かなり刺激的なタイトルである。
「精神科は今日も、やりたい放題」
内容もかなり刺激的。
「そもそも『脳の異常』というが、
精神医学においていまだに精神の疾患は科学的にわかっていない。
薬物の効果についても同様である。
今ある疾患理論、薬物理論というのはすべて2012年現在でも仮説である。
証明されたり因果関係を導けるものが何一つないのだ」。
だから、医師の診断による病名や、
処方する薬剤は、
医師の主観に因るものであり、
医師の人格次第でどうにでもなる性質を持つと、著者は説く。
精神科で処方される「抗鬱薬」などは、
覚醒剤に近い成分と効果を持ち、
その副作用で攻撃的になったり自殺願望が出たりする。
著者によれば、
精神科の患者の多くが、精神疾患とは云えないそうである。
私は精神科や心療内科に行った経験がないので、
その実態は分からぬが、
ただ、親しい知人から、
「仕事で悩むうち、鬱病のようになったので、
心療内科に行って、もらった薬を続けていたら、
しだいに怒りっぽくなって、
家族とも衝突ばかりするようになり、
これでは家庭が壊れると気づき、
思い切って 薬を止めたら収まった」
と聞いた経験はあるから、
この本の内容も、
まんざらウソでもないようだ。
著者も説くように、
「悩んだり、落ち込んだりするのは、
人間として当たり前のことなのだから」、
つらいからと云って、すぐ、
医者や薬に頼って何とかしようと思わず、
あるいは写経、あるいはジョギングといった自己鍛錬と、
家族や友人との交流の中で精神的に立ち直る道を目指すべきなのだろう。
医師やカウンセラーと云えども、
彼らが“魔法のように”悩みを解決してくれる分けではない。
どんなつらいことであっても、
結局、最後は、自分で自分の心を立て直すしかないのである。
ともかく、今の日本人が、
“安易に”医師や薬に頼りすぎるのは良くない、と云う
この著者の主張には、深くうなづけるものがある。
================
内海聡著 三五館
「精神科は今日も、やりたい放題」