自分の持っている石森選集のラストは気に入ってるこの作品。
第1巻 昭和44年(1969)2月10日 初版
第2巻 昭和44年(1969)4月15日 初版
第3巻 昭和44年(1969)5月15日 初版
「おかしなおかしなおかしなあの子」 は、第1部が昭和39年(1964)の春~昭和40年(1965)春まで、第2部が昭和40年(1965)春~夏、第3部は同じく昭和40年(1965)暮れから昭和41年(1966)春にかけて 「週間マーガレット」 連載。
1部42回、2部8回、3部12回の計62回の連載でした。タイトルは 1部 「おかしなおかしなおかしなあの子」 2部 「おかしなあの子」 3部 「さるとびエッちゃん」 と変わっています。
どうおかしな子なのかは、お友達のミコちゃんから紹介してもらいましょう。
わたしミコと親友モモちゃんの小学校に、おかしな子が転校してきたの。その子の名前は 猿飛 エツ子 通称エッちゃん。
まず動物の言葉が分かるらしいのにびっくりしていたら、小さな体でとても身軽に動いて忍者みたい。ガキ大将グループがからかっても、かーるくやっつけて早速みんなの人気者。お弁当はウメボシの種みたいなもの一つでお腹いっぱいらしい。
正義感が強くて弱い人や困っている人、動物を見るとほっとけなくて助けてあげる。捨て子のママを探したり、記憶喪失の女の人を幸せにしてあげたり。天使の格好をしてインチキ宗教の教祖を懲らしめたり。あたしのお姉ちゃんに付きまとっていた金持ちドラ息子を追っ払って、相思相愛だけどお互い打ち明けられなかったお隣のケンジさんとくっつけてもくれたのよ!
あそこの家族も面白いの。おじいさんとお姉さんの三人でくず屋をして原っぱのボロ屋に住んでいるのだけど、外はボロでも家の中はカラーTVや自動ドア、自動ハミガキの機械など最新設備ばっちりで地下室には死んだ人を生き返らせる機械まであるみたいなのよ
おじいさんは何でも知ってて科学者みたい。美人のお姉さんはかぐや姫に扮して現実的な近所のおばさんにファンタジーを見せてくれたわ。
お父さんとお母さんは遠いところにお仕事で行ってるようで見たことはないの。でも貝殻の形をした声のお便りが届くの。
不思議でしょ、私達にはエッちゃんが本当の天使に見えるときがあるのよ。
このマンガの中で私が始めて読んだときから忘れられないお話が一つ。
「近くて遠いふるさとの巻」
担任の女先生白雪先生のお母さんがキトクになり、一分でも早く帰りたい先生。しかし、台風が近づいていて先生のいなかの絶海の孤島、断崖絶壁の御蔵島 (みくらじま) には船が近づけません。エッちゃんは不思議な力を駆使してお母さんの死に目に先生を間に合わせてあげたものの、おじいからもらった 「いのちをのばすクスリ」 を海に落としてしまったのに気づきます。あわててもぐって探すと言うエッちゃんを先生は 「もういいの!」 と止めます。
「生きているおかあさんにひと目あえただけで もう十分なの。母もきっとまんぞくして死んだわ。」
「死んでいくものと生まれるものがあってはじめてこの世界は保たれているのじゃないかしら。」
昔始めて読んだときから好きでしたが、再読してまたまたじ~ん。他の巻も引き込まれて次々読んでしまいます。40年以上前の子供向きまんがでもしっかりした訴えるものが有るのです。
環境問題や拝金主義の大人たちを批判し、動物愛護を訴える。エッちゃんが声に出して言うわけじゃないけれど、作品からにじみ出てくるのです。師の手塚先生にもつながるヒューマンなお話が一話完結で面白く描かれます。もちろん、子供に分かりやすく勧善懲悪で悪者はステレオタイプなのはしょうがないですね。でも悪者だと思った人がいろいろ事情を抱えている、と言うところも描いているのですよ。
面白ろうて、やがて悲しき・・・。
当時の少女マンガではここまで表現できる人、そうはいなかったでしょう。子供だって分かります。単なるスーパー少女が活躍するだけのマンガではないから、当時から大人気でした。私はこの作品、昭和40年代の少女マンガの代表的傑作だと思っています。
