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日本の政治経済的課題 (その11)

2007-10-25 23:47:33 | 政治・経済関連
日本の政治経済的課題 (その11- - -課題1(脱税大国ーその3/5))

著者は続けます。

”Shoup教授は、死亡時の贈与と遺産に関しての税金を導入した。その年の贈与と遺産に関する税金は、納税者が前年にいくら受け取ったかによっていた。日本人はこの考え方を捨ててしまい、日本人しか考えられないようなを怪物を作り出した。非の打ち所の無い論理で、間違った仮定から馬鹿げた結論に行ってしまった。彼らの論理に従えば、遺産に関する税は受け取る人の富によって決まるというのである。富裕な人ほど多く払うべきだというのである。結局 ’お父さん’ のお金はその一番貧しい家族に行くべきであると家族が同意し、税金が払われてから、それを分かち合うということになってしまった。1958年に導入された現在の方法はこのずるい方法を回避する為に考え出された。人が亡くなれば、彼の資産は、生きている彼の親族に分割される。全ての親族は、親族の数と故人との親密さによって変わるが、法律によって決められた分け前にあずかる。それぞれの遺産を受け取る人によって払われる税金は、累進的に計算される。遺産に関して支払われるべき税金は個々の税金の総和である。この計算によって出てきた平均の税率が、誰であろうと、どんなに多く受け取ろうとも、実際の受益者に適用される。贈与に関しては、受け取った人が払う。贈与税は一年間に受け取った額に関する年額の税金である。死の3年以内の贈与は死者の遺産の一部と計算される。公的事務所を持っている政治家への贈与は、彼がそれを私的なお金として、保管しても税を免除される。贈与税は何ら問題を提起していない。税徴収官の知る限りでは、日本人は吝嗇な国民である。実際はそうではない。しかし現金は容易に隠されるから、贈与税は簡単に回避できる。相続税はまた別問題である。人が死んだ時に残される富の大部分は、不動産である。株券や現金と違って、所有権は容易に隠されない。1980年代の末の様に、土地や家の価格が高騰している時には、全く普通の人でも大資産を残すことができる。東京や大阪の近くでは、小さな家でも2億5千万円に評価されるのが普通である。東京の小さな水田- -たくさんあるが- -も同じように高価に評価される。遺言検証の為に、家については、公開市場の50%下の価格で評価されるという救助策がとられた。しかしながら相続税は支払わなければ、罰せられるし、大抵の人にとっては不可避である。さらにそれは6ヶ月以内に支払われなければならない。大富豪のみが相続税を支払わずに済む。自分の証券に関して多額のローンが有るようにしてあの手この手で相続税を逃れるのである。彼らは会社の帳簿をいじくるのである。このような選択肢は通常の俸給生活者にはない。彼等は財産を売って、死んだ時に遺産を残さない様にする。しかし、土地や建物のキャピタルゲインは税金を支払わなければならない。10年以上保有された財産の様な長期にわたるキャピタルゲインは税金が比較的に安い。一方短期的なキャピタルゲインは、最低52% または 累進課税の最高税率の110%のいづれか高い方で課税される。1989年の税改正も、控除を2倍にしたけれども、相続税を軽くすることに少ししか役立ってはいない。しかし同時に遺言検証の評価は市場価格の70%に上げられた。1979年と1989年の間に死者が残した不動産の価格は5倍になった。相続税を免れるのは困難であるけれども、誰もがそうしようと最善を尽くす。1989年に監査された11,247件のうち、98.6%が不正をしていた。85歳で亡くなった東京の弁護士の遺族は、6億2千3百万の脱税で逮捕された。多くの証券と貯金通帳が、遺族の夫々の箪笥の中に、金と白金が遺族の1人の経営する病院の中で、発見されたのである。”と。

