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口は災いの"素"

音楽テクニカルライター布施雄一郎のポジティブなネガティブ語録/独り言編

YMOのボコーダー遍歴~『TOKIO』の謎

2006-03-01 23:04:09 | YMO &more

ブログ1周年記念特別原稿。


   *****


半年ほど前に、突然、


   YMOが使っていたVP-330は、前期型なのか後期型なのか?


ってことが気になって、気になって眠れなくなり、
猛烈に調べたことがあるんです。1日だけですけど( ̄w ̄)ぷぷぷ

このVP-330っていうのは、


   T・O・K・I・O・!(not ジャニーズ


で有名なロボット・ボイスを鳴らす
ボコーダー』と呼ばれるローランドのシンセサイザーで、
初期型と後期型の2タイプがあります。

YMOは前期型を使っているというイメージが強かったんですが、
本当だろうか?と思って調べたら、意外に面白い事実がわかったので、
ちょいと簡単にレポート化してみたんです。

そんなレポートを、ビンテージ・シンセ・ショップの
Five G Music Technologyさんのご好意で、同社のサイトに掲載いただきました。

#「トップページ」>「ミュージアム」>「Roland/VP-330」で見れます。

それを自分でもすっかり忘れていたのですが、
先日、検索で偶然に自分のレポを見つけて、ビックリしちゃいまして。^^;)

そこで、せっかくですので、
自分のブログでも掲載させていただこうという次第です。

多少、このブログの体裁に合わせて編集していますが、
基本的にはFive Gさんのページに掲載しているものと同じ内容です。

元々は自分用のメモ程度のつもりだったので、^^;)
あまりディープなツッコミはご遠慮ください (_o_)

あ、でも、もし事実と異なる部分や新事実をご存知の方がいらっしゃいましたら、
教えていただけると嬉しいです。(^^)


ということで、はじまりはじまりぃ~


   *****


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■YMOのボコーダー遍歴~『TOKIO』の謎
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『ソリッド・ステート・サヴァイヴァー』のTECHNOPOLISとBEHIND THE MASKの
ボコーダーはROLAND VP-330と言われていますが本当にそうでしょうか?

ROLAND VP-330の発売日は79年6月ですが、『ソリッド・ステート・サヴァ
イヴァー』のレコーディングは79年5月で終了しています。

YMOは発売前のROLAND VP-330を使用することができたのでしょうか?
『千のナイフ』~『YMO 1st』まで使われていたKORG VC-10が引き続き使用
されたのではないでしょうか?

   *****

ここで、VP-330の発売が79年6月ということを考えると時期的なズレがあり
ますが、同時期にレコーディングが開始された『YMO 2nd』のレコーディン
グについての松武さんの発言で「ボコーダーは発売前のVP-330を使った」
と言った数年前のサンレコの記事があります。

同時に、エンジニアの小池さんが「VP-330は使いづらかったけど、レコー
ディングの時には教授はもう使いなれてたから…といった内容の発言もあり、
この時点で、発売前のVP-330を既に教授が使用していたことがわかります。

81年に書かれた松武さんの書籍でも「TECHNOPOLISとBEHIND THE MASKのボ
コーダーはVP-330」という記載がありますので、『YMO 2nd』からVP-330
(当然ながら前期型)が使われていたのは間違いないと思われます。

それに、79年4月にレコーディングが開始された『KYLYN』で、既に教授の
ボコーダーがVP-330に代わっております。これは、同アルバムの機材クレ
ジットにも記載されています。

   *****

『ソリッド・ステート・サヴァイヴァー』のマスターテープのトラックシ
ートを見ると、2ndアルバムでボコーダーが使われた3曲(TECHNOPOLIS/
BEHIND THE MASK/INSOMNIA)は、メインパートが、ほぼ79/3月中に録り終
えているにも関わらず、ボコーダーに関しては

・TECHNOPOLIS / BEHIND THE MASK…4/19
・INSOMNIA…4/21


と非常に遅い時期にダビングされてます。

これらのことから、『当初VC-10で録音したが、79年4月に入りVP-330のプ
ロトタイプが手に入ったことから、レコーディング後半でVPに差し替えた』
といった推測ができます。


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■ライブで使用されたROLAND VP-330は前期型?後期型?
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YMOのライブに関しては、初期(紀伊国屋などのタキシードで演奏していた
時代)に関しては情報が少なく、VC-10を使っていたと思われますが、人民
服での初ライブ「六本木Bee」の時点で、すでにVP-330前期型が使用されて
おり、その後のグリークシアターライブ、最初のワールドツアーも、すべ
てVP-330前期型が使用されています。これらは、映像および写真で確認で
きます。


