森田宏幸のブログ

Morita Hiroyukiの自己宣伝のためのblog アニメーション作画・演出・研究 「ぼくらの」監督

ハリウッドのVFXクリエーター

2010年04月05日 02時09分16秒 | 監督日記
(写真↑ 香港は空気が悪かった・・・)

森田宏幸です。
今日は2010年4月5日です。

沖縄から帰ってきて、もう一週間か。
仕事に追われてあっという間だ。やれやれ。
香港~沖縄でのことをもう少し、書いておきます。

三橋 忠央氏(マトリックス3、ベンジャミンバトン、ライティング専門)と坂口 亮氏(デイアフタートゥモローでアカデミー科学技術賞、2012)というハリウッドの、第一線のVFXクリエーターと親しくさせていただきました。
2012のニューヨークの崩壊シーンとか、マトリックスのアクションシーンだとか、ベンジャミンバトンの顔の造形だとか、作った人たちです。
高度な専門分野を極めておられる。
日本のように、あれこれ兼ねて、からめ手で仕事をするのとはハリウッドは違うらしいです。

お二人とも、ずっとアメリカで暮らしていて、堂々とした英語を話し、卑屈な態度が一切ない。でいて、私より若いのだから。恐れ入るばかりです。
同じ英語でも、欧米の社会でオフィシャルに通用する英語を話せる人は、日本人ではなかなかいないらしい。
香港では、ビジネスの関係者向けのパネルディスカッションだったので、
オフィシャルな英語を知っている人たちに、彼らの英語は評判だった。

坂口氏は自身のブログで、英語の使い方や社交のマナーについて、掘り下げて論じておられる。
私もこれから読んで、勉強しようと思います。

http://thinkingabroadjp.blogspot.com/

香港をあとにして沖縄では、一般のお客さん向けのパネルディスカッションで、
フランクに日本語で(笑)、盛り上がりました。
構成を書いた、時川 英之(ときがわ ひでゆき)氏の仕切りと、MCの伊藤さとりさんのおかげです。
坂口氏と三橋氏が持ってきた2012とベンジャミンバトンのメイキング映像は凄かった。

途中で、はんにゃがゲストで出てきてさらに面白かったですが、
はんにゃのお二人が、私たちに、年収はいくら?と質問してきた時は、困りました。
樋口真嗣監督が、ばっちり稼いでます、みたいな態度で親指を立てるし、三橋さんも「欲しいものは何でも買えます」などと、言い始めて、
確定申告を終えたばかりで(笑)ナーバスになっていた自分は
どうしようかと、まじめに慌てました。誤魔化しましたが。

それで、東京に帰ってきて、また集まった時、三橋さんに
「ほんとにそんなに稼いでるのですか?」
と聞いてみた。そしたら、
「そんなわけないじゃないですか」
などとおっしゃいます。
瀬下寛之監督にも、
「マジにとっちゃダメですよ」
と笑われてしまった。

まじめにくわしく聞くと、VFXクリエーターは、映画界に新しく生まれた分野なため、比較相対的には、まだまだ低く扱われるのだそうだ。
ギルドはあるけれどユニオンはない、とか。
ギルドとは、Janicaのようなもののことですね。
日本のアニメーターに似ているということだ。
(といったって、もっとマシだとは思うけど。。。)

それでも、立派に稼いでいるフリをするというのが、
第一線のクリエーターの作法というものなんですね。
いや、自分はとても、その域にはいけない。。。

東京での打ち上げのあと、飛び入りでファンボーイズのパーティーに参加したら、
伊藤さとりさんがブログに写真をアップしてくれました。
二番目の写真。樋口さん、伊藤さん、瀬下さん、カイル・ニューマン監督、三橋さんが写ってます。

http://ameblo.jp/satori-ito/entry-10495763891.html

今日はこれで終わりです。
(次はアニメーションの話を書きましょうか。。)
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4 コメント

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Unknown (チョコ)
2010-04-10 14:52:18
坂口亮氏はアカデミー賞を受賞したことでも話題になりましたね。
ハリウッドのCGはまるで魔法のように何でも描けるように見えますが、その裏側では途方もない労働力が必要らしいです。
ただ心配なのは、(日本のアニメーションも同じなのかもしれませんが)膨大な作業を分業化で進める過程で一人一人の人にちゃんとした手当てが行き届かなくなっているのではないか?、ということだと思います。
今回の冗談交じりの会話の中でそういった少しシリアスな問題を感じました。
返信する
でもやっぱり日本のほうがシリアスでしょう (森田)
2010-04-14 09:17:51
チョコさん

そうです。外国人枠じゃないところで、
日本人の30代前半の若者がアカデミー賞ですよ。
すごいですよね。

ご指摘の論点は、
話をひっくり返すことで、深まってくれればと思います。

たいした分業化もしていないのに、
日本ではなぜこんなに報酬が安いの?ということ。

デジタルドメインでは、
2012のニューヨーク崩壊の映像ワンショットに、
10人以上の専門分野のスタッフ(見習いではない)が、
9ヶ月ぐらいの時間をかけるそうです。

それでも、彼ら、
(はっきり確かめたわけじゃないけど)
住んでる部屋の家賃の額や、暮らしぶりからいって、
この私より収入あるように思われます。。
返信する
Unknown (チョコ)
2010-04-15 21:32:49
返答どうもありがとうございます。
日本のアニメはなぜ報酬がやすいのか、あまり詳しく知らないのですがテレビアニメの放送開始当初ものすごい安いお金で売り込まれたから、という話を聞いたことがあります。
あとテレビ局の社員が非常に高給というのも有名な話です。
この落差が問題な気がします。
両者がもっと意見をすり合わせてお金の流通を全体に行き届く形にする必要があると思います。
(などと、一視聴者が口に出してみても行動として実らなければ何の効果もないのかもしれませんが。)
返信する
ルールのある落差はよいのだと思います (森田)
2010-04-18 15:31:11
>チョコさん
視聴者の方にそこまで心配していただいて(笑)、ほんとに恥ずかしい限りです。
でも、こうした問題は一般にもよく論じられる時代でもありますし、
いい機会をいただいたので、もう2,3付け加えさせていただきます。

一般論とはずれるかも知れないですが、大きな責任を負っている人が高給をとるのはいいと思うのですよ。
高い金をとるかわりに、とんでもないタフな目に遭っているということもあるし。
アニメーター(ベテランの人たち)も自らそうした責任を負っていくという方向で考えていくのが前向きだと思います。

あと、手塚治虫がアトムを作ったその制作予算が、そのままのちの予算を決めた、という話はよく語られています。
事実ではありますが、それでぜんぶ納得してしまうことは出来ないですね。
もうそれは40年前の話ですからね。

日本のアニメーターの仕事を考えるとき、技術にお金を払わせる、という発想が絶望的に足りない、と私は思っています。
日本のアニメーションの技術論の確立と、その技術に価値があるのだという啓蒙、
これをやんなきゃいけない、と思ってます。

こういう話は、いずれ改めてちゃんと書きたいですが、
興味を持っていただいて、嬉しかったです。
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