばかりプッシュして、それから少しスタジアムについて感じた事を話した。10日の試合はサンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地として知られるSBCで行われる。そう、野球場なんです。DCユナイテッドのように野球場を本拠地にしているプロチームもあるけれど、代表の試合なんだから…。アメリカ代表チームはロサンゼルスにあるサッカー専用競技場「ホーム・デポ・センター」でよく試合をするし、オハイオ州コロンバスやテキサス州ダラスにあるスタジアムもサッカー専用競技場だ。なんだかなぁ。監督にアピールできなかったフレディ・アドゥは代表チームのキャンプから離脱してしまったし、セントルイス大付属高校出身の新生テイラー・トゥエルマンのプレーにでも期待しよう。愚痴っぽくなりましたけど、今日は盗聴活動について報じたワシントン・ポスト紙のニュースを。

5日付のワシントン・ポスト紙は政府関係者や民間セクターの情報筋の話として、ブッシュ大統領は数千人に及ぶアメリカ人を対象にした盗聴を諜報機関に実施させていたが、盗聴の対象となったアメリカ人のほぼ全てがテロリストとは無縁だったと報じている。ブッシュ大統領は最近もテロリストを監視する目的で令状無しの盗聴活動を正当化する発言を繰り返しているが、これまでにテロリストとの関わりを疑われて盗聴されたアメリカ人のほとんどが、テロリズムとは無縁だったと複数の諜報機関職員は語っている。ブッシュ政権は盗聴活動の対象となったアメリカ人に関して、具体的な言及を避けている。しかし、複数の関係者がワシントン・ポスト紙に語ったところでは、この4年間で約5000人が裁判所令状無しに電話での会話を録音されたり、メールの内容を読まれていた模様だ。

ワシントン・ポスト紙は監視活動が幾つかのステップに分かれているとも報じており、最初の段階では対象となる人物の電話やメール、ファックスなどの記録が全て政府内のコンピューターに集積されていく。この段階で当局がマークした人物には、やがて諜報機関職員による監視活動が実施される。しかし、間違った情報や先入観で監視活動が行われるケースも少なくなく、盗聴などの対象となった人物がテロリストとは無関係だったと判明して終わるケースがほぼ全てという状態だ。国内における盗聴活動も大々的に実施したいブッシュ政権だが、複数の政府高官が匿名を条件に語ったところでは、「テロ組織の工作員がアメリカ国内にいる」と考える情報機関は皆無なのだという。チェイニー副大統領は昨年12月に行われたCNNとのインタビューで、令状無しの盗聴活動が「数千人のアメリカ市民の命を救ってきた」と語っている。ブッシュ大統領はこれまで盗聴の対象が国際電話や外国とのファックスに限定されてきたと主張するが、盗聴の意味そのものが問われ始めている。

一方、AP通信AP通信は24日、最近入手した政府記録の内容を明かし、国内での盗聴活動をめぐる議論が30年前のフォード政権内にも存在していたと報じている。アメリカ国内で活動する外国スパイの情報を入手する目的で、令状無しの盗聴活動が可能かどうかが議論されたが、この時の関係者にはドナルド・ラムズフェルドやディック・チェイニーといった面々も名を連ねている。国内における盗聴活動を認める大統領令をめぐって、賛成派のホワイトハウスと反対派の連邦議会との間で行われた激しいやり取りは最近の対テロ戦争と瓜二つだが、フォード政権内部では「テロリスト」のかわりに「外国のスパイ」が国家の脅威として用いられていた。政府系文書の収集を行うジョージ・ワシントン大学内のNGO組織「国家安全記録保管所」の代表者もフォード政権内部の議論については知らず、AP通信の取材に対して「今と全く同じ議論が行われていたんですね」と驚きを隠せないようだ。

日曜の朝、9時過ぎに友人から電話をもらい、みんなでサッカーの試合を見る約束をしてた事に気付く。半分眠ったままで近所のスポーツバーに行くと、そこには相変わらずの面々。リバプールとチェルシーの試合が始まるまで30分ほどあったので、とりあえずコーヒーを2杯頼んで、世間話の輪に加わった。僕が来る前から、スポーツバーではムハマンドの風刺漫画掲載の波紋が話題となっていて、サッカーの試合前にしては重い話題だったけど、ジャーナリズム以外の場所で働くみんなの話は興味深かった。全体的にメディアに非があったという意見が多かったけれど、イギリス人のオッサンの一言が凄く印象に残った。「満席の映画館やレストランで、「爆弾だ!」って叫ぶ事も表現の自由として保障はされてるだろうけど、それがどういった結果を引き起こすか分かっているから、誰もそんな事をしないんじゃないのかな?」、いい例えだなと思って聞いていた(似たようなセリフが今日のワシントン・ポストに掲載されいたけど、これって偶然?)。これに関しては今も上手く言葉で説明できないんだけど、僕は各国政府が謝罪や報道スタイルに介入すべきではないと思っていものの、風刺画を掲載したメディアはアホだとも思う。Consequense-この言葉が気になった1日でした。


