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西暦500年頃までのユーラシアの宗教的結びつき

2006-08-17 00:40:44 | 宗教(主として仏教)について
LondonのTimes Press社によって1978年に出版され、1988年に再版された"Atlas of World History"の中に、世界宗教について
興味ある記述があるので、ここに翻訳してご紹介します。

西暦500年頃までのユーラシア(ヨーロッパとアジア)の宗教的な結びつき

全ての世界の大宗教はアジアに発生した。そしてその中の3つの宗教(ユダヤ教、キリスト教、回教)は、西アジアの極めて小さな地域に起こった。
同じ様に注目すべきは、世界の異なった地域での宗教的な天才を、年代で区切れば、BC6世紀、またはその近くの時代(ヤスパースの言う“宗教の軸となる時代”)になることである。

それは、中国では孔子、そして恐らく老子、イランではゾロアスター、インドでは釈迦、我々がディーテロ・インアと呼ぶ、ユダヤの中でも最も偉大な予言者、そしてギリシアのピタゴラスの時代であった。
恐らく世界的な文明の誕生が世界的宗教を必要としたのであろう。
恐らく、これらの新しい宗教は、その当時の社会における緊張や、精神のはけ口、及び 迷信的な多神教を超越する宗教 の 必要性 に対する反応であった。

ギリシアの思想家達が実際の社会を説明するために、単一の原理を探しているのと同じ時に、単一の精神的なものを信じる方向への動きがあったのである。
この動きの1つが一神教の成長である。

狭義の定義では決して世界的宗教ではないけれども、世界的宗教の中で最も古いものはヒンヅー教である。
それはインドの人々の宗教である。
即ち“ヒンヅー”というのは“インダス河の”という意味である。
ヒンヅー教は包括的であり、非常に複雑である。
それは、菜食主義、人間の生贄、難行苦行、及び 乱行である。
それは、創造されたものでなく成長し続けるものである。
外面観察のあらゆる豊かさを自己実現する教義遵守の儀式であるとともに、内的瞑想への献身であり、村人の最も単純な信仰であるとともに、哲学者の深遠な演繹理論を内包する。
ヒンヅー教は厳密な意味において、伝道宗教ではない。

ヒンヅー教内の1つの改革運動として始まった仏教は最も偉大な伝道宗教の1つである。
その伝道は成功し、アジアの多くの地域に広まったが、皮肉にも、現在はインドには事実上仏教徒はいない。
ゴータマ・シッダルタ、“宇宙の真理を体得した”という意味の称号 “仏陀”、は 恐らくBC6世紀~BC5世紀を生きたインドの小国の王子であった。(というのは、もう1つ、BC5世紀~BC4世紀という説がある)
彼は一念発起して城を出た。(仏教では“偉大なる放棄”という)。6年後彼は菩提樹の下で悟りを開いた。彼は涅槃、欲望を抹殺する境地、に達した。

仏教の歴史の中で最初の偉大な出来事はインドのアショカ王(紀元前274~232)の王政時代であった。
彼は仏教に改宗した人であり、改宗の後、高い位の人には稀な類の平和と高邁な主義の人であった。
彼の改宗は、ローマ皇帝コンスタンティンのキリスト教への改宗と好対照をなす。
仏教は初期にセイロン(現在のスリランカ)、と ビルマ(現在のミヤンマー)に伝播し、西暦1~2世紀には中国に、4世紀には韓国に、6世紀には日本に伝播した。
仏教は神に焦点を当てない点において世界宗教の中で特異である。
そのメッセージは、欲望を消滅させることを通しての苦しみからの解放である。
これが、仏教と社会とともに、仏教の焦点部分となる教義である。
仏教では1つの大きな分裂があった。それは始まってから500年位後に起こった。
それは、一般大衆向けの大乗仏教 と より保守的な小乗仏教への分裂である。
小乗仏教はセイロン、ビルマ、タイで強く、大乗仏教はさらに東の中国、韓国、日本で広く受け入れられている。
仏教は、東南アジアの海岸に沿って、そしてまた中央アジアを通るシルクロードによっても、伝播した。

中国では、先祖崇拝と自然の精霊崇拝の昔からの伝統があった。
BC5世紀位から少なくとも上流社会には、2つの哲学が支配的であった。1つは孔子(BC551~BC479)の倫理哲学であり、もう1つは人物が記録に明確に残っていない老子との関係が深い“道教”という宗教である。
“道教”は宇宙の道を意味する。
人のあるべき姿は、静寧な生活を通して、“宇宙の道”と調和することであるというのである。

