もの想う鷲 (A thinking eagle)

自然・環境を科学してみる

恵まれた日本の山野

2006-12-07 21:23:46 | 環境保全
恵まれた日本の山野

日本は水と山に恵まれた国です。NHKの特集番組で次の様に言っていました。”日本の面積は380,000平方km、海岸線の長さは36,000kmであり、これを簡単なモデルで示すと、長辺が18,000km短辺が21kmの長方形(短冊)になります。その中央に山脈が走っています。”
即ち、その数約20,000に上る川(灌漑用の川)とほぼ同数の溜池からの川は、その短辺に平行に流れて、中央の頂から10.5kmで、海に注いでいるのです(かなりの急流です)。従って1つの川はその両側の450mの範囲を灌漑をしていることになります。また山地の面積が全体の面積の66%(自然林が150,000平方km、人工林は100,000平方km)を占めていて、山が多いのです。 これは小さな島も入れた海岸線の長さが少し姿を誇張しているでしょうが 山脈も縦横に走っており、北海道、本州、四国、九州で日本全体の面積の98%を占めていることを考えれば、このモデルは当てはまっていると考えて良いと思います。
また森林限界は2,000m~2,500m位ですから、これ以上高い山は、富士山と南アルプスの北岳近辺附近、中央アルプスの木曽駒が岳附近、北アルプスの穂高附近しかないので、それ以外は樹木があることになります。
即ち水も豊富で、森林も豊かである訳です。したがって、水が綺麗で豊富なのです。世界的に見てもこんなに水と森林に恵まれている国は先進国では日本だけです。雨だけで灌漑の水が得られるのです。
アメリカなどは地下水を利用しなければ農業を営めない地域が多いのです。したがって地下水が無くなり塩害が出て来て、農業が営めない所が増えています。
日本の中でも瀬戸内海は中国山地と四国山地からのミネラルを多く含んだ森林からの栄養豊かな水が注ぎ、太平洋岸や日本海岸より綺麗な水を湛えている訳です。 瀬戸内海の魚が美味しいのも頷けます。
日本列島の20億年(岩波書店)”によれば、氷河時代の最終氷期(2.7万~1.1万年前)には海面は現在より130mも低く、瀬戸内海は現在の水深は50~100mであり、最終氷期には完全に陸地であり、中国山地、四国山地から多くの河川が流れ込み今の瀬戸内海の中心にはその水を西に流す大河(現在の陸棚谷)が流れており、豊後水道を北から南に流れる、太平洋に注ぐ更に大きな川に注いでいたのです。氷河期が終わり海面が現在の高さになってしまったので現在の瀬戸内海が出現したのです。
このために瀬戸内海は内海にもかかわらず、潮流がよく貫流するのです。以上述べました様に、日本は農業に適した国なのです。この恵まれた水と森を守り農業、漁業、林業を振興してしていくことは我々日本人の勤めだと思います。
しかし今その森が危機に直面しています。”世界遺産を鹿が食う。(文一総合出版)”によれば、日本の山地はどこでも増えすぎた鹿により後継の実生が育たず、絶滅に瀕していると警鐘を鳴らしています。
また笹も大きな障害になっています。鹿を取りづぎると笹が伸びすぎ実生が育たないのです。従って鹿を狩り、笹も刈りながら注意深く鹿の頭数と笹の状況を観察してその両方を調整し、森林を守っていかなければならないのです。これには莫大な人的エネルギーが必要です。
知床半島、阿寒山地、石狩山地、南三陸金華山、日光山地、秩父多摩甲斐山地、丹沢山地、八ヶ岳中部信濃高原、伊勢志摩、鈴鹿山地、吉野熊野山地、祖母山周辺、霧島周辺、屋久島、五島列島では特に被害がひどいと報告されています。
衆智を集め効率よい指揮の下、ベクトルを合わせた行動が要求されています。
政府のプロジェクトを推進しながら、総合地球環境学研究所、財団法人自然環境研究センター、奈良県立万葉の森管理事務所、北海道環境科学研究センター、独立行政法人森林総合研究所関西支所、屋久島まるごと保存協会、などが中心となって森林保護政策の立案をされています。 今後その推移を見守りながら、我々日本人は協力をして行かなければならないと思います。。
コメント
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