日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

関東一円はしご酒 2017晩秋 - ベンガル

2017-10-28 19:50:01 | B級グルメ
今回も心ゆくまで呑むという目的は果たされました。「中央酒場」と「銀次」の他にも名酒場がひしめく横須賀ではありますが、酒はもういいという気分であり、別腹といえるものしか入りそうにはありません。そのようなとき世話になっているのが京急川崎の「八たん」であり、今回も立ち寄るには過不足のない時間が残りました。しかしこの期に及んで、またも趣向を変えたい気分になりました。「銀次」のある小路から出たところにあるカレー屋が気になっていたのです。「八たん」に対する未練はありながらも、思い立ったが吉日と見て飛び込みます。立ち寄るのは「ベンガル」です。
横須賀で「海軍カレー」なるものが売り出されたのはいつ頃からなのでしょうか。海軍でカレーが代々受け継がれてきたのは事実だとしても、一般市民の間で「海軍カレー」なるものが食されていたという話は聞いたことがありません。流行に便乗して作られたのが明らかだけに、平仮名交じりの幟を掲げる店には一切目もくれませんでした。そのような中、この店が目に留まったのは、Since1971という看板の文字と、古びた店構えに看過しがたいものがあったからに他なりません。世間が騒ぎ始めるはるか前から続いてきた老舗が、どのようなカレーを出すかに興味があった次第です。

「カリーすなっく」を標榜する通り、ギターを半分に割ったような特徴ある形のカウンターを中心にした店で、インドの寺院の壁画風に仕立てられたエッチングの壁が贅沢です。
ルーと辛さと具材で相当数の組み合わせができるのは、創業当時からなのでしょうか、それとも後発の全国チェーンの影響なのでしょうか。ただし、無闇に数が多いわけではなく、ポーク、チキン、ビーフ、ドライの四種類を基本に、それぞれにつき辛さが二段階選べる仕組みになっており、具材もジャーマンソーセージ、エッグ、チーズ、ハンバーグの四種を基本に、野菜、魚介が数種という構成で、どれが基本なのかはある程度察しがつきます。初見ということもあり、基本のポークカリーを辛口で注文し、それにジャーマンソーセージを組み合わせました。
ご飯を斜めに盛り付けて、空いた部分にカレーをかけるのが当店流。楕円の皿に深さがあり、しかもご飯がやわらかめに炊かれているため、見た目以上に物量感があり、これなら空腹時にいただいても満腹になれそうです。呑んだ後の〆にはいささか重く、息切れしつつどうにか完食という結果でした。
見た目こそありふれてはいるものの、さわやかな香辛料の風味は家庭で容易に再現できるものではなく、時折無性に恋しくなる中毒性を持っていそうな味わいです。切れ目なく入ってくる地元客の姿からも、根強い人気が窺われます。カウンターと厨房を仕切るおばちゃん達の立ち居振る舞いも気持ちよく、半世紀近い歴史は伊達でないと実感させてくれる名店でした。

カリーすなっくベンガル
横須賀市若松町1-9
046-825-8877
1100AM-2100PM(LO)
月曜定休
ポークカリー550円
ジャーマンソーセージ150円
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関東一円はしご酒 2017晩秋 - 銀次

2017-10-28 18:27:08 | 居酒屋
十分な腹ごなしをして「銀次」に臨みたいのはやまやまながら、この雨では時間をやり過ごすのも容易ではありません。加えて、帰りが遅くなると2100形の運用が終わってしまい、かなりの高確率で安普請の規格型車両が来るのが分かっています。六時半が迫ったところで飛び込みました。

「中央酒場」については毎度細々したことを書き留めるのに対して、こちらの記録は手短に済ませることが多くなってきました。これは、めくるめく展開の連続という点では「中央酒場」に軍配が上がるからです。隅々まで周到に設計されたカウンター、そこで働く人々の立ち居振る舞い、工夫を重ねた酒肴から、酒の注ぎ方一つに至るまで、何回足を運んでも、新しい発見が毎回一つや二つは出てきます。これに対して「銀次」の場合、有り体に言えば今更書くべきこともなくなってきたというのが実情です。
しかし、逆説的な物言いではありますが、変わらないことを楽しむのも居酒屋の真髄です。細々したことを気にせず、無念無想で呑めるのは、理想の境地に到達したということでもあります。建築当時から何一つ変わらないであろう、広々した造りの店内で酒を酌むひとときは、自分にとって何物にも代えがたい時間なのです。

今年は一月六月に今回と、三度にわたって横須賀を訪ねることができました。去年は初夏の一回限り、一昨年に至っては年末まで機会を作ることができず、結局「銀次」に行く機会を逃したことを考えると、三回足を運べたのは上出来だったともいえます。先日博多を訪ねたとき、空白の一年を作ることがいかに大きな損失かを思い知らされました。来年も必ずここへ戻ってきたいものだと思います。

銀次
横須賀市若松町1-12
046-825-9111
1600PM-2300PM
土日祝日定休(第四土曜営業・翌週月曜休業)

酒二合
お通し(糠漬け)
あじ刺身
にこみ
ぬた
イワシフライ
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関東一円はしご酒 2017晩秋 - モスバーガー金沢八景店

