【歯顔大笑】

歯を見せて大きく笑おう!

144.【商いは牛のよだれ】

2012-12-10 | その他
【商いは牛のよだれ】

今回はこの"商いは牛のよだれ"と”よだれ”について書いてみたいと思います。

まずは、”よだれ”そのものについて・・・。普通に『よだれ、よだれ』と使っていますが、一体どういう
意味で、どういうところから来ているのか考えた事もありませんね。それでは書いていきましょう。

”よだれ”
元々は「よだり」(よたり)と言われていたものが平安時代以降「よだれ」と変わっていきました。

「よだり」(よたり)=「よ」+「たり」  で、

「よ」は、
  ・「緩む」「弱い」の意味など流れ出る箇所の状態を表しているとする説
  ・「よよ」と泣く時に垂れるものの意味  など、諸説あります。
「たり」は、
  ・「垂れる」「垂らす」意味の動詞「垂る」の名詞形。『名義抄』(11世紀末から12世紀頃に日本で成立
    した漢字を引くための辞書)では「鼻水」を表す「洟」や、「涙」を表す「涕」を「よたり」と読ま
    せていることから、唾液だけではなく、鼻水や涙など垂れ流れ出るものを「よだれ」と呼んでいたよ
    うです。

このように分けて説明があると、諸説あるにせよ『なるほどなぁ~!』という感じになります。


それでは、次に、その"よだれ"の入った"商いは牛のよだれ" です。


かつては日本中どこの農村でも農作業に牛を使い、また、荷車等をひかせて物資の運搬にも使っていました。
その牛といえば反すうを繰り返し、反すうのために唾液をいつも口の中にため”よだれ”を流している状態
です。切れ目なく"よだれ"を流している状態を商売に例え、”商いには順調な時も、苦しい時もあるけれど、
牛の"よだれ"のように途切れさす事なく頑張っていればまた、順調な時がやってくることがある。つまり、
商売は気長に辛抱、努力する事が大事” ということです。

こうやって意味を知ると本当にいい言葉だと思いませんか? 商いだけでなく、どんな事でもコツコツ頑張
って続けていればいい事が起こる!そんなふうに考えて、"牛のよだれ魂""牛のよだれ主義"で毎日を過ごす
っていい事だと思いませんか???

143.【出歯亀】

2012-12-03 | 
【出歯亀】(デバガメ)

みなさん、"出歯亀""デバガメ"という言葉聞いたことありますか?たまに耳する事もあるかもしれませんが
最近はあまり使わなくなったかもしれません。私自身もはっきりとした意味を知らず、なんとなく"おもしろい
響きであまりいい意味では使われない言葉・・・"くらいの認識しかありませんでした。

では、意味を・・・”のぞき魔、のぞきの常習犯、変態、などの意味の表現。明治時代に登場した語。”

意味自体は『へぇ~、そうなのか。。。』くらいかもしれませんが、私は言葉のおかしな響きと意味がうまく
合ってるなぁという印象を受けました。 そして、最後にある"明治時代に登場した語"、これがどういう意味
を持つか・・・『えっ、そんなんやったんかぁ~!』というもので、 この言葉の"語源"と関係があるので書
いていきましょう。

1908年(明治41年)3月、銭湯帰りの27歳の女性が殺されるという事件が起きました。事件発生当初より大々的
に報道される中、以前にも女湯の覗き行為を行っていた「出歯の亀吉」こと植木職人の池田亀太郎(当時35歳)
が犯人として逮捕されたのです。注目を集める事件であったために、新聞は捜査の当初から詳細に報道しており、
池田亀太郎が”出っ歯”という特徴を持っていたことから彼を”出歯亀”と呼んで報道し、それは彼を指す言葉と
してここで定着したそうです。この事件は「出歯亀事件」として同時代人の心に大きなインパクトを与えたのと
同時に、現代にまで”出歯亀”という語はのぞき趣味やのぞき行動を指す言葉として残ったのです。
しかし、池田亀太郎は、実際には出っ歯ではなく、「出しゃばり」であったことが転じて「出張り」=「出歯」と
なったのではないかという説や、事件そのものも冤罪ではないかという説があり、真相は定かではありません。
ただし、この事件の報道をきっかけに「出歯亀」という言葉が広まり定着したのは事実のようです。

