JR貨物
トヨタの部品を専用列車で輸送
名古屋-盛岡、11月15日から
JR貨物と日本通運、名古屋臨海鉄道、日通商事の4社は10月30日、名古屋臨海鉄道名古屋南貨物駅でトヨタ自動車の部品輸送専用列車「TOYOTA LONG PASS EXPRESS」(トヨタロングパスエクスプレス、名古屋南貨物-盛岡貨物ターミナル間)の出発式を開催した。JR貨物とトヨタ自動車、トヨタ輸送、日通の4社による共同プロジェクトで、トヨタ自動車の国内生産用部品を専用で輸送し、二酸化炭素(CO2)の削減とリードタイムの短縮を図る。11月15日から運転を開始する。
CO2削減とリードタイム短縮
トヨタ自動車では、国鉄時代の1966年(昭和41年)から82年まで完成車を貨車で輸送していたことがあるが、鉄道を利用して自動車部品を運ぶのは今回が初めて。環境負荷低減活動と物流効率化の一環として、約3年前から準備を進め、昨年4月から試験輸送を実施してきた。
列車単位での専用輸送は、特急コンテナ電車「スーパーレールカーゴ」(佐川急便)、「スーパーグリーン・シャトル列車」(日本通運、全国通運)に次いで3本日。列車名の「LONGPASS=Logistics Of New Generation Parts Active Service System」は、トヨタが既に行っている遠隔地工場向け部品輸送システム全体の名称。
自動車部品は、愛知県内のトヨタ各工場や部品メーカー各社で生産され、31フィートコンテナを積んだトラックがトヨタ各工場や上郷集荷センター(豊田市)を回って名古屋南貨物駅へ運び込む。盛岡貨夕駅からは、再びトラックでトヨタグループの関東自動車工業岩手工場(岩手県金ヶ崎町)へ輸送する。
同工場へは、これまでは名古屋港から仙台港ま
でRORO船で運び、仙台港からトラックで運んでいた。今回の部品はすべて増産用で、既存の輸送ルートとは別に構築する。CO2削減効果は、トラックによる陸上輸送に比べて年間約7000トン、リードタイムは現在の3日から2・5日に短縮される見込み。
運転区間は名古屋南貨物-盛岡貨物ターミナル間(約900㌔)、1日1往復。年間運転日数は、工場稼働日に合わせて244日となる。列車は20両編成で、31フィート大型コンテナを40個積載する。
貨物鉄道に新たな歴史
ダイヤは、往路が名古屋南貨物発22時40分、盛岡貨夕着翌日14時30分。部品積用空容器を回送する復路は、21時16分発、翌日14時31分着。コンテナは、日通の「ビッグエコライナー31」の内部を広げて改良し、容積率を16%アップした。専用のロゴマークも入れている。
出発式には、JR貨物の伊藤直彦社長、小林正明副社長、田村修二専務・ロジスティクス本部長、川合正矩日通社長、張富士夫トヨタ自動車会長、来賓の望月義夫国土交通副大臣ら関係者が出席。山内智JR貨物取締役・東海支社長、若林宏日通常務執行役員・名古屋支店長のあいさつの後、機関車乗務員らに花束が贈られ、テープカットとくす玉割りが行われた。
続いて名古屋市の名古屋マリオットアソシアホテルで開かれた運転開始記念祝賀会で、伊藤社長は「国鉄改革から20年目の節目の年に、日本の鉄道貨物の歴史に新たな1ページを開いた。環境問題という天の時、鉄道特性を発揮できる900㌔という地の利、関係者の大変な努力という人の和の3つがそろってプロジェクトが完成した」とあいさつ。
張会長も、「トヨタでは昨年国内で約370万台の自動車を生産し、そのうち約15万台を関東自動車工業岩手工場で生産したが、今後さらに増産が見込まれる分の部品を鉄道で運ぶことになった。かつての輸送は、品質とコストが決め手だったが、今は環境にやさしいという大きな要素が加わり、様変わりした。今後もますます鉄道へシフトしていかなければならない」と述べ、さらなるモーダルシフトへの取り組みを強調した。
今は、大手企業などが地球温暖化対策のため、コンテナ輸送に切り替えしてるのが多くなったわね。これからも増えるんじゃないかしら。一時は利便性からトラック輸送が全盛だったけど、これからは地球環境やコストなどを考えてコンテナ輸送が増えると、私たちの市民生活の環境もぐっとよくなるでしょうね。けどまだまだ時間がかかりそうだね。