漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

晴れたらいいね

2017年01月06日 | 
映画「君の名は。」の興行収入が、
200億円を突破してまだ伸びそうな勢いだそうです。

私は見ていないのですが、
その宣伝文句には、

「夢の中で“入れ替わる”少年と少女の恋と奇跡の物語」とありますから、

映画「転校生」の原作となった、
「おれがあいつであいつがおれで」につながる系譜のようです。

いわゆる「入れ替わりもの」。

何年か前、
たまたま読んだある小説がこの「入れ替わりもの」で、

なかなかおもしろかったのですが、
この作品がある文学賞の候補になった時、

「話もよくできてるし、作者の技量も確かだが、
人格が入れ替わると云う設定が安直すぎる」として、

審査員の間から疑問が出たそうです。

つまり、人格を入れ替えてしまえば、
確かに話としては面白くなるだろうけれど、

まじめな文学賞の対象としては荒唐無稽に過ぎる、と云う分けです。

ところが、その後、
この「入れ替わり」を使った小説やマンガがどんどん発表され続け、

テレビドラマ化や映画化もされ、
いまや、小説の一分野と云ってもいいような盛況ぶり。

この「入れ替わりもの」の、何よりの強みは、
「君の名は。」でも分かる通り、絶大なる“ファンの支持”があること。

かっての審査員や評論家の逡巡を吹っ飛ばし、
大衆の支持を味方につけた「入れ替わりもの」は、ますます増えそうな勢い。

この正月に、

現代の病院で働く若い看護婦さんが、
戦争中の野戦病院で頑張る従軍看護婦さんに「入れ替わる」と云う小説、


藤岡陽子著、
「晴れたらいいね」を読みながら、そんなことを思いました。






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