第1巻 昭和44年(1969)2月10日 初版
第2巻 昭和44年(1969)4月15日 初版
第3巻 昭和44年(1969)5月15日 初版
「おかしなおかしなおかしなあの子」 は、第1部が昭和39年(1964)の春~昭和40年(1965)春まで、第2部が昭和40年(1965)春~夏、第3部は同じく昭和40年(1965)暮れから昭和41年(1966)春にかけて 「週間マーガレット」 連載。
1部42回、2部8回、3部12回の計62回の連載でした。タイトルは 1部 「おかしなおかしなおかしなあの子」 2部 「おかしなあの子」 3部 「さるとびエッちゃん」 と変わっています。
どうおかしな子なのかは、お友達のミコちゃんから紹介してもらいましょう。
わたしミコと親友モモちゃんの小学校に、おかしな子が転校してきたの。その子の名前は 猿飛 エツ子 通称エッちゃん。
まず動物の言葉が分かるらしいのにびっくりしていたら、小さな体でとても身軽に動いて忍者みたい。ガキ大将グループがからかっても、かーるくやっつけて早速みんなの人気者。お弁当はウメボシの種みたいなもの一つでお腹いっぱいらしい。
正義感が強くて弱い人や困っている人、動物を見るとほっとけなくて助けてあげる。捨て子のママを探したり、記憶喪失の女の人を幸せにしてあげたり。天使の格好をしてインチキ宗教の教祖を懲らしめたり。あたしのお姉ちゃんに付きまとっていた金持ちドラ息子を追っ払って、相思相愛だけどお互い打ち明けられなかったお隣のケンジさんとくっつけてもくれたのよ!
あそこの家族も面白いの。おじいさんとお姉さんの三人でくず屋をして原っぱのボロ屋に住んでいるのだけど、外はボロでも家の中はカラーTVや自動ドア、自動ハミガキの機械など最新設備ばっちりで地下室には死んだ人を生き返らせる機械まであるみたいなのよ
おじいさんは何でも知ってて科学者みたい。美人のお姉さんはかぐや姫に扮して現実的な近所のおばさんにファンタジーを見せてくれたわ。
お父さんとお母さんは遠いところにお仕事で行ってるようで見たことはないの。でも貝殻の形をした声のお便りが届くの。
不思議でしょ、私達にはエッちゃんが本当の天使に見えるときがあるのよ。
このマンガの中で私が始めて読んだときから忘れられないお話が一つ。
「近くて遠いふるさとの巻」
担任の女先生白雪先生のお母さんがキトクになり、一分でも早く帰りたい先生。しかし、台風が近づいていて先生のいなかの絶海の孤島、断崖絶壁の御蔵島 (みくらじま) には船が近づけません。エッちゃんは不思議な力を駆使してお母さんの死に目に先生を間に合わせてあげたものの、おじいからもらった 「いのちをのばすクスリ」 を海に落としてしまったのに気づきます。あわててもぐって探すと言うエッちゃんを先生は 「もういいの!」 と止めます。
「生きているおかあさんにひと目あえただけで もう十分なの。母もきっとまんぞくして死んだわ。」
「死んでいくものと生まれるものがあってはじめてこの世界は保たれているのじゃないかしら。」
昔始めて読んだときから好きでしたが、再読してまたまたじ~ん。他の巻も引き込まれて次々読んでしまいます。40年以上前の子供向きまんがでもしっかりした訴えるものが有るのです。
環境問題や拝金主義の大人たちを批判し、動物愛護を訴える。エッちゃんが声に出して言うわけじゃないけれど、作品からにじみ出てくるのです。師の手塚先生にもつながるヒューマンなお話が一話完結で面白く描かれます。もちろん、子供に分かりやすく勧善懲悪で悪者はステレオタイプなのはしょうがないですね。でも悪者だと思った人がいろいろ事情を抱えている、と言うところも描いているのですよ。
面白ろうて、やがて悲しき・・・。
当時の少女マンガではここまで表現できる人、そうはいなかったでしょう。子供だって分かります。単なるスーパー少女が活躍するだけのマンガではないから、当時から大人気でした。私はこの作品、昭和40年代の少女マンガの代表的傑作だと思っています。