松下幸之助一日一話
6月26日
冷静な態度
人間というものは誰しも、困難に直面すると恐れたり、動揺したりするものである。指導者とても人間だから、ときに不安を感じ、思案に余るのは当然であろう。しかし、内心で感じても、それを軽々に態度に出してはいけない。指導者の態度に人は敏感なものである。それはすぐ全員に伝わり、全体の士気を低下させることになってしまう。
だから、指導者たるものは日ごろから事に当たって冷静さを失わないようにみずから心を鍛えなければならない。そして、どんな難局に直面した場合でも、落ち着いた態度でそれに対処するよう心がけることがきわめて大切だと思うのである。
天声人語(OCN朝日新聞デジタル)
2013年6月26日
選手時代はブラジルの国宝的な存在、いまも「サッカーの王様」と尊敬されるペレは、貧しい少年時代を送った。いつも裸足で、捨てられた服を拾って着ていたそうだ。7歳で靴磨きをやり、靴下を丸めたボールを蹴って遊んだと、『ペレ自伝』(伊達淳訳)にある
▼食べるものがないといった、生活につきまとう恐怖は、数ある恐怖の中でも最悪のものだと本人が語っている。だが近年は、経済成長や救済策で数千万の人が貧困層から抜け出したという。結構なことだが、それがデモの背景の一つらしい
▼ブラジルを揺らすデモの参加者は中間層が多いと見られている。極貧からたたき上げた前大統領以来の政策で、貧しい人は手厚く保護された。片や中流は負担ばかりで恩恵は乏しい。不満のガスをためこんでいた
▼「自分たちの税金を貧困層にばらまいている」といった声もあると聞く。サッカーが最高のガス抜きという国で、コンフェデレーションズ杯開催中のデモの激化に、政府の動揺は小さくなかろう
▼金満と貧困について、こんな言い方を聞いたことがある。「世の中には2種類の人がいる。食欲以上に宴会をこなす者と、食欲を満たす食事ができない者だ」。ブラジルにとって、スラム街に象徴される貧困は根の深い問題とされてきた
▼来年はサッカーW杯が、その2年後には南米初のリオデジャネイロ五輪が控える。世界が待ちに待つ祭りである。注視を浴びながら、失敗のできない舵取(かじと)りを政府は続けることになる。
松下幸之助一日一話
6月25日
報告する
何かを命じられて使いに行き、帰ったら、「あれはこうでした」と、必ず報告しているでしょうか。
何か問題が起こったという場合はもちろん、何事もなかったときでも、何もなかったのだからそれでいい、と考えるのではなく、まず報告する。また、それがいい結果であったら、それはそれで報告する。そうすると、報告を受けた方も「それは結構やったな」と非常に愉快になるし、安心もします。
打てば響くというか、以心伝心というか、肝胆相照らす仲であれば、命じた人の気持を察して必ず報告するものです。そのちょっとした心がけから信頼感も生まれてくると思います。
天声人語(OCN朝日新聞デジタル)
2013年6月25日
天声人語
沖縄県の与那国島は日本の西の果てに浮かぶ。その島にある久部良(くぶら)小学校1年、安里有生(あさとゆうき)くんの朗読する詩に、目頭を熱くした人もいたのではないか。沖縄慰霊の日の追悼式場から、あどけなくもきっぱりした言葉が、大人の心を洗うように届けられた▼「へいわってすてきだね」という題が、まっすぐに響いてくる。〈へいわってなにかな。ぼくは、かんがえたよ。おともだちとなかよし。かぞくが、げんき……ねこがわらう〉▼朗読をテレビで聞きながら、与那国島の出身で、沖縄初の「軍神」になったある大尉を思い出した。陸軍士官学校を出てガダルカナル島で戦死した。那覇市での県葬には1万人が参列し、児童6千人が行進したという。