前回に引き続きスタンダール「恋愛論」からの「12世紀の恋の法典」の引用である。
第21条 真の嫉妬により愛情は常に増す。
第22条 疑惑、およびそれより生ずる嫉妬によりて愛情は増す。
第23条 恋に悩むものは少なく眠り少なく食す。
第24条 恋する者の行為はすべて愛する人を思うに終わる。
第25条 真の恋は愛する人に喜ばると知るもののほか良きものを見出さず。
第26条 恋は何ものも恋に拒み得ず。
第27条 恋人は愛する人を愛(め)でて飽くことなし。
第28条 恋人は単なる推測によりて愛する人に不吉なることを疑う。
第29条 過度の快楽は恋の発生を妨ぐ。
第30条 恋する者は孜孜として中断することなく恋する人の姿を思う。
第31条 一人の女が二人の男に、一人の男が二人の女に恋さるるを妨げる何ものもなし。
これで、「12世紀の恋の法典 全31条の終了である。
第26条の意味はやや不明であるが、それ以外は私達のこの21世紀でも何もかわることがにような気がする。
ところでわからないのは、「法典」というがこの「法典」はどういう場合に用いられたのかということである。
スタンダールはつづけてある法廷の判決の主文を挙げている。(つづく)
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