日本においては、6世紀に、仏教は 伝統的な“神道”と精霊思想を凌駕し、漸く徳川時代の終わりに至って、“神道”が、日本の国家の本体を表すものとして復活した。

ユダヤ民族は伝統によってメソポタミアから移って来た、人口の少ない民族である。
彼らの確固とした歴史はモーゼという名の指導者の下でエジプトの圧制から脱出した時に始まった。
彼らがエジプトから脱出したには、神聖なる存在エホバ、または“主”の為である。
その“主”と彼らは誓約をしたのである。
即ち、彼らは、“主”の民であり、“主”は彼らの神であるという誓約である。
それは、彼らの法律である十戒の単純かつ深遠な道徳的要求と結びついた誓約である。
彼らは、食の規則、割礼、及びその他の宗教的儀式等で顕著な特色を持つ、排他的な民族である。

エホバは、彼らを、他所から連れてきて、民とした神であるという事実は、それ自身広い一般性を持つ考えであり、次々と現れた“予言者”が、彼らに対して、身をもって、倫理的道徳的正しさを保つべく、努力し続けた。

ユダヤ人は、頻頻と、他民族による政治的軍事的支配を受け、その結果として起こった彼らの“分散”は地中海の殆んどの地域、そしてさらに東方にも及んだ。
その後さらにキリスト教による迫害の結果、彼らは、さらに世界中に分散して行った。

ユダヤ教がキリスト教を産み、キリスト教は初めローマ帝国に広がり、後にさらに広範囲に伝播した。
回教もまたユダヤ教とキリスト教の伝統を受け継ぎ、モハメッドがモーゼやキリストを含む予言者の列に入っていると、回教は考えている。
回教もまた偉大な伝道宗教となった。
1つの方向では、回教はスペインを経由して北アフリカを席捲し、そしてスペインを経由してヨーロッパへ、もう1つの方向ではインドに達した。

もう1つの他の宗教も言及しなければならない。
これはペルシアに起こり、ゾロアスター、老子とともにはっきりと記録に残っていない人物、に関係している。それは人生を 光の力 と 暗黒の力 の 間の 戦場と考える。
そして、それは、今日では、インドの一派パルシスに代表されている。それは太陽神の形でローマ帝国に広まったが、キリスト教の成長によって追放された。

さらに世界宗教として永続しなかった民族的な宗教がいくつかある。
ローマ人によって採用され改作されたパンテオンは、空の神ゼウス(木星)や夫々が1つの役割を持った他の神々を作ったが、それらは征服された民族の神と一体になった。
ケルト民族(この民族の僧職の人たちは人の生贄を要求したという咎で抑圧された)、スカンジナビア民族(その神ウオータン(Wotan)、トール(Thor)、及びその他の神は、英語の週の曜日の呼び名となった)及び ゲルマン民族の全ては、シリア民族やアラブ民族や小アジアの民族と同じ様に、全て彼らの神を持った。
エジプトの女神イシスは遥かアフリカ西部にまで広まり崇拝されていた。
これらの神は、自身が取って代わられた宗教に影響を与えたり、その他の宗教の中に、行事の形として残っているものもあるが、最後には、すべて 消滅してしまった。

以前は別々であった世界の地域を結びつけたのは、結局粘着剤としての役目を果たした、世界宗教であった。




宗教の拡散 (添付図参照)

ナイル河、メソポタミア河、インダス河、及び 中国の大河で生まれた偉大な河の文明と偉大な世界宗教との間に何らか関係があるといっても、驚くことではない。しかし、関係があるといえども、そして、これら安定した世界文明がなかったならば、これらの世界的な宗教が生まれなかったであろうけれども、宗教的天才を生んだのは、河だけではない。

領土拡張は一般に、貿易ルートを辿った。
宗教は、貿易商、兵士、行政官、及び 普通の旅人によって、まれには慎重な伝道の目的を持って、同じ貿易ルートを使って広められていった。
仏教は東南アジアの海岸に沿って、そしてまた中央アジアのシルク・ルートによっても広まった。
ローマ帝国と中国の帝国は、注意をひきつける魅惑の中心であったが、平和な政府は、宗教の拡散を助けた。
キリスト教の作家は、ローマ帝国によってもたらされた平和は、キリスト教の伝播への神の意思であったと主張している。

添付図が4枚(1枚は凡例)があります。
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西暦500年頃までのユーラシアの宗教的結びつき(凡例)

2006-08-17 00:39:00 | 宗教(主として仏教)について
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西暦500年頃までのユーラシアの宗教的結びつき(図3)

2006-08-17 00:38:38 | 宗教(主として仏教)について
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西暦500年頃までのユーラシアの宗教的結びつき(図2)