かつて、その人の遺族に取材したことがあった▼顕彰運動はむろん、県民の戦意高揚が狙いだった。そうした果てに沖縄戦があった。住民は根こそぎ動員され、「鉄の暴風」といわれる戦火の中で多くの人が死んでいった▼与那国島を訪ねると、小高い崖に戦時中の詩のプレートが今も残る。詩の作者は島を「南海の防壁」と呼び、〈おお汝(なんじ)は 黙々として 皇国南海の鎮護に挺身(ていしん)する 沈まざる二十五万噸(トン)の航空母艦だ〉と言葉を結んでいる▼戦争が終わって68年、安里くんは、島の道ばたにあるものが「平和」なのだと気づく。〈やぎがのんびりあるいてる……よなぐにうまが、ヒヒーンとなく〉。平和という言葉についた手垢(てあか)を、小さな詩人に洗い流してもらったような気になった。
松下幸之助一日一話
6月25日
報告する
何かを命じられて使いに行き、帰ったら、「あれはこうでした」と、必ず報告しているでしょうか。
何か問題が起こったという場合はもちろん、何事もなかったときでも、何もなかったのだからそれでいい、と考えるのではなく、まず報告する。また、それがいい結果であったら、それはそれで報告する。そうすると、報告を受けた方も「それは結構やったな」と非常に愉快になるし、安心もします。
打てば響くというか、以心伝心というか、肝胆相照らす仲であれば、命じた人の気持を察して必ず報告するものです。そのちょっとした心がけから信頼感も生まれてくると思います。
天声人語(OCN朝日新聞デジタル)
2013年6月25日
天声人語
沖縄県の与那国島は日本の西の果てに浮かぶ。その島にある久部良(くぶら)小学校1年、安里有生(あさとゆうき)くんの朗読する詩に、目頭を熱くした人もいたのではないか。沖縄慰霊の日の追悼式場から、あどけなくもきっぱりした言葉が、大人の心を洗うように届けられた▼「へいわってすてきだね」という題が、まっすぐに響いてくる。〈へいわってなにかな。ぼくは、かんがえたよ。おともだちとなかよし。かぞくが、げんき……ねこがわらう〉▼朗読をテレビで聞きながら、与那国島の出身で、沖縄初の「軍神」になったある大尉を思い出した。陸軍士官学校を出てガダルカナル島で戦死した。那覇市での県葬には1万人が参列し、児童6千人が行進したという。かつて、その人の遺族に取材したことがあった▼顕彰運動はむろん、県民の戦意高揚が狙いだった。そうした果てに沖縄戦があった。住民は根こそぎ動員され、「鉄の暴風」といわれる戦火の中で多くの人が死んでいった▼与那国島を訪ねると、小高い崖に戦時中の詩のプレートが今も残る。詩の作者は島を「南海の防壁」と呼び、〈おお汝(なんじ)は 黙々として 皇国南海の鎮護に挺身(ていしん)する 沈まざる二十五万噸(トン)の航空母艦だ〉と言葉を結んでいる▼戦争が終わって68年、安里くんは、島の道ばたにあるものが「平和」なのだと気づく。〈やぎがのんびりあるいてる……よなぐにうまが、ヒヒーンとなく〉。平和という言葉についた手垢(てあか)を、小さな詩人に洗い流してもらったような気になった。
【プロ野球】広5-4ヤ 堂林が逆転サヨナラ2ラン
広島がサヨナラ勝ちで、連敗を4で止めた。0-4の六回に広瀬の2ランなどで3点を返し、1点差の九回1死二塁から堂林が自身初のサヨナラ本塁打を放った。今村が今季初勝利。ヤクルトは山本哲がつかまり逃げ切れなかった。
◇
◇セ・リーグ
広島-ヤクルト7回戦(ヤクル
ト5勝2敗、13時30分、マツダス
タジアム、23240人)
ヤクル004000000-4
広 島000003002x-5
▽勝 今村32試合1勝2敗2S
▽敗 山本哲27試合2敗8S
▽本塁打 バレンティン23号(3)(
前田健)広瀬4号(2)(八木)堂林
3号(2)(山本哲)