とまと日記 2011

最近、映画のイラストばっか。気ままに続けます

06.11.03 父親達の星条旗

2006年11月06日 | 映画とかと僕
クリンスト・イーストウッドじいちゃん最新作を見に行きました。硫黄島二部作第一弾ってことで、今回はアメリカからの視点から。次は日本からの視点からのを公開する形式をとっている…。そうかぁ。そうきたかぁ。

イーストウッドは、簡単な「悪」は書かない。正義なのか悪なのか、その曖昧な表裏一体のカードは、見る人にゆだねられるようなラストカット映画を撮る才人。
傑作とは言えないけれど、”なんかどこかで見た事があるけれど”秀作を送り続けることができる偉人。
俳優から監督に転移して成功しているのって珍しいですなぁ。
(香港では一時期、主演、製作、監督、脚本をこなすマルチタレントが好まれました。ジャッキーチェンも監督をしているのもその現れ。)
『許さざる者』『ミリオンダラーベイビー』などの善悪感情が前半と後半で逆回転してしまうような、ラストで主役がとった行動が、一体 悪いことなのか、良いことなのか。その反転具合がよかった。ラストは観客自身にゆだね手法です。そのためグイグイ賞をかき集めた。

父親達の星条旗はどうでしょうか?。カタチは違えどその精神はやっぱり現れていた。アメリカ兵が星条旗を立て上げる有名な像。映画のポスターにもなっているから、目にした人は絶対に、撮られたときのことを勝手に想像するでしょう。でも、実際は、アメリカ国民やポスターを見てイメージを膨らませた人が思っていたような写真ではなかった。ってことが描かれる。
今回は主役の行動どうこうではなくて、皆の思っていたイメージの反転が大きな柱。イーストウッドは反転がつくづく好きなんだなぁ。
だから硫黄島最前線の状況をアメリカと日本の双方の視点で見る。というコピーだけで想像すると、プライベートライアンが視点を変えて二本も見れるのか、みたいに思うかもしれないけれど一本一本にもちゃんと反転の核が存在する。
きっと両方を見ると、また大きな反転現象が用意されているはず。そう期待したいっす。

ただ原作に忠実に再現しているためかは分からないけれど、映画として山場とかがない。しかも星条旗の真実もたいしたことがない。いや、たいした事がないってのがウリなんだけれど、なんだかケレン味に欠けていた。戦闘シーンは製作にスピルバーグっが入っていることからまさにプライベートライアンばりの臨場感。グロイ。えぐい。容赦ありません。
砲弾の音響は重要な要素となってるんで映画館で見た方がよいです。

でもここまで言っておいて申し訳ないのだけれど、お話としてはあまりたいした事がありませんでした。
強いて言うならば、次回作『硫黄島からの手紙』への長い予告!!
エンドロールが終わった瞬間、日本語が響く。渡辺謙だ!!
星条旗とは打って変わって、まさに決死の覚悟、玉砕本望、絶対死守。このうえなく熱そう。そして泣き要素満載そう。渡辺謙の「すでにライフルの残弾も底尽きた。生きて本国へ帰れないものと思え。たとえ最後の1人となろうとも、最後まで死守を貫く」みたいな骨肉たぎる台詞。
まさかこのような映画がアメリカから作るとは…。って言いたい。期待します…