中野サンプラザでの凱旋公演ではラックタイプのボコーダー(当時の雑誌
記事で"モーグのボコーダー"と書かれているので、おそらくSPNO-1)が使
われていますが、その後の80年の国内ツアー、「TECHNOPOLIS 2000-20」以
降の夜ヒットへの出演や、2回目のワールドツアー、そして80年12月の武
道館ライブまでのYMOのライブでは、 すべてVP-330前期型が使われている
ことを確認しました。


80年3月~4月「TECHNOPOLIS 2000-20」だけ資料が少なく前期型か後期型か
の確認が取れていませんが、'80/4「写楽祭」ではVP-330前期型が使用され
ていることが確認できました。


これ以降、YMOのライブでボコーダーが使われたのは'93の再生ライブのみで、
そこではVP-330後期型が使用されていました。


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■レコーディングでのボコーダーの使用について
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機材エンジニアの方のお話では、1980年~1985年ぐらいの間はROLAND
VP-330後期型とVC-10の両方をレコーディングで使用されていたとのことです。


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■YMOボコーダー使用遍歴
======================

※細かいライブは記載省略

★1978★★★

78年4~7月
 『千のナイフ』Rec:コルグVC-10

78年7~8月
 『1st』Rec:コルグVC-10

78年12月10日
 「紀伊国屋ホールライブ」:コルグVC-10

★1979★★★

79年3月
 『SOLID STATE SURVIVER』Recスタート

79年4月
 『KYLYN』Recスタート:ローランドVP-330前期型

79年4月19日
 『TECHNOPOLIS / BEHIND THE MASK』のボコーダーRec:ローランドVP-330前期型

79年4月21日
 『INSOMNIA』のボコーダーRec:ローランドVP-330前期型

79年5月
 『SOLID STATE SURVIVER』&『KYLYN』Rec完

79年6月
 ローランドVP-330(前期型)発売

79年6月18日
 「六本木Beeライブ」:ローランドVP-330前期型

79年6月23日
 「カクトウギセッションライブ」:ゼンハイザーVSM-201

79年8月2-6日
 「グリークシアターライブ」:ローランドVP-330前期型

79年9月
 『SOLID STATE SURVIVER』発売

79年10月~11月
 「トランスアトランティックツアー」:ローランドVP-330前期型

79年12月19日
 「帰国凱旋ライブ」:モーグボコーダー(SPNO-1?)

★1980★★★

80年3月~4月
 「TECHNOPOLIS 2000-20ツアー」:ローランドVP-330(前/後期型か不明)

80年4月23日
 「写楽祭」:ローランドVP-330前期型

80年6月2日
 「夜のヒットスタジオ」出演:ローランドVP-330前期型

80年6~8月
 『B-2UNIT』Rec(ロンドン):ローランドSVC-350

80年10月
 ローランドVP-330(後期型)カタログ掲載

80年10~11月
 「World Tour '80」:ローランドVP-330前期型

80年12月24-27日
 「武道館ライブ」:ローランドVP-330前期型

★1993★★★

93年6月10-11日
 再生YMO 「再生ライブ」:ローランドVP-330後期型

★★★★★★


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3 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (所長)
2006-03-02 13:29:34
えーとVP330に限らないのですが1980年以降、Rolandはデザインを大幅に変えております。具体的にはスイッチ類がオルガンタイプのものから電子スイッチに、鍵盤はかまぼこ型から一般的な形になっております。
返信する
Unknown (もれっくす)
2006-03-02 21:40:02
ずっと気になっていたのは、ヤマハがボコーダを出さなかったこと。巨大なGX-1の前に疲れてしまったのだろうか・・・。
返信する
Unknown (MR.YF)
2006-03-02 23:36:55
所長さん>
そっすねぇ。通常、初期型と後期型って話になると、
タブレットスイッチかタクトスイッチか
ってところばかりがフィーチャーされますが、
実は鍵盤も違うんですよねぇ。

…っていうか、回路設計も(が?)かなり変わってるんですが、
個人的には音の違いはそれほど気にしてません( ̄w ̄)ぷ

もれっくすさん>
ヤマハさんって、「なんかコレ面白れぇ~から製品にしちまおうぜ!」ってノリではなく、
アカデミックな研究の成果を楽器にする傾向がありますから、
あんまりボコーダーには興味がなかったのかもしれませんね。^^;)
同じ「声」でも、フォルマントとか、そっちの方が研究の対象のようですし。

ま、でも、XG-1でそれどころじゃなかった説は、
意外に大当たりだったりして( ̄w ̄)ぷぷぷ
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