猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

COMの中の女性作家 ② 竹宮 惠子

2007年05月16日 12時23分50秒 | まんがエリートのための雑誌 COM
       COMの中の女性作家さん その②は 竹宮 惠子 ケーコたんです。

 COM 昭和43年(1968)7月号 第十回月例新人入選作 「カギッ子集団」 16ページ 全ページフルサイズで掲載

 上の写真、39年前発表の作品ですが、どうです?今と変わらぬキュートな絵柄でしょ? と言うか、石ノ森氏風の少年まんが画風のここから始まって、「風と木の詩」 のような華麗な画風を経て、今は又、昔の適度に省略されたすっきりした画風に帰っている様に思うのですが。

 昔はカギッ子と言う言葉が有りました。共働きの家の子がまだ少なかった頃、鍵を持たされて日中一人で過ごす小学生くらいまでの子をそう言ったのです。今は学童保育とかあるし、専業主婦の少なくなった今はかえってそんな言い方しませんね。当時は親の管理の行き届かない子、親にほったらかされてる可哀そうな子と言う風な、どちらかと言えば悪い印象の言葉でした。

 あらすじ

 団地のカギッ子たちの団長 (最後まで名前は出ません) の男の子 (上の写真上段の右から2番目) は新しくカギッ子となったトコちゃん (写真下段 女の子4歳くらい?) をカギッ子集団に入れようと奮闘します。仲間のみんなは女の子だし年も小さいしと難色を示しますが、一人ぼっちで寂しそうにしているトコちゃんをほっておけないのです。それはそのまま自分達を見ているようで。
 
 しかし、トコちゃんは彼らと遊んでいるとママにしかられるので仲間に入るのを 「いや~」 と断固拒否。きちんとママとの約束を守ろうとするのですが、
でもなぜ ? どうして ? あの子たちと遊んじゃいけないの ?
ママに聞いても答えてくれません。カギッ子集団がいたずら小僧の集まりで、団地の奥様方からつまはじきされているから ? トコには理由が分かりません。

 違う日、トコがお友達と遊んでいると夕暮れ時、友達のお母さんが友達を迎えに来ます。何でうちのママは迎えに来てくれないんだろう。涙ぐむトコちゃん。そこに懲りない団長が慰めようと近づきます。

だめ! ママにしかられるもんっ

寂しいくせによ! なーんてま強情なチビなんだろ

だって ママが ママが・・・

 ワァァァと泣き出してしまうトコ。あわてて回りに集まってきたカギッ子集団の面々、アメを出したりあやしたり。

 やっと泣き止むトコを物陰から複雑な思いで見つめるトコママ。帰るトコママにおせっかいおばさんがトコちゃんがあんな監督不行き届きのカギッ子と・・・と告げ口すると 「トコもカギッ子です。」

 あの子たちは監督不行き届きじゃなくて、おとなの理解が不行き届きなんですわ。

 ここ、いいセリフですね。カギッ子集団とトコの楽しく遊ぶシルエットで終わっています。

 視点が紋切り型でなくて全体を見渡し、男性的なものを感じます・・・って、私も女流と言う言葉につかまっているのか ? お父さん達が、団長のことを あれでなかなかやるんだよ と言っているのを冒頭に出したりしています。
 反面、はっきりした解決法やトコママとの和解の場面を描かなかったりで中途半端な感じもないわけでは有りませんが、問題提起ということでしょう。

 選者の 峠 あかね氏 も、ラストで何もかもワカッチャッタ大人と歩み寄るような描き方ならば、文句なく佳作となった作品 と言っています。
 又、藤子 不二雄氏は、竹宮氏の場合は強い個性と言うより総合点での入選と言える。女性作家が男の子のグループを取り上げたことは面白く、又嫌味がなく自然に入っていける。カギッ子とはこういうものという説得力に欠ける。今後は山の張り方にポイントを置いて作品作りをするように、等々の評を寄せています。

 わたしなんか今読んでも、18歳の少女の作品とはとても思えないくらい完成されて見えるのですがねーー
コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする