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ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【腎癌の著明な増加】難波先生より

2012-06-14 12:39:06 | 難波紘二先生
.【腎癌の著明な増加】ある先生から、「米国における腎癌の年度別発生数と手術方法の変化」についての、PPTスライドを送っていただいた。これを見ると1992年の約4,000件から 2007年の約14,000件と、15年間に3倍以上に急増していることがわかる。〔添付)2MBあるので、軽くするためJPEG画像に変換してある。


 2002年以後の腎癌が全摘される実数を見ると、年間約7,000件で、2007年まで、この数は横ばいである。ところが「腎癌全体に占める腎切除術の割合」を見ると、1993年の88.3%から2007年の57.7%へと大きく下がっている。
 これはどういうわけだろうか?


 「がんの発生率増加」には「真の発生増加」と診断技術の向上による「発見率の増加」によるものとがある。日本には世界のCTの半分があるといわれ、何でもかんでもCTを撮影するから、小さながん(多くは放置しても無害)まで見つけてしまう。1975年に英国のEMIが開発したCTが、アメリカの国立癌研究所(NCI)にアメリカで初めて導入されたとき、「将来は病理解剖が不要になる」とまでいわれた。しかし、米国では日本ほどCTは普及しなかった。


 下のグラフを見ると、部分切除率が75%と圧倒的に高いのは、直径2cm以下の「微小腎癌」である。これはCTなど画像診断の普及と向上による「発見率」の上昇を示唆する。
 こういう二次データを比べる場合は、「発生率」、「診断率」などを考慮しないと、つい数値に騙されるから注意が必要だ。


 しかし、日本移植学会や泌尿器科学会の「直径4cm以下の小径腎癌は部分切除が国際的に標準手術となっている」という主張は、2007年時点で、「3.0~3.9cmの小径腎癌で40%、2.0~2.9cmの場合58%」しか部分切除されておらず、2cm以下の場合にやっと75%が部分切除されている、というデータを見れば、大ウソであることが明白となる。


 部分切除論者のキャンベルがいうように、「部分切除可能な腎癌はトータルで約50%」という数値は現実的な数値ではないかと思われる。そうすると米国でも全摘されている年間約6,000この腎臓を、「何とか移植に使えないか」という議論が出て来るのが当たり前で、「第三の移植」という概念はすでに支持されているし、これからもトライ・アンド・エラーで米国に広まって行くことだろう。


 見ているがいい。そのうち「米国で行われているよい方法だから」と、「最新輸入の技法」として売り出すやつがきっと出てくる。それほど日本人は、同じ日本人が生みだしたアイデアを評価するのが下手(いや)なのである。

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