来年秋の全線運転を目指す
残る角川-猪谷間
台風による豪雨で大きな被害を受け、2004年(平成16年)10月から不通になっているJR高山線角川-猪谷間27・5㌔で、来年秋の運転再開を目指し、復旧工事が順調に進んでいる。難関だった橋梁の架設工事も本格化し、流出した4カ所のうち1カ所では橋げたの架設工事をこの8月に終えたほか、残り3カ所の橋げた架設も10月中旬ごろには終える計画。橋梁以外の被災個所でも路盤工事が着々と進行中で、年内にはほぼ完了する見通し。これらに合わせて軌道の敷設工事も順次開始される予定になっている。
岐阜県飛騨地区の高山線が台風23号の豪雨により、高山-猪谷間52・8㌔が不通になったのは2004年10月20日夜。橋梁や路盤の流出、斜面崩壊など、計106カ所で被害を受けた。
うち、高山-飛騨古川間はおよそ1カ月後の11
月18日に、また飛騨古川-角川間は昨年10月1日から運転を再開。現在は角川-猪谷間が不通となっており、バスによる代行輸送を行っている。
角川-猪谷間の被災個所は81箇所に上がっており、橋梁流出4カ所をはじめ路盤流出11カ所、斜面崩壊4カ所など、被害の度合いも大きかった。しかもこの区間は、高山線と同様に被害を受けた宮川や国道360号線が寄り添っており、鉄道、河川、道路一体の復旧工事を行う必要があった。
このため、岐阜県などと復旧の手順などについて協議を重ねた。協議は昨年春にまとまったが、工事は宮川の渇水期を待って行わなければならず、本格的な鉄道の復旧工事に着手したのは昨年11月下旬になった。着工後の工事は、冬場の豪雪やこの7月の豪雨などの影響が多少あったものの、ほぼ予定通り進んでいる。
橋脚・・・橋げた架設も順次実施
路盤・・・年内にほぼ完了見通し
流出した橋梁の復旧工事では現在、橋げたの架設工事を実施中。流出した4橋梁のうち、最も短い打保-杉原間の桑谷橋梁が今年8月に施工されたほか、今月から坂上-打保間の第5、第6宮川橋梁、角川-坂上間の第9宮川橋梁の工事が始まった。第6は今月末、第9は来月初句、第5は来月中旬に橋げたを架け終える予定になっている。
3橋梁のうち、最も長い第5宮川橋梁の橋げた架設は今月15日からスタートした。同橋梁は、長さ約130㍍の6連構造だったが、一昨年の豪雨では橋脚5基のうち1基の上部が崩壊したほか、けた6連のうち4連が流出し、坂上方の橋台が洗掘されるという被害を受けた。復旧工事では比較的被害の少なかった橋脚3基とけた2連を補修して使用するほか、橋脚2基と橋台1基、けた4連を新設・新製することにし、昨年12月から橋脚の補修・新設工事を進めていた。
架設工事初日の15日には、約10人の作業員が1
80トンの大型クレーン1基を使い、最も坂上寄りの1連(長さ約23㍍、重さ約42トン)を、新製した橋台と橋脚の上に約1時間かけて慎重に据え付けた。来月中旬にかけて残る5連も順次架設した
後、軌道工事に入り、来春には電気・信号設備の工事も開始する。復旧工事終了後の同橋梁は全長が8㍍ほど長くなる。
そのほかの復旧工事も順調に進んでおり、およそ1年後の来年秋には角川-猪谷間の全線で運転再開となる。来年秋には、宮川の峡谷を染める紅葉を列車の車窓からゆったりと眺めることができそうだ。
復旧費用は、高山-猪谷間全体で約60億円と見込まれている。
高山線、まだ復旧してなかったのね。ニュースなどの報道は災害発生時だけを大きく取り扱って、その後の復旧状況などはあまり伝えないからね。知らずに旅行してると、こういう現場に思わず出くわして、しぶしぶ戻る羽目になる事がよくあるよね。まだ1年も復旧に時間が掛かるけど、今度はいくらかでも災害に強くなって欲しいですね。