IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

元議員の賄賂メニュー、ディスカウントもあったそうです

2006-02-28 16:06:01 | 犯罪
007シリーズについてちょっと。これまでジェームズ・ボンド役だったピアース・ブロスナンが降板を発表したため、最新作の「カジノ・ロワイヤル」ではイギリス人俳優のダニエル・クレイグが6代目ボンドを襲名する(襲名って、落語じゃないんだから、やっぱり変かな?)。ブロスナンの時だって実際に映画が公開されるまでの間、「あんな奴で大丈夫なの?」っていう意見があったけど、今となっては降板を惜しむファンが少なくないのも事実。でも、ダニエル・クレイグにの起用に対するブーイングは激しいようで、彼の起用を撤回させようという運動がウェブ上で行われてるんだとか。僕自身も彼のボンド姿は想像できないけど、意外にそういう人がピッタリとハマるのかもしれない。さて、今日は昨年11月に賄賂問題で辞職した大バカ議員の審問が金曜日から始まるというニュースを。この議員、業者からもらう賄賂をきちんと格付けしていたようで、どれだけの賄賂でどれだけの便宜を図ってやるか、ちゃんとメニューを作っていたんだとか。

カリフォルニア州選出のランディ・カニンガム下院議員は昨年11月28日、サンディエゴにある連邦地裁で複数の軍需産業から賄賂を受け取っていた事実を認め、同じ日に議員を辞職している。議会歳出委員会のメンバーでもあったカニンガム元議員は、自らの立場を利用してペンタゴンとの契約について複数の業者に便宜を図っていた模様で、これまでに少なくとも240万ドルの賄賂を受け取っている。カニンガム元議員は90年代にもメディアに大きく取り上げられた事があり、「クリントン政権は犯罪の取り締まりにもっと力を入れるべきだ」と当時の大統領や政権を激しく非難してから数ヵ月後、元議員の息子が大麻180キロの密輸に関与したとして逮捕されている。今週金曜日からカニンガム議員の刑期について審問が行われるが、検察側は判事に対して法令上最高のものとなる、懲役10年の求刑を要求する見込みだ。

審問開始前に検察側によって提出された資料の中には、幾つもの数字が書かれた名刺があり、検察側が「賄賂メニュー」と呼ぶこのカードには賄賂のレベルに関する細かなルールが手書きで残されている。1600万ドル相当の契約をペンタゴンと結びたい場合、民間業者はカニンガム元議員に対し14万ドルの賄賂とヨットを送らなければならず、以降は100万ドル分の契約につき5万ドルの賄賂を支払うよう求められていた。また賄賂のディスカウント・サービスも存在し、希望契約額が2000万ドルを超えた場合には、100万ドルの分の追加につき2万5000ドルの賄賂となっていた。カニンガム議員は国会議事堂近くに自らの名前を付けたヨットを停泊させていたが、このヨットの名義はペンタゴンと契約を結んだ民間企業の会長となっていた。

カニンガム元議員は1998年から2005年までの間、下院歳出委員会のメンバーであったが、その間に複数の企業から多額の賄賂を受け取っていた事実が判明している。ワシントンにオフィスを構えるMZM社の創設者ミッチェル・ウェード被告は先週、4年にわたってカニンガム元議員に賄賂を贈り続けていたと認め、元議員が100万ドルの現金や高級車などを受け取っていたと語っている。賄賂の見返りとして、MZM社は1億5000万ドルの契約をペンタゴンから得ている。「これから自由も評判も財産も失うことになるでしょう。そして友人や家族からの信用も一切失ってしまうのです」、昨年11月28日に行った辞職会見で、カニンガム元議員は賄賂の事実を認めた後、涙声でそう語っている。検察側は最も重い10年の懲役刑を求めているが、元議員の弁護士は捜査への献身的な協力が議会の汚職問題追求のきっかけになったと強調し、減刑を求める構えだ。

マルディ・グラで盛り上がっているニューオーリンズ。僕は実際のマルディ・グラに参加したことが無く(学生時代にボストンにあるクラブが主催したマルディ・グラには何度か行った事があるけれど)、あの独特の雰囲気をいつかバーボン・ストリートで味わえればと思っている。ハリケーン「カトリーナ」によって大きな被害を受けてから初めてのマルディ・グラということで、アメリカ国内のメディアは「復興の象徴」といったような決まり文句の並べてる感じがしないでもないけど、27日に発表されたCNN/USAトゥデイ/ギャロップの3社による調査では、ニューオーリンズに住む黒人の53パーセントが「カトリーナによって全てを失った」と回答している。同様の回答をした白人住民はわずかに19パーセントだった。ハリケーンによって町が破壊される前、住民の人種構成では黒人がマジョリティとなっていたけれど、被災後に浮上した経済的な問題から、多くの黒人が町に戻れないままとなっている。このまま、町の雰囲気も一変してしまうのだろうか?


写真:24日、ワシントンの連邦地裁に出廷したミッチェル・ウェード被告 (AP通信より)