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自然・環境を科学してみる

マグロ漁船がアホウドリを絶滅に追い込む?その1

2006-08-16 23:52:41 | 野生動物保護
消滅しているアホウドリの不思議  (Reader’s Digest編集部作)
(Reader’s Digestの Asian Edition の 4月号(英語版)から翻訳)

以下を読まれて感じるところのある方は、日本のマグロ漁船がMr. Nigel Brothersが推奨している方法を採用して、アホウドリが災害に遭遇するのを最小限にするべく、協力されることを切望します。
添付の写真はReader’s DigestのAsian edition に出ていた写真です。
尚、本文、画像の掲載に関して問題がある場合はお知らせください。




この不思議な大洋を逍遥する鳥は数を急激に減らしていたが、誰もその理由を知らなかった。 
そこで Mr. Nigel Brothers が追跡した。

オーストリア行きの定期航行船のデッキから、私は、荒れたどんより曇った空の下で進み来る鉄のような灰色の(iron-grey)波を見つめていた。陸地から遠い、この侘しい大洋の真ん中に、突然一羽の巨大な鳥が雨のベイル(veil)の向こうに、出現した。

その羽は、霧と嵐の灰色と白の混ざり合った色合いをしており、その長い嘴は、暖かい紅色をしていた。
一方の黒い翼の先で、その鳥は、切り立った険しい角度の波の面をさっと切り、上に舞い上がり、我々の船の航跡を横切って華麗に円弧を描きながら飛んでいた。

我々は、大洋を生活舞台とする鳥(ocean birds)の中で最大且つ最も神秘的な一種である、殆ど目にすることのない、逍遥するアホウドリに発見されたのだ。

そのアホウドリが、陸に向かっている我々を追跡して来た5日間の間、私は一度たりとも、その3mの翼を羽ばたかせるのを、見たことがなかった。(訳者注:アホウドリは上昇気流に巧みに乗るから、翼を羽ばたく必要が無い。)

この世のものとも思えないこの大洋の真ん中で、この鳥は、一体なにをすることができるのだろうか? 私は訝った。
何処へ行っているところなのか?

ジャンボジェットによる旅行の前の時代には、未だ、アホウドリの生活や棲息過程は、人々を魅惑する謎であった。Cape Horn(訳者注:Chileでは Cabo de Hornosと書く)(訳者注:南極洋に面するチリーの南端の島、Isla Hermite(エルミテ島)にある港町) の船乗り達は、この鳥たちを、迷信的な親しみを持って、海に消えた仲間の魂だと考えていた。
この鳥たちの神秘は、Samuel Taylor Coleridgeによって、一羽のアホウドリを殺し、”どこもかしこも水ばかりなのに飲む水は一滴もない” 世界に、永遠に漂う運命になった船乗りについての、彼の詩 ”古き船乗りの詩(The Rime of the Ancient Mariner)” によって永遠のものとなった。

逍遥するアホウドリ達は、南極大陸の近くの、人の住む陸地から遠く離れた風の強い島にしか巣を作らない。

人の住む陸地からは、オーストラリアやニュージーランドの岬の様な2、3のところでしか、この鳥は一瞥することすら出来ない。
主として、波に洗われた大洋に浮かぶ死体や博物館の標本を調べて、博物学者達は、7種の”大きな”アホウドリ(その中でroyal albatross と wandering albatross(訳者注:はじめに述べた”逍遥するアホウドリ”)が最大の種である)と17種の小さい種類がいることを見出している。彼等の発見によれば、老齢の鳥の中には 人間と同じほど永く生き(既知の最も老齢のものは60歳以上であった)、生涯にわたって同じ相手を選ぶという。しかしこの鳥の神秘的な太洋航海の秘密を解く助けとなる手がかりは無かった。

オーストラリアのヲロンゴン(Wollongong)(訳者注:シドニーの南)のすぐ沖合いの太平洋の小さな海域が、アホウドリが群がる地球上の数少ない場所の一つである。毎冬この大きな鳥たちは南半球の到るところから飛んで来てこの海域で産卵し死ぬ無数の大きなイカたちを食べにやって来るのである。
ここで1970年代の初め、アマチュアの博物学者Lindsay Smithは彼の妻Janiceと2~3の友達とともに、金属製のボートから網で鳥を捕らえ、その足に番号札をつけて、オーストラリアのアホウドリの研究家Doug Gibsonの仕事を引き継ぐ決心をした。2~3年後、科学者達は、南極大陸近くの島々にあるオーストラリアから遠く離れたアホウドリたちの繁殖地で、番号札を付けられた鳥たちを見つけ始めた。しかしながら、どの様にアホウドリたちが地球の周りを旅するかについての証拠がはいって来ていたが、Smithと彼のティームはもっと深刻な神秘に直面していた。毎年目にするアホウドリが減っているのだ。初めは1日に30羽を捕らえていたのに、1986年には5倍の時間(5日)をかけてたったの12羽しか網で捕らえられなくなった。悲惨な便りがこの鳥の繁殖地から入って来ていた。博物学者達の報告では、Cape Horn の近くの英国領South Georgia島島では、ひどい減り方であり、多くの巣が見捨てられたままであるというのである。そこでは、どこかで、数千のアホウドリが消滅している―そして誰もその理由を知らないと Smithは思った。
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