”Shoupの付加価値税は導入されなかった- -商店経営者が反対したのである。地方政府の所得税がそれに替わった。しかしながら、1980年代後半には、間接税は、日本の歳入の約1/4であった。消費税は、日本の政治家と官僚の大好きな複雑さ、厳しさ、及び 行き当たりばったりの出来事的な支離滅裂さ という特徴を持っている。物品税は、ただ分類するだけでも2ページに亘る項目のリストの基づいて、メーカー あるいは 小売業者 の売値のパーセンテージとして課税された。 リストは明らかな奢侈品を含んでいた- -毛皮のコート、宝石、自家用車、モーターボート、及び ヨット。 また、家庭用冷蔵庫、空調器、机上ランプ、テレビ、ラジオ、カーペット、家具、置時計、腕時計、洗濯機、ハンググライダ、化粧品、ソフトドリンク、コーヒー、ココア、お茶も含んでいた。ゴルフボールは課税された。テニスボールは課税無し。ウォータースキーは課税された。雪上スキーは課税されなかった。税率は5~30%であった。通常の物品税はアルコール飲料、タバコ、石油、及び乗用車の登録料金、の消費税も含んでいた。しかしまた砂糖、トランプや花札、劇場チケット、パチンコ機械、ホテルのルーム使用と食事、公衆浴場での入浴にも特別な税金があった。これらの税金、カテゴリ、及び税率の支離滅裂ぶりは政治家が製造の関係者のグループに有利に計らい、あるいは輸入を制限し国内製品を優遇するために詳細が調整されたということを物語っている。前者の一例が1986年に明るみに出た。すなわち、2人の国会議員が、一人は5百万円、もう一人は2百万円 の賄賂を 撚糸機協会から取ったとして起訴されたのである。問題は、この2人の国会議員が通産省の官吏に賄賂を渡し撚糸機協会に有利な計らいをするように頼んだのだった。官僚は少なくとも、官吏である間は、不正をしてはならないと考えられている。この2名は元通産省の官吏であった。このうちの1名は撚糸機協会の会長であった。”
”日本では脱税をしても社会的に汚名を負うことはない。多くの日本人が悩むのは、自分は他人よりその機会が少ないということである。大会社とその従業員は脱税の出来るものを殆ど持たない。従業員は給料から税金を源泉徴収される。大会社は適切な帳簿を保持しなければならない。こうした従業員は彼らの所得の90%を申告していると思われる。医師、弁護士、小企業の経営者、芸術家、音楽家、のような人達は彼らの所得の60%を申告しており、農業従事者は40%を申告していると考えられている。これらの数字、90-60-40は、広く引用されており、”クロヨン”として日本人のよく知るところである。脱税者を逮捕すべく真剣な努力がされている。1988年度に、国税庁は168,962件の脱税ケースを追跡したが、その結果は、7240億円、1件あたり平均4,500,000円、の収入の過少申告であった。これはサラリーマンのその年の平均収入3,700,000円を超えていた。脱税の悪玉リストのトップに座っているのは、パチンコ店経営者であった。平均3,800万円の収入の過少申告であった。多くのパチンコ店経営者はその地域のヤクザであり、その地域の政治家と密接な関係を持っていた。二番目に座るのは病院であり、開業医と産婦人科医は夫々14番目、15番目であった。葬儀屋は6番目、バーの経営者は8番目であった。不動産業者、サラ金、魚の仲買人、ラブホテル経営者、は 夫々に13位までに名を連ねている。逮捕されれば、逃れることは殆ど出来ない。1987年と1988年度では95%が起訴され有罪になった。しかし容易い逃げ口がある。国税庁に疑われていると気づけば、申告が誤っていたと認め、訂正し、それに基づいて税金を払う手である。慣例的に、このような支払いがなされた場合は、さらに追及されることはなかった。これを利用して、1991年に日本の4大証券会社は大口の顧客に、彼らの証券取引での損失を弁償しようとした。彼等はこの損失を営業経費として課税所得からそれを控除したのである。この場合は、国税当局が彼らの知っていることをメディアに流し、証券スキャンダルにしたのである。”と。
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