漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

男は私の他に誰もいないのか!

2019年04月17日 | 政治・経済・こぼれ話
いろいろな考えがあるとは思うんだけど、
私は「政治家には運が必要だ」と思うタイプです。

むかし、イギリスに、
初めての女性宰相、サッチャー首相が登場した少しあと、、

急激に支持率が落下、
次に選挙があれば危ないと云う情勢となった。

その時、
イギリスから遠く離れた領土

フォークランド諸島に、
隣接するアルゼンチンから軍が侵攻した。

この国難に対し、
急きょ、大臣たちを召集した閣議で、

首相は、
「断固、軍隊派遣」を主張した。

ところが、誰も賛成しない、

領土とは云っても遠く離れた地に住民はわずか、
軍隊派遣などと云う手荒なことは避けたい、と云うのが、閣僚たちのホンネ。

その時、サッチャー首相が言い放った言葉が歴史に残る。

この場に、
「男は私の他に誰もいないのか!!!」

斯くて軍隊は派遣されフォークランドは奪回、

政権の支持率は急上昇
サッチャー内閣は長期政権となった。

じつは当時のイギリスは、
かっての植民地をたくさん抱えていた黄金時代とは異なり経済危機、

なのに、
昔の「揺りかごから墓場まで」の時代の福祉政策を抱えたまま。

このままではイギリスは亡びる、
そう云う危機意識から登場したサッチャー政権だったが、

新政権が最初にやったことが、
福祉の見直し、年金カットなどとあっては、

急激に支持率が下がったのは、ムリもない処。

その時、
突如として起こったのがフォークランド紛争。

支持率を回復した政権は、
なんとか改革を成し遂げ、イギリス経済も危機を脱するのだが、

あとから見れば、
この事件は、サッチャー政権にとっての天祐だったと云えなくもない。

きのうからのマスコミは、
パリの「ノートルダム寺院が燃えた」との大報道。

今朝の新聞によれば、
フランスが世界に誇るファッションブランド、

クリスチャン・ディオールやルイ・ヴィトン、
はたまたグッチなどが、

復興資金として数百億円の提供を申し出ているそうな。

世界遺産の火事は、
たしかに悲劇的事件ですが、

見方を変えれば、

黄色いベスト運動などで窮地に立つ、
マクロン政権にとっては、

国民を一つの目的に団結させるチャンス。

黄色いベスト運動は、
企業の税金を下げる一方、石油税を上げるなど、

マクロン大統領の政策を、
金持ちばかり優遇する、と見て、

おもに地方の恵まれない庶民層から湧き出た不満の発露ですが、

前・左派政権の掲げた富裕層への重税化は、
結果的に「金持ちの国外脱出」と云う現象を生み、

経済不振を増すばかりで、
国家税収の増加には結び付かなかった。

その結果を見ての、
マクロン大統領の政策で、

今は一時の辛抱、
企業への税を下げて投資を呼び込み、

石油税の値上げで、
税収増と共に大気汚染を減らし、

「ここさえ耐えたら将来は明るい」と云う、
腹づもりなんでしょうが、

一向に生活の良くならない庶民層から見れば、
「金持ちにばっかり尻尾を振って」と見えるのも又無理からぬ処。

と、云う分けで、
ピンチに立つマクロンさんの足元で、

降って湧いたような今回の悲劇的事件。

ここは見方を変えれば、
マクロンさん、その政治的才腕の見せ処、

上手く納めれば、

この厄災を
「サッチャーさんにとってのフォークランド」のように、

することも、
可能なのではないかな、・・・などと、

あらぬ妄想をめぐらしながら、
今朝の新聞を読むワタクシメなのでありまするよ。 (笑)


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【天祐】てんゆう
 天の加護。天のたすけ。



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