この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

# 489 スタンダール「赤と黒」

2008年06月17日 | フランス文学
私は3年半前にこのブログをは始めた時に、一番早くとりあげたかった本の中にスタンダールの「赤と黒」があった。しかしそれから3年半たった今もまだ取り上げていない。

フランス文学のこの小説は私は高校を卒業したてのころ読んだ。そしてとても面白かった。何度も熱中して読んだ。

その頃、河出書房が世界文学全集を出していた。それには紙の質の良い本格版と紙の質が悪いが、廉価のものと2種類のものが売られていた。勿論私が買ったのは廉価版の方である。

本論とははずれるが、この本は私は御茶ノ水駅の近くの書店で買った。今でも覚えている。私が志望大学の受験に失敗して東京の予備校に通うために東京に出て来たばかりの時であった。書店でこの本を買って外に出たら、向かい側の歩道に同年くらいの女の子を連れて歩いている男子学生が見えた。受験の時に同じ部屋で受験した学生だ。どうも大学に合格していたらしい。その時の18歳の私の痛切な何とも言えない思いを今では懐かしく思い出す。

その後、私はEveryman’s Libraryの英訳本を買った。金もあまりなかったので、上下のうち上だけを買ったのだが、いまだに下は買っていない。

大学に入って2年目から私はフランス語も第2外国語として勉強するようになった。そしてフランス語の原文でも読んで見たいと思って、薄いテキスト本のようなフランス語版も買って持っている。

フランス語の原文でもポケット版の全部入っているものも買った。それも持っている。

このブログに載せるからには、私がとても好きで何度も読み返している、主人公のジュリアン・ソレルが夏の夜、レナール夫人の手を始めて握る場面を日本語、フランス語、英語の翻訳と3つ並べて載せたいと思った。

そして、本の画像も、私が始めて買った廉価本の本をのせたかった。

しかし、日本語、英語、フランス語とスキャンするのも、時間がかかるし、最初買った廉価版は今本棚のどの辺にあるかわからないし、(というのは、今すぐ取出して読んでいる「赤と黒」はその後、河出書房新社が豪華版として出版した「赤と黒」である。大きな本で挿絵もふんだんに入っている。)

スタンダールといえば、教養課程での私のクラスで、スタンダールの「恋愛論」をテキストとして教わったことがある。Crystalisasion という言葉をその通りだと納得したものである。結晶化と訳すのであろうか。本当に恋愛はどんな相手も好きになった相手を結晶化し美化してしまうものらしい。

「赤と黒」のジュリアン・ソレルの曲折した気持はよく理解できる。
小説の中なのに私はレナール夫人のやさしさに夢中になったものである。
古いフランス映画ではジュリアン・ソレルはジェラール・フィリップ、レナール夫人はダニエル・ダリューが演じそこそこ良かったのだが、私の中にはすでにしっかりとしたジュリアン・ソレルやレナール夫人の像ができていてびくともしなかったのであった。

まだこのブログに「赤と黒」について書いていない言い訳のようなことになってしまったが、なるべく早く時間をとって準備してこの作品について書いて見たいと思っているのである。 (おわり)


画像:筆者撮影

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