アラビアンナイト大博覧会@国際交流基金フォーラム。
国立民族学博物館での展示の巡回展。(1/31まで)
このアラブの物語集が、いつヨーロッパで発見され
どのように全世界に広まっていったのか?
また、この物語を通じて作られた、
中東世界に対するイメージと実際を探る展示となっている。
18世紀フランスで出版された「千一夜」から各種翻訳本の数々、
挿絵、ポスター、仕掛け絵本、そして現実世界からは
遊牧民が使う食器や中東の衣装、楽器、ベリーダンスのビデオ
まで、大変充実した展示だった。
美しい挿絵と装丁がほどこされた昔のヨーロッパの訳本を
眺めていると、数百年も前の英語の活字がちゃんと判読できて、
意味も頭に入ってくるのがとても新鮮で、驚かされる。
この本が出版され、ワクワクしながら読んだ人がいるんだなあ、
と想像できるのだ。
対して、日本の訳本は明治時代のものであっても読めないし、
平面的な絵からは、当時の人々の様子が想像しにくい。
日本の昔の書物を見ても、「歴史のつながり」を感じることができないのだ。
(だから自分は、現代とのつながりを感じさせてくれる
「幕末の写真」や戦前のカラー映像がとても好きで、食い入るように見てしまう)
江戸時代にラクダが見せ物として「初来日」し、
大騒ぎになった様子が描かれた浮世絵や、
世界の人々を想像も交えて描いたとおぼしき「万国人物図巻」を見て、
ああ日本は鎖国してたんだなあ、
情報が少なかったんだろうなあ、と感慨にふけってしまった。
18世紀から現代まで連綿と続く翻訳本を見たり、
どうにも音階の読めない中東世界の音楽を聴いたりして、
幼稚な感想ですが、「世界は広いな」と思わされました。