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透水の 『俳句ワールド』

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石田波郷・「波郷句自解」(二十)(二十一)        高橋透水

2014年08月31日 | 俳句・短歌・評論・俳句誌・俳句の歴史
故郷忌を人には言はず日暮れぬる     波郷

九月五日は我師五十崎故郷の忌日である。「袴暑し」の句に註した如く五日
は馬酔木の集金日である。残暑の街を誰にも会はず市井を駈廻りつゝ亡師を
思ふ日であつた。

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冬青き松をいつしんに見るときあり      波郷

冬青とか松とか何ら新奇はない。何事かに思ひぞ屈する故に、一本の松を偏
ら凝視するのである。俳句は要するに何事も言へないといふことを知り始め
た頃の句だ。昭和十三年。


「波郷句自解―無用のことながら―」(有)梁塵社 より

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