のんびり・・・いそいそ~(*くうかんあそび*付き)

なんとか音楽の勉強を続けているちょっと変な主婦兼ピアノ指導者兼ボランティア演奏者の日常。取り留めのない駄文揃い。

「ピアニスト」

2006-11-24 00:29:51 | ほんとえいがのこと
今回観た3本の中で最も印象に残った作品。


「ピアニスト」

2001年のカンヌグランプリ他、
複数の賞を受賞したこの作品については賛否両論があるようで・・・。
でもこの作品を「好き」「もう1度観たい」という人っているんだろうか?

   

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ウィーン国立音楽院のピアノ科の教授であるエリカ。
年はすでに中年にさしかかっているものの
子供の頃からピアニストになるべく、それまでの人生の全てを捧げた上
母親の過干渉のためから、倒錯性癖を持っていた。
知的で冷静な反面、性的刺激を求め、盛り場をうろつくという行動も見せる。
そんな折
ある音楽会で顔見知りになった年下のワルターに心を寄せられる。


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男性の思いを受け入れることが初めてのエリカは
ワルターとの交際も素直になれない。
しかし自分の秘密を手紙で打ち明けることに。
その手紙の内容にワルターは呆然(そりゃそうだろ)。
どうみても彼は前途洋洋のごく普通の青年だからな~。

この映画に嫌悪感を抱くのはごく普通のことだろうと思う。
ワタシも途中で「こりゃイカン~」と何度思ったことか。
舞台である音楽院とシューベルトやバッハなどの楽曲のおかげで
何とか持ちこたえた所もあるヨ。
でも観終えた時に、強烈な印象が残った。
コレは大事なことなんだろうと思う。
嫌悪でも好感でも何でもいいんじゃないかと思う。心に残れば。

内容は暗く、救いがたい面もあるのだろうが
イザベル・ユペールとブノワ・マジメル、監督さんには脱帽する。
こんだけの映画を良く作ったよなぁ・・・。


余談だが
武満作品の譜面を初めてみた時、全く曲のイメージが浮かんでこなかった。
音を出してみて、ようやくどんな世界なのか少しわかったのだが
ある程度弾いた後に
「よくこの曲、響きを楽譜にできたな」と思ったことがある。
作曲の工程って知らないのだが
自分の頭にひらめいたフレーズなり何なりを
より効果的に肉付けして楽譜に具体化させるのならば
彼は相当な苦労をしたに違いない。
特に初期作品は自分の作風が知れ渡っていないから
他人に自分のイメージする世界を楽譜を通して理解させるのは
かなり大変だったのだろうと思う。



この映画も「伝えたい何か」を見事に伝え切っているんじゃないかと思う。
その「何か」はイマイチ具体的にはいえないけれど(笑)。
くどいようだけれど
演奏でも映画でも、よしにつけ悪しきにつけ
人の心に残るって相当大変なことだ。



カップルで観るのはおすすめできないけれど
「重たい映画が好き」な人には是非オススメします~。
ちなみにR15指定ですが個人的にはR18指定かしらん。
それにしてもウィーン国立音楽院のトイレってこんなにキレイなの??



   出演: イザベル・ユペール, ブノワ・マジメル,
       アニー・ジラルド
   監督: ミヒャエル・ハネケ