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小規模多機能物語19

2006年11月21日 | 日本生活介護
(2)スウェーデン型福祉の見直し②-普遍主義がかえって普遍主義を壊す


 また、エスピン・アンデルセンは彼の著書「福祉資本主義の三つの世界-比較福祉国家の理論と動態」の中で、そうした福祉国家の苦悩を普遍主義的な福祉システムの宿命であると説明している。
「普遍主義に基づく連帯は、歴史的に見れば特定の階級構造にのみ適合するもの」で、それは「人口の大多数が『庶民階級』で構成されていて、したがって給付は平等で適度に限定された水準を保つことが望ましいと見なされる」ような階級構造であると。(G.エスピン・アンデルセン著 岡沢憲芙・宮本太郎監訳、ミネルヴァ書房)
 しかし一方で「普遍主義的なシステムは地位の平等をおしすすめる」ことから、「労働者階級が豊かになり新しい中間階級が台頭するにつれてこのような構造はもはや維持されなく」なり、結果的に「普遍主義はその意図せざる結果として二重構造をうみだしてしまう。」そして、「豊かな層は、普遍主義制度の平等で限定的な給付を補い、自らの生活水準に照らして適切と考える福祉の水準を達成するために、民間の年金や労使間のフリンジ・ベネフィットに依拠しようとする。」
 エスピン・アンデルセンは、「普遍主義」によって形成された新しい中間階級の登場が「普遍主義」を壊すのだという。それは、普遍主義が徹底することによって、かえって豊かな層が登場し独自の利害を主張するということなのだが、しかし、危機の本質はもう少し別のところからやってきている。
(続く)