写真:1月25日にブッシュ大統領が国家安全保障局(NSA)を訪問した際、記者団にも公開された危機オペレーションセンター内の巨大モニター。 (ロイター通信より)

名門合唱団、経営難が原因で立ち退きに

2006-02-03 13:53:30 | エンターテーメント・カルチャー
少し前からポッドキャスティングを利用しているんだけど、数日前に東京にあるラジオ局のスタッフとその事について少し話す機会があって、ポッドキャスティングのコンテンツについて少し調べてみた。僕はNPR(公共放送)やテレビニュースの音声版ポッドキャスティングをよくダウンロードして、地下鉄の中でラジオ代わりに聞いたりしているけど、昨日の晩になってワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズ、ニューズウィークといった活字媒体までがポッドキャスティング事業を開始していた事を知りビックリ。アップル社のiTunesでポッドキャスティング用の番組を検索してみると、ニュースや音楽番組の他に、コメディアンのビル・マーや民主党のスター候補生バラック・オバマ上院議員が発信しているコンテンツもあった。まだまだ発展途上のメディアだけど、予想以上に幅の広いコンテンツを見ていると、将来的に面白そうな媒体に化ける可能性も…。さて、今日は世界的にも知られる「ハーレム少年合唱団」の経営ミスに関する話を。

ニューヨークにあるハーレム少年合唱団は世界中でのパフォーマンスや、ルチアーノ・パバロッティといった大物歌手との共演で知られているが、経営上の問題が発覚したために、間借りしていたニューヨーク市内の学校から追い出されてしまった。1968年に音楽家のウォルター・ターンブル氏によってハーレム教会の地下室で作られた合唱団は、1993年からニューヨーク市教育課の監督下にあるハーレム合唱アカデミーの一室を無償で借り受けおり、アカデミー内の音楽プログラムの企画にも携わってきた。2月1日現在、ハーレム少年合唱団は新たなオフィスを見つけれないでいるが、ハーレム合唱アカデミー周辺では約100人が抗議集会を開いている。国連への表敬訪問や、ホワイトハウスでの演奏など、様々な場所で活躍してきた黒人主体のこの合唱団は、いつ頃からか地元で「ハーレムの天使達」と呼ばれるようになっていた。

しかし、近年は合唱団内部における性的虐待スキャンダルや500万ドルにも達する借金の存在が問題化し、経営方針をめぐって上層部でも様々な衝突が繰り返されていた。合唱団の経営責任者達は、すでにスタッフのほぼ全員を解雇しており、ハーレム合唱アカデミー内での音楽の授業も長く行われていない状態だった。ニューヨーク市教育課のケリー・デバース氏は英ガーディアン紙の取材に対し、合唱団の最近の経営は明らかに失敗で、財政的な問題の解決も見通しがたたなかったため、立ち退きを実施せざるをえなかったのだと語っている。立ち退きに関してはマイケル・ブルームバーグ市長も支持する姿勢を打ち出しており、「期日までに約束が守れないのならば、仕方のないことだ」とコメントしている。合唱団の経営スタッフは1月31日までに立ち退きを行うよう通告されていた。前出のターンブル氏は2月1日も普段どおり合唱アカデミーに向かったが、建物へ入ることを拒否されている。

ハーレム少年合唱団にトラブルが発生したのが今から5年前。合唱団のメンバーだった少年がスタッフの1人から性的ないたずらを受けたと訴えたが、その後行われた警察による捜査で、ターンブル氏が少年の訴えを警察に報告していなかった事実も判明している。ターンブル氏は2000ドルの保釈金を払い、問題の渦中にあったスタッフを現場復帰させている。このスタッフにはやがて有罪判決が下され、2年間の懲役刑も科されている。事件後、ニューヨーク市は合唱団の経営陣と合唱アカデミーの校長に対して辞職を勧告し、ターンブル氏も合唱団の監督からスタッフの1人に格下げされている。この性的虐待スキャンダルが引き金となり、寄付金による活動資金が全く集まらなくなった合唱団は、それに比例するように増え続ける借金に直面しなければならなかった。1月には元ニューヨーク市長や地元政治家によってキャンペーンが行われ、約1ヶ月で100万ドルが集められたが、問題の解決には至らなかったようだ。

デンマークの保守系新聞が昨年9月、イスラム教の預言者ムハマンドが導火線に火の付いた爆弾を連想させるターバンを巻いた風刺漫画を掲載し、これが先月になって再びノルウェーのキリスト教系保守派紙に掲載された事から、イスラム諸国では連日のように抗議デモが行われている。ドイツとフランスでも、「言論の自由を守る」という理由から、同じ風刺漫画が新聞に掲載されている。2日にはパレスチナ自治区のガザにあるEU代表部にファタハ系の武装組織「アル・アクサ殉教者旅団」などが乱入し、ノルウェー、デンマーク、そしてフランスに対して48時間以内の謝罪を要求している。「言論の自由」というテーマから考えると(なんだか、大学院の時のディスカッションみたいだね)、今回の問題に対して各国政府の謝罪や報道機関への介入は必要ないと思し、するべきではないと強く感じる。でも、偶像崇拝が絶対的なタブーであるイスラム教をテーマに(ずいぶん前に何かの記事で見たけど、イスラム諸国ではポケモンのキャラクターさえ議論の対象となったらしい)、「言論の自由」を理由にしてムハマンドの風刺漫画を掲載した北欧メディア関係者は、たとえそれが表現の自由として認められていても、アホだなぁと思うね。


