コンビニのお弁当を企画してみよう。来年度から中学で使われる公民の教科書の一つに、そんな特集が設けられるという。客足が最近減り始めたので目玉商品の開発に乗り出す、という趣向だ。
まず消費者が求めているのはどんな弁当かを考える。健康や食の安全を重視するのか、安さにこだわるのか。1個あたりの原価と利益をどうするか。狙う客層については、来店者の高齢化を示すグラフを載せて参考にさせる。芸が細かい。
企画した弁当の一例も図示してある。「野菜好きの子どもを増やす」ために、キャベツやホウレンソウやブロッコリーを。材料は「できるだけ地元産を使う」。価格は税込みで1個420円といった具合だ。
先週、コンビニ大手5社の2月期決算が報じられた。消費増税が響いたようだ。業績の伸び悩む社が多い中で、セブン―イレブンだけは過去最高の営業利益だという。「1強」「独走」の文字が新聞に躍った。商品開発の力らしい。
コンビニの店舗数はいま全国で5万を超す。消費者の目線は厳しく、競争は激化の一途だ。2位以下の社はあの手この手でセブンを追う。ファミリーマートは業界内の再編を通じ規模拡大をめざす。
ローソンは介護相談の窓口がある店舗を増やしていくという。佐川急便と組んで宅配サービスを始めるのも、高齢者が狙いだろう。いろいろ考えるものだと感心する。社会の変化への機敏な対応を競い合う。頭の柔らかい中学生の教材になるのも理由があるということか。