2017-10-28 16:35:41 | MOS
「中央酒場」を出た後は、岸壁で風を受けつつ腹ごなしをするのが常のところ、この雨模様ではそうもいきません。その代わり、このようなときでもなければ行きようのない場所が残っています。しばし電車に揺られて金沢八景のMOSを訪ねました。
若かりし頃は、全国津々浦々のMOSを片っ端から訪ね歩いたものです。しかし、MOSの店舗がすっかり安普請に成り下がってからというもの、新規のMOSを訪ねる機会は激減し、古きよき店舗を訪ねるのが主題となって現在に至ります。三年前、金沢八景の駅前に開店したと知ったときも、横須賀への経路上にありながら、立ち寄ってみたいという意欲は起こりませんでした。近年開店した都市部の店舗の味気なさからして、この店舗についても推して知るべしだったからです。それが今回、他に使い道がないという消極的な理由により、ようやく立ち寄る機会を得たわけなのですが、結論からいえば見事なまでに予想通りでした。
まず、天然木との落差がとりわけ際立つ、白木「調」で統一された内装が残念です。ノートPC一台置けば埋まってしまう、幅を極度なまでに切り詰めたテーブルもいただけません。MOSの店舗の品質にようやく下げ止まりの兆しが見られる中、最悪期の造りが見事なまでに集約された店内は、見るに堪えないものがあります。しかも嘆かわしいのは、この店舗が駅前の再開発によって建て替えられた、見るからに安っぽい集合住宅の一階にあることです。上の階に白木屋が入居していることからしても、安く造って安く貸し、古くなったら建て替えるという使い捨ての発想が根底にあるのでしょう。
煉瓦風のタイルの壁を長方形にくり抜いて、そこに小物を置くなどの一工夫は感じられ、駄作と切り捨てるには忍びない部分もあるにはあるのです。それだけに、あからさまな安普請がなおさら惜しい一軒でした。

モスバーガー金沢八景店
横浜市金沢区瀬戸17-16 H&T Bldg
045-782-8860
700AM-2300PM
第5161号
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関東一円はしご酒 2017晩秋 - 中央酒場

2017-10-28 14:35:03 | 居酒屋
最近しばしば語っている通り、昼酒が実は好きではありません。白昼から頭脳を麻痺させてしまうのがもったいないからで、天気がよい日であればあるほどその傾向は強まってきます。見方を変えると、今日のようにどうにも使い道がない天候ならば、昼から呑むにもやぶさかではないのですが。そのようなわけで「中央酒場」の暖簾をくぐりました。

直近二回は店が混み合っており、末席ともいえる玄関の近くの席に甘んじました。しかし今回、二時台という半端な時間に訪ねたのが功を奏し、カウンターには十分な空席があります。その中から選んだのは、中央にある切れ目の左側です。しかし、「隣の芝は青い」の諺通り、こちらはこちらで難点があることに気付いてきます。接客のお姉さんと青年がすぐそばから出入りするため、少々落ち着かないのです。
このことからすると、切れ目よりも奥側のカウンターこそ特等席ということになりそうですが、一番奥ではTVが近くなってしまい、今度はそちらの音が気になってくるかもしれません。以上を総合するに、奥側のカウンターの中程、燗付け場の正面あたりが特等席ということになりそうです。次回に向けての教訓としますφ(. . )

席へ着くか着かないかの間合いで注文を聞かれるのがこの店の常です。これは偏に、大半が手練れの常連という客層故でしょう。阿吽の呼吸は望むところです。すかさずビールを注文し、一呼吸置いてから日替わりの品書きを眺め、その中から刺身を選び、しかる後に牛すじをいただくという流れが定着して久しくなりました。
続いては天ぷらを注文するのが定跡のところ、今回は何故か趣向を変えたい気分でした。念頭にあったのは短冊の品書きにある「とりからあげ」です。文字にすれば何の変哲もない品を、この名酒場がどう仕上げてくるかに興味があったとでも申しましょうか。しかして運ばれてきたのは、一見するとスーパーでも買えそうな唐揚げで、見た目に関する限りちゃんぽん亭のそれには及ばないものの、こちらはこちらで悪くありません。カリッと揚げた衣の食感と、鶏肉に染み込んだ複雑玄妙な香辛料の風味は、ご飯のおかずというよりも、明らかに肴としていただくことを前提にしています。意表を突くユッケ風の鰯たたき、王道を行く厚焼き玉子を含め、どの品も研究の跡が窺われる力作でした。

中央酒場
横須賀市若松町2-7
0468-25-9513
1000AM-2230PM
日祝日定休

一番搾りプレミアム
ホッピー
菊正宗
いわしたたき
牛すじにこみ
とりからあげ
あつやき玉子
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関東一円はしご酒 2017晩秋 - 出発

2017-10-28 13:57:04 | 関東
自覚する以上に旅の疲れが残っていたのか、昨日はいささか集中力を欠きました。今朝も寝坊をしてしまい、ようやく出発したところです。早起きできれば「中央酒場」で朝から呑み、横浜に寄ってから夕方「銀次」で呑み直すという芸当も可能だったところ、あいにくそこまでの時間はありません。横浜はまたの機会ということになりそうです。
台風の接近が当初の予想よりも遅れているのか、今のところ時折小雨が降る程度で、傘の出番はありません。最新の予報では雨風ともに明日の未明から朝にかけてが峠となるようです。的中すればさほどの影響を受けずに済むかもしれません。
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