森田宏幸のブログ

Morita Hiroyukiの自己宣伝のためのblog アニメーション作画・演出・研究 「ぼくらの」監督

「ドラえもんのび太の人魚大海戦」で知人の作画監督がいい仕事をしていた

2010年05月15日 12時37分40秒 | 監督日記
 森田宏幸です。
 今日は2010年5月15日です。

 前々回書いたとおり、「ドラえもん」 について書きます。

 実は私は、今年公開された映画「ドラえもん のび太の人魚大海戦」(まだやってる映画館ありますね)の原画をやっていた。去年の暮れから1月にかけて。ほんの20カットぐらいですが。スタジオには入らず自宅でやりました。

 中盤、しずかが透明な球体に閉じこめられて気を失うあたり。その前後。とくに目立ちません。コンテに忠実に丁寧にやりました。アニメーター歴23年にして、ついにドラえもんを描いた。
(去年から先日までずっとかけもちで遅らせた某劇場映画の関係者の皆さん、浮気しててごめんなさい!)

 引き受けたのは、親しい知人が作画監督だからでした。栗尾昌宏(くりお まさひろ)さんと、浅野直之(あさの なおゆき)さん。浅野君は「ぼくらの」の作画で活躍していた若手です。今回なんと総作画監督です。栗尾さんは、私が演出・監督した仕事のすべてで原画をやってくれているという恩人。
 二人がやっているから、どんなドラえもんになるか楽しみだったのですが、これがなかなかよかった。

 キャラの感じがとてもよくて、感じのいい絵が描けるというのは、宝ですね。作監は二人だけじゃないので、彼らだけ誉めるのはほんとは違うのですが、中心的な役割を果たしたと聞いているし、よく知っているので、ひいきかも知れませんが。

 それで、goo映画(http://movie.goo.ne.jp/ranking/boxoffice/20100406.html)によるとこの映画、公開開始以来、5週連続興収1位でした。これもすごい。アバターを押しのけたりしてたんですよ。

 聞くところによると、二人の仕事は手際がよくて、スケジュールがとても順調だったらしい。スケジュールが予定通りおさまれば、宣伝も腰をすえて打てるというもの。予告編に、物語後半の、主人公の人魚のお姫様が凛々しく動くショットが使われていて、期待を感じさせてくれてました。完成が遅れると、こうした予告編にはならない。
 質に妥協はあったかも知れないけれど、順調だったスケジュールと感じのいい絵の合わせ業で、成功したように見えました。

 ところで、見ている人なら分かると思いますが、最近の劇場版のドラえもんは線が太くて、絵の印象が強く、しかもよく動くんですよね。
 このスタイルを作り上げたのは、「ドラえもん のび太の恐竜2006」の、渡辺 歩(わたなべ あゆむ)監督と作画監督の小西 賢一(こにし けんいち)さんです。

 小西さんは、ジブリのアニメーターで、私も原画をやらせていただいた「となりの山田くん」の作画監督ですが、「ぼくらの」のキャラクターデザインも担当してくださいました。
 私は渡辺監督とは面識がありませんが、「ドラえもん」を変えることが、日本「アニメ」の未来を作る、、、というような、
大きな志で、お二人が仕事に取り組んでおられたと、当時、人づてに聞いていました。

 今回、私が「ドラえもんの原画をやっている」と周囲に話すと、「すごいですね」と言われることが多かった。毎年必ずヒットしてるし、内容も多くの人に愛されている。文化的価値も含めて、「日本アニメ」の看板なのだなと実感しました。
 なので、今さらですが、渡辺監督と小西さんの野心がよく理解できました。その功績が栗尾さんと浅野君の仕事に繋がったわけです。

 ただ、これは一観客としての感想ですが、「人魚大海戦」は、コンテ・演出がうまくいってないのが残念でした。あとCGも。一番安易なCGの使い方をしていたような。。。
 私はスタジオに入らないで原画をやったので、内容についてくわしいことは知らない。以下は、あくまで一観客として映画館で見た上での感想ですが。。。
 脚本の構成は、骨太で、よいのではないかと。人魚のお姫様の成長を描く話です。でも登場して最初から、このお姫様が何を考えているのか分からない。絵に魅力があっただけに、演出は残念でした。
 あと、しずかがピンチに陥った時、色気づいた声で「いやん」という。あれもどうかと。小学生の子供ですよ。「いやん」などと言うでしょうか? 映画館は、ほとんどが子供と子供を連れたお母さん方でした。いったい誰を喜ばせるための演出だったのでしょう? 見ていて気まずかった。あと、そのしずかに気に入られようと媚びたり照れたりして、頬を赤らめるジャイアンも見たくない。ガキ大将らしくしていて欲しい。
 コンテ撮で仮の声を吹き込んで、全体の流れをチェックするなど、制作システムの工夫で良くなるのではないかなぁ。安定ヒットして、作画も比較的いい条件で作られている作品なので、次はもっとよくなって欲しいと期待します。

 今日はこれで終わりです。
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1 コメント

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Unknown (通りすがり)
2011-06-07 17:46:23
コンテがうまくいっていなかったんですか…。

たしか、コンテ、演出は楠葉監督でしたね。ベテランの方のようですが、ドラえもんは難しいのでしょうか?

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