胃ガンの雑誌編集長が様々な画策と思惑を過ごす日日。
その中で述解する事柄は、この世界この社会を辛らつに批評してどう在るのが良い方向かを考える哲学的なものでもある。登場人物にも作者が乗り移ってセリフを言わせている感がある。
考えることに真面目なんだな。自分の中に深く入り込みすぎているような気もするが、共感する部分も大いにある。基本的に人間のつくる社会は絶望が犇いているという視点は好ましく感じる。
この思索が下巻でどうなっていくのかも気になる。
道の真ん中に。
立ちはだかる鷺。
お久しぶりです先生。
やあつまり。
視点次第ということです。
大きな視点で見てみれば。
すべてはくだらないことですが。
別の見方で見てみれば。
些細なことや美しい言い分は。
割と大事なことなのです。
どの視点を君が採るかは。
どのように君が振舞うかは。
君が選ぶべきことです。
何もする気はなかったのに。
一歩踏み出すと。
鷺は飛び立った。
羽音を二回響かせて。
夜の空を遠ざかった。