2006-08-17 00:38:17 | 宗教(主として仏教)について
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西暦500年頃までのユーラシアの宗教的結びつき(図1)

2006-08-17 00:37:30 | 宗教(主として仏教)について
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仏教の教える呼吸法 (続編)

2006-08-17 00:28:27 | 宗教(主として仏教)について
前回の“仏教の教える呼吸法”に引き続き続編として以下を追加します。

月刊誌“大法輪”(“有限会社大法輪閣”発行)の2006年3月号に特集として“心と体をととのえる仏教の呼吸法”が出ています。これはヒンズー教が人類に与えてくれた知恵であり、東洋の知恵であると言えると思います。

釈尊がこのインドヨーガーの伝統の呼吸法、瞑想法をよりどころとして、修行され悟りを得られ、仏教を創始されたのですが、生涯にわたってこの呼吸法を実践されたことがよくわかります。

この特集は、インドヨーガーと仏教の呼吸法(釈尊の呼吸法、“天台小止観”の呼吸法、密教の阿字観・阿息観、白隠禅師の呼吸法、南無阿弥陀仏の呼吸法、南無妙法蓮華教の呼吸法、上部座仏教の呼吸法、チベット仏教の呼吸法、)はもとより、気功・太極拳の呼吸法、実効のあった整体師の方々の呼吸法も掲載されています。
是非一読をお奨め致します。

雑誌は本屋さんでは既に売り切れていると思いますが、本屋さんに、申し込まれれば、取り寄せて貰えると思います。
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仏教の教える呼吸法 (腹式呼吸)

2006-08-17 00:25:47 | 宗教(主として仏教)について
仏教の教える呼吸法(腹式呼吸)

私は大学時代から今日に至るまで46年間坐禅をして来ましたが、最近になって、坐禅をする時の呼吸法を行住坐臥行なえば健康に良いことが実感できるようになりました。
これも6年前頚椎ヘルニアになり整体師の先生に教えられて気づいたのです。
私の坐禅が如何にいい加減であったかを思い知ることになりました。
それ以来弱かった大腸も完治しました。
一人でも多くの方に伝えるべく、ここに私の知る範囲で、一番解りやすい方法をお伝えします。

私の持っている本に以下のものがあります。

ペリカン社叢書 “禅と日本文化”第7巻 “禅と身心論”の136ページ 平田重誠氏の“養生訣”の一節を引用して、著者は以下の如く纏めておられます。。
(著者は鎌田茂雄氏であり、その章のタイトルは“白隠禅師の調息法とその継承と発展”です)

臍下丹田(せいかたんぜん)に気を充実させれば、手足を軽やかにし、上半身も気が滞ることなく、丹田の力によって物を持ったり、事を行ったりすることが出来るようになる。それは天地間の大気を鼻より引き入れ、その大気を丹田から体全体に行き渡らせるのである。それによって外の大気、内の大気が1つとなり、生命体を保つことができるようになる。そして内外不二、大自然と自己とが一体となることができる。これこそが調息法の究極の目的である。

歩行する時重要なのは、足よりも下腹から進むようにすること。これは腹式呼吸によって息を吸うとき下腹を膨らませるからである。
さらに目で外のものを見るときには丹田で見るが如くすべし。眼で見るのではなく心で観るべし。
(宮本武蔵の“五輪の書”でも同じ様なことが書かれていると著者はいわれています)

これは、白隠禅師の調息法を継承発展させたものであると著者の鎌田茂雄氏は述べられています。


白隠禅師の“夜船閑話”は禅師が重症の結核になられ、医者や禅の老師からも見離され、白幽仙人から教わった“なんその法”(今で言う特殊な自己催眠法)でそれを完治したという話をのべ、坐禅のすばらしさをも説いた本ですが、この調息法についても詳しく述べられていますので、一読をお勧めします。なおこの“夜船閑話”は、抗生物が発見され大衆に使用されるようになるまでは(日本では1960年頃までと思います)結核患者必読の書物だったのです。何故ならこの“なんその法”はただですから。
またこの“なんその法”で結核を治された方もかなりおられると思います。

また行住坐臥、背骨は常に真っ直ぐにし正しい姿勢を保つことも、健康には勿論、仕事の姿勢としても大切なことです。また1日に1回、直立して両足を広げ、ゴルフクラブか細い棒を背中の後ろに回し、両腕の上腕と下腕の間の凹部で、水平に保持して、背骨を真っ直ぐにした状態で、(背骨を中心にして)100回往復Twistをすることをお勧めします。これによりあなたの背骨はより真っ直ぐになり、神経系統を整えます。これも整体師の先生に教えて戴きました。
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