写真: 2004年9月22日、ニューヨークを訪問中のオバサンジョ・ナイジェリア大統領を前に歌声を披露するハーレム少年合唱団。 (AP通信より)

一般教書演説、なんとなくファジーな内容に

2006-02-01 14:19:59 | ニュース
今日は夜からすっかり一般教書演説モードとなってしまって、この時間に日課としている日本のスポーツ新聞記事チェック(オンライン)もまだできていない状態。あと少しでラジオの仕事に入るため、今日のブログはかなり中途半端なものになってしまいますが、どうか御勘弁を。もちろん今日はワシントンで行われた一般教書演説について書いておきたいんだけど、僕の個人的な感想としては、「自由」や「民主化」といった言葉を羅列しただけの、相変わらずの抽象論的な内容だった気がする。輸入される石油からの自立も今に始まったテーマではなく、すでにニクソン大統領の時代から本格的に行われてきた事だ。ニクソンからカーターにかけての時代、アメリカはアラスカの油田開発や国内のハイウェイでのスピード制限などを行い、一時は消費石油量のうち輸入されたものが35パーセントにまで低下していた(現在は約60パーセント)。そんなわけで、石油に関する話にもいまいちピンと来なかったんだけどなぁ。今日は本当に中途半端な紹介の仕方になってしまいますが、一般教書演説関連のニュースです。

31日に上下両院合同会議で2006年度の一般教書演説を行ったブッシュ大統領は、アメリカが長年依存してきた中東産石油の自立や、イラク戦争継続の正当性を主張した。「アメリカは石油中毒だ」と演説で語ったブッシュ大統領は、政治的に不安定な中東地域からの原油輸入量を2025年までに75パーセント以上削減する方針を明らかにしたが、中東以上にアメリカへ原油を輸出するカナダやメキシコについては最後まで語られることが無かった。東部時間の午後9時過ぎから開始された一般教書演説だが、開始直前には反戦運動家として知られるシンディ・シーハンさんが、「混乱を引き起こした」として警察に拘束される騒ぎも発生している。シーハンさんはカリフォルニア州選出の議員に招待されて、31日の演説を国会議事堂で聞く予定だった。

演説の前半部分では自由と民主主義の世界的な拡大について語られ、ブッシュ大統領は「アメリカの将来的な安全は、圧政の終結にかかっている」と語り、現在も民主化が達成されていない国の例としてシリアや北朝鮮を挙げている。以前から政治的な緊張が続くイランに対しては、核開発を中止するよう強く求めており、「自由と民主主義を得たイランが、いつの日かアメリカにとって最良の友人となることを望む」とイラン国民に訴えるパフォーマンスも見せている。また、これまでアメリカの同盟国と考えられてきたサウジアラビアとエジプトに対しては、自国民により多くの自由を与えるべきだと苦言を呈している。パレスチナ評議会選挙で大躍進を見せたハマスについても言及し、「ハマスはイスラエルを承認し、武装解除を行い、テロリズムを拒絶し、平和を追求すべきだ」と強い調子で求めた。

イラク戦争はいよいよ4年目に突入し、すでに2240名以上の米兵が戦死しているが、ブッシュ大統領がイラクからの具体的な撤退時期を語ることはなかった。民主党のティモシー・ケイン知事(バージニア州)はブッシュ政権によるイラク政策を厳しく批判しており、「アメリカ国民はイラク侵略に関して不正確な情報を与えられ、現場の兵士は不良品の防弾服を与えられている」とコメントした。ブッシュ大統領はアメリカ国内で令状無しに盗聴を行う正当性を主張し、これには共和党議員の大半が拍手で応えていたが、実際には共和・民主両党の議員から法的な正当性に対する疑問が相次いでいる。愛国者法が今週末で切れるが、ブッシュ大統領は法律の延長をあらためて議会で求めている。

数日前のブログで紹介したニュースの続報を少しだけ。イラク国内で取材中にリモコン爆弾で重傷を負ったABCのボブ・ウッドラフ氏とカメラマンのダグ・ヴォクト氏が、31日にワシントンDCに到着し、近郊にあるベセスダ海軍医療センターに運ばれた。2人はイラクからドイツに運ばれていたけど、容態が安定したこともあって、ワシントンへの移動が決まったようだ。ドイツの病院で広報を務める女性がCNNに語ったところでは、2人が回復する可能性は十分にあるものの、長い時間を要するだろうとの事。順調に回復してくれればいいんだけど…。今日は、キング牧師の妻コレッタさんが死去した話も書いておきたかったけれど、時間がなくなってきたので、この辺にしておきます。

写真: 一般教書演説が行われる前、国会議事堂前では反ブッシュ・デモが行われた。 (AP通信より)