この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

#762 スタンダール「恋愛論」(大岡昇平訳)2 (12世紀の恋の法典1)

2012年02月15日 | フランス文学

前回に述べた スタンダール「恋愛論」(大岡昇平訳)新潮文庫には、スタンダールの「恋愛論」の本論に付属して、「付録」と「浦遺」という名のものがさらについている。いずれもスタンダールの手になるものとのことである。

「付録」(340~350ページ)の中に「12世紀の恋の法典」というものが引用されており私の目をひいた。

実に興味深いのでここにも引用させて頂くことにしたい。

 12世紀のフランスに「恋の法廷」というものがあり、そこで「恋の法典」にもとずき議論がたたかわされたというのである。(原文は片仮名を使っているが、ひらがなになおさせて頂いた。)

「12世紀の恋の法典(全31条)」

第1条 結婚の申立ては恋に対抗する合法的弁明たり得ず。

第2条 隠し得ざる者は恋し得ず。

第3条 何人も同時に二つの恋をなすを得ず。

第4条 恋は絶えず成長するかまたは減少す。

第5条 暴力をもって恋仇より奪える恋は味わいなし。

第6条 男子は通常成年に達せざれば恋せず。

第7条 恋人の一方死せるときは、他方は二年寡居す。

第8条 何人も十分以上の理由なくして恋する権利を奪わるることなし。

第9条 何人も愛の自信(愛さるる希望)なくして愛するを得ず。

第10条 恋は通常貪欲にして家を追わる。

(第10条以下は次回掲載予定。全31条)

 

なるほど、この法典からすれば、私が学生時代に遠くから美しい女子学生に憧れたのは、憧れるだけならともかく、恋となるには、第6条、第8条で何とか私の権利は保護されているが、第9条でひっかかりやめざるを得なかったということのようである。 (次号につづく

 

画像:筆者撮影

 


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