漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

信長団子

2020年12月13日 | ものがたり

江戸初期の咄本,
「きのうは今日のものがたり」にある話。

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織田信長公、
団子をお好みでよくお召し上がりになられる。

これを知り、
京の町衆ら「上さま団子」と呼び慣らわす。

ある粗忽なる小姓、
信長公の近くにてこの噂話をすれば、

耳にした信長公いたく立腹成され、
手打ちにもとの御気色のおり、

たまたま
その場に居合わせた医師の曲直瀬道三、

「お怒りはごもっともなれど、
 世上の者どもそう申すことはむしろ名誉にて、

 むかし、
 皇室にも納める菓子屋の粽(ちまき)を
 人々が「内裏粽」と通称する事を耳にされた天皇、

 それもおもしろしとその呼び名をお許しになれば、

 それよりは、
 京の者ども天皇のお心の広さを崇め奉りしことあり」と申せば、

信長公の御機嫌も直り、右の小姓もお許しになる。

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