むすんで ひらいて

YouTubeの童話朗読と、旅。悲しみの養生。
ひっそり..はかなく..無意識に..あるものを掬っていたい。

森のこちらと、あちら側

2012年09月26日 | 旅行
久しぶりの更新です。

今日は、秋晴れにふさわしい、雲ひとつない青空が広がり、街の音が高く吸い込まれてしまったように静かです。

9月は、友人の住む西東京の森へ出かける機会がたくさんありました。
どういうわけか昔から、一度訪れた場所が気に入ると、とにかく3回、続けて足を運んでしまいます。
時には、自然に用事が重なってそうなることも。

今回は、上、中旬と秋の気配を帯びていく森を歩き、下旬は雨模様だったので、しっとり緑を深める木立を外側から眺めました。




ホテルのお庭から、森の周遊コースが始まります。
9月1日。 すうっと踏み入った小道をほんの少し歩いただけで、葉を透かす陽射しは薄らぎ、クマゼミ、アブラゼミのシャワーにすっぽりと包まれました。
そこに佇むと、さっき庭で人とすれ違ってきたことが、はるか遠いできごとに思えます。




中旬。 お部屋から望む空は、まだまだ夏いろ。
右下に見下ろすガーデンチャペルでは、小さな結婚式が開かれていて、参列者のひとたちが、扉から敷かれた赤いカーペットを挟んで、扇子をはたはたさせたり、白いハンカチで首元を拭いながら、中から出てくるふたりを待っていました。

森の中は、ツクツクボウシ、ヒグラシの声に空気が緩み、黒い子猫がひとり、あっちこっちの茂みを覗きながら、先の方を歩いていました。


そして下旬、三度目の朝。 隣のテーブルで朝食をとっていたアメリカ人らしい二人の、外を向いていた女性が、まだ明るい庭にキラキラ舞ってきた小雨を目にし、
「雨が降ってるじゃない!」
と言って、クロワッサンをちぎる手を止めました。

まもなく、一面の芝生はみるみる背筋を伸ばし、節のごつごつした大木は、柳のような枝をゆさゆさと振りはじめ、向こうに広がる森も、そっと水に覆われていきました。



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