漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

俥引きの三やん

2009年01月14日 | せけんばなし
きのうの続き。

相場と同じく、
勝ち負けのある処、賭けの対象となるのは、コレ又歴史が証明している。

囲碁、将棋、双六は云うに及ばず、

和歌の優劣を決める歌合せや、
花を比べる花合わせに、

豪華な景品が賭けられたとは、
平安時代の貴族が、日記などに書き残している処。

景品とは云っても、
まだまだ物々交換が主力で、貨幣流通の進んでない当時のこと、

銅銭より絹織物の方が、
交換するに喜ばれたであろうから、賭博と云って差しつかえない。

戯曲「王将」のモデルとなった坂田三吉は、
その素人時代、将棋が抜群に強かったにも拘わらず貧乏だった。

当時の将棋はカネを賭けるのが当たり前、
そうとなれば、
将棋の強い「俥引きの三やん」は、カネを儲けて当たり前のはず。

処がそうはならない、
なぜなら、負けると分かっていてカネを賭ける奴はいないから。

強すぎて相手が無ければ、
ハンディを付けるか、賭け金に差を付けて、相手を探すしかない。

将棋で云えば、
強い方が自分の駒を落とす、つまり自陣の戦力ダウンをする。

落とす駒の種類によって勝負の確率を調整する。

或いは賭け金を倍にしたり三倍にしたり、

ただし、それでも三やんが頑張って勝つと、
次は、もっとハンディをきつくしないと相手は勝負を受けない。

将棋を指したいと思えば、
常に「辛いメ」の勝負でも挑むことになるから、
将棋の強い三やんは、賭け将棋に強いとは限らない。

将棋を指すのが第一で、
カネは二の次の三やんは、カライめ、キツめの勝負にもすぐ応じる。

つまり、三やんは、
いつも自分より「やや強い」相手と指しているのと同じことになる。

将棋の上達法としてはこれは最も善い、
しかし、その分、掛けたカネは出て行くばかり、

これで、
「俥引きの三やん」の、、
将棋は強いが、「勝負には弱いカモ」と云う設定に無理が無くなる分けである。






コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。