”出歯亀”という言葉が元々は人の名前から来ていたとは驚きですね。普通は誇れる事で"名を残す"事を皆、
望みますが、不名誉な形で末代まで名を残すことになったこと、"出歯亀"はどのように感じているのでしょう。

142.【励声一番】

2012-11-26 | その他
【励声一番】(れいせいいちばん) 

"励声一番”、聞いた事はありますか? 今回は"口"から発する"声"という事でこの言葉をご紹介します。  
普段あまり耳にする言葉ではありませんが、なかなか"元気のでる言葉"という感じがします。

意味は・・・”ここ一番という時に、大声をはりあげること。勢いのよい掛け声。” です。
      「励声」は、大声を出すこと、声を張りあげる。 「一番」は一度。


ここ一番の時、自分自身に気合、活を入れるために声を出す、または声をかけるという事をします。とても
励みになり頑張ろうという気になります。落ち込んでいる時などは慰めの言葉よりも大きな声で活を入れて
もらう方が気分的に楽になる事もありますね。 どんな時でもボソボソと小さな声で話すよりも、はっきり
大きな声の方がいいですが、励声一番は”ここぞ”というタイミングで発する大声や掛け声ということです。

最近よく見る場面としてはアスリートがここ一番という時に大声を発しています。"気合入れ"という意味が
大きいのですが、そのほかの効果はないのでしょうか。。。
ロンドンオリンピックの前に"大声が生む突破力"という記事が朝日新聞に載っていました。それによると、

・いわゆる”火事場の馬鹿力”的なものを生む
・無意識に働く制御が取り払われ、最大筋力が発揮される。(リミッターカット)
・心拍数や血圧が上がり覚醒や集中力が増す
・やり過ぎは逆効果

これらは自分で発する大声によって起こるものですが、野球、ラグビー、サッカーなどのような団体スポーツ
でも、円陣を組んだりプレーヤーが集まって大きな声を出し、気合や活を入れている場面はよく見ます。
それによる結果の良し悪しは別として、パフォーマンスの質の向上は間違いないようです。

こういう事を知った上で、みなさんも自分自身やまわりの人に"励声一番"で元気を生み、分けあっていきたい
ものですね。。。くれぐれもやりすぎにはご注意を!

141.【赤口】

2012-11-19 | 
<赤口>(しゃっく・しゃっこう・じゃっこう)

みなさん、この"赤口"という言葉、会話の中で使う事ありますか? ほとんどの方は『ない!』、でも、時々
"目にする"事はある、そんな感じではないでしょうか。 では、どこで時々見るのか・・・。やはり一番よく
目にするのはカレンダーで、日付の横に小さく書かれている文字ですね。

カレンダーに書かれている文字とは・・・
六曜(六輝あるいは宿曜(すくよう))といわれる”冠婚葬祭万事にわたり日取りの吉凶を判断する”とされる
先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の6種が書かれています。

六曜とは・・・
元々は、一ヶ月(≒30日)を5等分して6日を一定の周期とし(30÷5 = 6)、”それぞれの日を区別する為の単位”
として使われていました。それが14世紀の鎌倉時代末期から室町時代にかけて中国から日本に伝わりました。
その名称や解釈・順序も少しずつ変えられ、19世紀初頭に現在の形になったといわれてます。赤口以外の名称は
全て変わっています。(元々は”即吉、共引、周吉、虚亡、泰安、赤口”)

赤口とは・・・
「赤」という字から赤くて危ない火や、傷つけて赤い血を流させる刃物、他「死」を連想される物に注意する
日といわれています。元々、陰陽道の「赤目日」という大凶の日に由来し、午の刻(午前11時ごろから午後1時
ごろまで)のみ吉で、それ以外は凶とされています。




このように歴史があり古くから深く信じられてきたように思われ、先にも”冠婚葬祭万事にわたり日取りの吉凶を
判断する”と書いた六曜ですが、実際は明治の改暦以降に"流行ったもの"だと考えるのが正しいようです。明治時
代以前の暦には易者が書いた「占い」が書かれており、人々はそれを頼りにさまざまな行事を行っていたのです。
しかし、改暦以降、政府がそれを禁止したので、易者達は政府が出した禁止事項にはなかった六曜を使い始めました。
それまでの六曜は上述したように”それぞれの日を区別する為の単位”であって、特に人気があったり人々が気にす
るようなものではなかったのです。しかし、”仏滅”や”友引”というような言葉が仏教や縁起を連想させる事から
広まったのですが、実際はそのようなものとは全く関係ありません。よって、現在、公的機関が作成するカレンダー
には記載されることはないのです。

