漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

親なき子が築くユートピア

2018年09月02日 | ユーモア
もう随分前の話になるが、
人工授精や試験管ベイビーが話題になり始めたころ、

時事川柳に、
「百年後、世の中みんな 親なき子」とあるのを見て、

「まさかね」と笑った記憶がある。

むろん、
生物学的に云えば、

「親なき子」が誕生する分けはないのですが、

では、
「精子を提供しただけの男」を父と呼んでいいのか、
「卵子を提供しただけの女性」を母と呼べるのか、と問えば、

首をかしげる人は多かろう。

しかし最近の“医学の進歩”を見ていると、
私なんか「オソロシヤ」と思ったりするんですよね。

先日、こんな裁判がありました。

ある女性が夫の暴力から逃れるため逃げた。

その後、
夫との離婚が成立するより前、別の男との間に娘が生まれた。

女性としては、
父親が誰か分かっているので、その男を父とする出生届を出した。

処が、法律では、
「婚姻中に妊娠した子は夫の子と推定する」となっているため、

その出生届は受理されず、娘は無戸籍に、
その後、その娘が成長して産んだ孫2人も無戸籍となった。

その是非などを問う裁判、

判決は、
「現在の法律には合理性がある」とした上で、

それを変更するかどうかは、
「国会の立法裁量にゆだねられる」とした。

つまり、この問題の本質的な処は、
裁判所が判断することなんかじゃない。

どうするかは、
国民の代表たる議員さんが決めて下さい、とパスしたわけですな。

この記事を読み終え、
暫し妄想したのが、

こんな問題の起こりようのない未来国家「ユートピア」。

百年後だか千年後だか知らないけど、

憲法で、
「出産、育児、教育は、国家の専権事項」と云う時代にでもなれば、

国民は精子や卵子を提供する義務を負うが、
それらは国家の医療機関が一括管理し、

遺伝子記号の記された精子と卵子を見て、
どれとどれを掛け合わせるかは、担当官の医師が決める。

むろん、セックスは、
快楽を目的としたものに限定され、

国民が勝手に子供を作ることは許されない世の中。 (笑)

こうなれば、冒頭の川柳の通り、

「世の中みんな 親なき子」 (笑)


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【ユートピア】Utopia
《ギリシャ語からの造語で、どこにもない場所の意》

理想郷。
理想の国。
トマス=モアの長編小説。




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