もの想う鷲 (A thinking eagle)

自然・環境を科学してみる

10月30日 祝島に計画中の原子力発電所

2011-10-30 01:09:31 | 日記
10月30日 祝島に計画中の原子力発電所

日の本の 叡智を示せ この島に
 
ここで 問題となっている祝島の原子力発電所について考えてみます。 先日の上関町の町長選挙の結果は、多くの原子力発電に批判的な人々には、残念なことですが、原子力発電所の設置に賛成である現町長が反対派の前町議の候補を1868対905で破って三選を果たしました。しかしながら、今回は、今まで反対でもそれを表明できなかった人々も、その意見を表明できるようになり、祝島の選挙民は5百人位ですが、その9割が反対を表明できたようです。原発の交付金に期待を寄せる人々、原発の工事に関わる地元の建設業者などは、概して工事の再開を望んでいたようです。 30年もの間、反対を続けて来た、祝島の多くの人々にとっては大変残念であっただろうと思います。

私は、勿論、この世界一地震の多い、どこに設置しても、危険な断層や、過去の地震の震源地に近い、この日本に、原子力発電所を設置すること自体、無謀なことであると考えています。 その故に、放射能廃棄物の 廃棄場所を持たぬこの国での、廃棄の方法は、故高木仁三郎氏が言われていたように、監視が容易に出来るように容器に入れて管理し、その容器が劣化してくれば、その周囲に容器を被せることしか方法がないのです。 (地下に埋めれば、地震でどこに行くかわからないし、また地震で地下水に接触すれば地下水の汚染になる。)プルトニュームの廃棄物は、半減期は24,000年であるから、放射能が1/1,024になるには、24,000年×10=240,000年(2の10乗=1024だから)かかるのであるから、これだけの期間管理し続ける必要があるのです。こんなことが可能ですか。

さらに心配なことがあります。祝島に原子力発電所を設置すれば、改善された加圧水型の原子炉といえども、運転中の冷却水、及びメンテナンス期間での洗浄の為や冷却の為の水が海に放出され、この中には汚染された水も含まれています。また運転中に冷却に使用される大量の海水は高温になって排出されます。これらが瀬戸内海を放射能で汚染したり、その水温を高めて、生態系を破壊します。瀬戸内海は、中国山地と四国山地からのミネラル豊かなきれいな水のお陰で、日本一 おいしくて豊富な 魚貝類、海藻類 を我々に提供してくれる、かけがえの無い内海です。
27,000年~11,000年前の最終氷期の頃は、海面は現在より120m~140m低く、この時には、高梁川は、冒頭の図に示されているように、流れ下って、祝島の側を通って豊後水道に流れ下っていたのです。勿論、太田川、佐波川、などの高梁川より西の広島県、山口県の瀬戸内海に注ぐ全ての川、瀬戸内海に注ぐ香川県の土器川から 愛媛県の肱川までの川もこの大きな川を通っていたのです。これは 「陸棚谷」 と呼ばれるものです。(岩波書店発行「日本列島の20億年」の159ページ参照)
現在の瀬戸内海の面積の約3/4を占める部分の潮の干満 も 全てこの道を通っているのです。従ってこれらの汚染された水や高温となった水は瀬戸内海の約3/4の生態系を破壊し大変な事態になると考えます。内海であるが故に、かなりの部分の汚染水は内海に留まり、累積し続けることが事態を更に深刻にすると考えられます。
この高梁川より東の瀬戸内海の潮の干満は、淡路島の南北を通ります。

以上のことを考えれば、祝島に原子力発電所を設置することは、日本にとってかけがえの無い瀬戸内海を破滅させることになるのではないかと危惧するのです。これは決して杞憂ではないと思います。

追記
伊方原発は現時点では、唯一の内海に設置されている原発であり、瀬戸内海と豊後水道の敷居にあり、内海側にあります。この原発による瀬戸内海の汚染の状況を調査する必要があります。

合掌

南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏

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