どうでしょう、赤口、六曜の事わかっていただけましたか? 『気にしなくてもいい!』と思っても、
すでに根付いてしまっているだけに、赤口や仏滅を無視して物事を行うのはちょっと抵抗ありますね。


140.【歯の漢詩】

2012-11-12 | 
<歯の漢詩>

今回はゴチャゴチャ書きません。 とにかく読んでみてください! (左側が漢詩、右側が訳です。)

 去年落一牙 去年は奥歯が一本抜け、
 今年落一齒 今年は前歯が一本抜けた。
 俄然落六七 ちょっとの間に六本七本とぬけてゆき、
 落勢殊未已 歯の抜ける勢いはなかなかやみそうもない。
 餘存皆動搖 あとに残った歯もみなグラグラして、
 盡落應始止 きっと全部抜け落ちるまではおさまらぬらしい。

 憶初落一時 最初に一本抜けたときのことを思い出す。
 但念豁可恥 あの時はただ歯と歯の間がぱかり透いたのを恥ずかしいと思った。
 及至落二三 しかしそのあと二・三本と抜けてゆくにつれて、
 始憂衰即死 このまま老衰して死ぬのではと心配した。
 毎一將落時 そして一本抜けそうになるたびに、
 懍懍恆在己 いつもビクビクした思いにとりつかれた。

 叉牙妨食物 ちぐはぐでものを食べるのに不自由だし、
 顛倒怯漱水 グラグラしてうがいをするのもビクビクものだった。
 終焉捨我落 とうとう私を見捨てて抜けてしまったときには、
 意與崩山比 まるで山が崩れ落ちたような気がした。
 今來落既熟 このころはもう抜けることにすっかり慣れっこになって、
 見落空相似 抜けてもああまたかと思うだけだ。

 餘存二十餘 後に残った二十余本も、
 次第知落矣 次々に抜けてゆくに違いない。
 儻常歳落一 だが仮に毎年一本ずつ抜けるとしても、
 自足支両紀 二十余年は十分に持つ勘定だ。
 如其落併空 もしまた万が一、いっぺんに抜けて完全な歯なしになったとしても、
 與漸亦同指 少しずつ抜けてゆくのと結局は同じことだ。

 人言齒之落  人は言う、「歯が抜ければ、
 壽命理難恃  寿命の方も当然ながらあてにならぬ」と。
 我言生有涯  私は言う、「生命には限りがある。
 長短倶死爾  長寿だろうと短命だろうと結局は同様に死ぬのだ」と。
 人言齒之豁  人は言う、「歯にポッカリすきまが出来ると、
 左右驚諦視  周囲がびっくりしてじろじろみるだろう」と。

 我言荘周云 私は言う、「荘子も言っているように、
 木鴈各有喜 「有用のもの無用のものもそれぞれ長所がある」と。
 語訛黙固好 ものが言いにくくなれば、黙っていられるからかえって都合がよい。
 嚼廢軟還美 噛むことが出来なくなったら、軟らかいものがずっとうまくなるだろう」と。
 因歌遂成詩 そこで歌ったあげくに、この一遍の詩を作り上げた。
 持用詫妻子 ひとつ、妻や子供達に見せびらかしてやろう。

 (現代語解釈 「韓退之全歌集」<久保天随 日本図書センター>より)
 
歯について書かれた漢詩です。“白楽天”・“韓愈”・“陸游”等が有名なのですが、これは“韓愈”
の歌です。韓愈は唐の時代の有名な文学者・思想家、そして政治家でもありました。この歌を詠んだ頃、
彼はまだ36歳だったそうです。 歯周病だったのですねぇ。。。 それにしても、時代が変わっても、
どんなにえらい人、賢い人にも歯周病は起こり、人間みな同じような気持ちになるものなんですね。

・・・・・こんな症状、気持ちにならないように、しっかり歯を磨き、定期検診も受けましょうね!