
昨年9月に来日し、コンテンポラリーゴスペルの
真髄を見せてくれたKirk Franklin。その彼が
ビルボードライブに戻ってくる。これは行かねば!
・・ということで、やってきましたビルボードライブ東京。
ターンテーブルを含む6名のバンドに2名の男性ボーカル、
4名の女性コーラスにカークという13名の布陣は最強だ。
一曲目の「セプテンバー」が始まるやいなや会場総立ちで
アリーナを埋めつくす女子が熱狂的にカークを迎える。
カーク・フランクリン様、降臨!
ステージのビジュアルはけっして派手ではない。
女性も全員ジーンズが基調の地味ないでたちだが、
繰り出されるのは極彩色のゴスペルファンクショー。
前回のロック色豊かなライブと比べ嬉しいのが、今回は
バンドの音が完全にR&B~ファンク仕様だったこと。
どの曲もかゆいところに手の届く本当に素敵なアレンジだ。
"Still In Love"のドドドド、というロール音が気持ちよく、
"Gonna Be A Lovely Day"の愛らしさに涙が出てきた。
バンドメンバーはおそらく前回と同じなのにどうして
音の印象が変わったのか不思議でならないが、さらに
不思議なことがある。音が変わっても、ショー全体から
受ける印象は前回のライブとまったく変わらないのだ。
きっとゴスペルのスピリットは不変だからだと思う。
小柄でムキムキなカークはちょこまかとせわしなく踊りつつ
ハレル~ヤ!とダミ声で客席をあおり、歌わせ、時にがなり、
ピアノを弾き、メンバーをいじり、CDにサインし(笑)と大忙し。
司祭であると同時にサービス精神の塊のような方である。
そしてカークの曲を司る男性・女性コーラスの巧いこと!
ご機嫌にして荘厳、天まで届くかの歌唱にほれぼれするが
前面に出ていないときでもやはり陰の主役はカークだ。
ノリのいい曲が続き自分も景気よく踊り狂っていたが、
"My Life is in Your Hands"が流れた瞬間かたまった。
周りのシスタが一斉にフルコーラスで歌いだしたのだ。
・・や、やばい・・モグリだとバレてしまう・・

郷に入れば郷に従え。せめて歌詞を覚えるべきだった!
どこか懐かしいR&Bを思わせる彼の曲が大好きだが、
やはり信心の壁を思い知らされる。そのステージも
エンターテイメントとして本当に素晴らしいと思うが、
芯なる部分は永遠に理解できないのかもしれない。
でも、それでもこの至高の音楽を聴きたい。
名曲の中でも一番美しい旋律を聴かせてくれるバンドに
愛きょうたっぷりのカーク・フランクリン。彼らを見ると
なんとも幸せで愛しい気持ちになる。これもカークが
何度もジェスチャーで強調した「愛」の形なのだろう。
怒涛の盛り上がりでアンコールに突入、ミネアポリス風
ファンクショーが延々と続き、楽しくて仕方がない。
両手両足をカッチリと使った振り付けをマネすることで
神には近づけずともファンクの神には近づけた気がする。
ビルボードライブをチャーチに変えたKirk Franklin。
愛あふれるゴスペルエンターテイメントをもう一度!