11月15日松下幸之助一日一話(松下幸之助.COM)
自分の働きの価値は
皆さんは自分の働きの価値というものをどのように考えているでしょうか。かりに月給が十万円の人であれば、十万円の仕事をしたのでは会社には何も残らないことになります。
私は自分が十万円もらっていれば、少なくとも三十万円、できれば百万円ぐらいの仕事をしなくてはいけないと考えます。そうすれば会社に金が残ります。その金は会社だけでなく社会へ還元されるわけです。
会社から十万円もらって八万円の仕事をしていたなら、会社は二万円損ですから、そういう人ばかりだと、その会社は潰れてしまいます。会社に働く者としては、そういうことを絶えず頭に置いておく必要があると思います。
筆洗
2013年11月14日(東京新聞TOKYOWeb)
▼十一月も半ば近く、駅のプラットホームに立てば、風は冷たい。町並みを見下ろす。灰色の煙突が立っている。あの煙突もなくなる。東京・阿佐ケ谷駅近くの「観音湯」が店を畳む
▼「時代には勝てないものです」。おかみさんは言った。失礼ながらどこにでもある町の銭湯である。一九三三(昭和八)年創業だからちょうど八十年
▼戦争も見た。戦後復興、高度成長期やバブルも大震災も見た。長い年月、煙突や湯船は庶民の何を見聞きしてきたのか。そう考えると、ニュースにもならない、ごく普通の銭湯の廃業がさびしい
▼自宅に風呂は当たり前で、若い人には内風呂の意味もフルーツ牛乳の味も通じにくいのではないか。六八年、東京二十三区内に二千七百あった銭湯は現在、七百前後まで減った。客足は衰えているのに維持運営にはお金がかかる
▼江戸の湯屋の歴史は一五九一年に始まる。町内には銭湯、そば屋一軒ずつという決まりがあったという。競争を避けるためだが、いまや町内にそば屋、銭湯が一軒もない所が、ほとんどだ
▼子どもの時にかけ湯を省いて大人に叱られた記憶。水でぬるくして、熱い湯を好むおじいさんに怒られた人もいるだろう。湯を共有する。銭湯は他人との関わりや「公共」を学ぶ教室だったかもしれぬ。近くの銭湯は大切にした方がいい。今年の冬至、「観音湯」の柚子(ゆず)湯はない。