森田宏幸のブログ

Morita Hiroyukiの自己宣伝のためのblog アニメーション作画・演出・研究 「ぼくらの」監督

スタッフの起承転結 その6

2006年10月27日 10時20分20秒 | 監督日記
(その5の続き)  というわけで、宮崎さんが「起」、柊さんが「転」と「結」で、私が「承」を勤めた。と、そういうことである。では「猫の恩返し」の「承」とは、どのような仕事だったのか?  まず私が最初に当たった壁は、主人公ハルに、劇的な欲求がないということだった。  柊さんは、「耳をすませば」の月島雫とは違う新鮮さを「猫の恩返し」のハルに求めたらしい。雫が小説家になりたいとまじめに自分を追いつめる特別 . . . 本文を読む
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スタッフの起承転結 その5

2006年10月21日 02時55分04秒 | 監督日記
(スタッフの起承転結その4のつづき)  けれど、作ってる時はそうは思っていなかった。自分の手によって、少女漫画を「アニメーション映画」に育ててやろうと思っていた。  たとえば、主人公のハルは長身に見えるけれど、内股で肩をすぼめているポーズが印象的だったので、「無意識に自分を小さく見せようとしてしまう子」「背は高いけど腰は低い」という設定にして、落ち着きのないちょこまかした動きを肉付けした。ただし . . . 本文を読む
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スタッフの起承転結その4

2006年10月14日 05時29分01秒 | 監督日記
(スタッフの起承転結その3の続き)  たとえば「猫の恩返し」で、柊あおいさんの原案をもとに、私が最初に提案した構想は、 「主人公の女子高生ハルはプチ家出少女で、猫の国に囚われの身になって初めて、自分の帰るべき家と家族を悟る」 というものだった。今思えば、こんなアイディア通るわけがない。  企画の枠組みというものがまるで分かっていなかったのだと思う。9月9日「スタッフの主と従」に書いたように、「森田 . . . 本文を読む
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スタッフの起承転結 その3

2006年10月03日 02時54分14秒 | 監督日記
(スタッフの起承転結 その2のつづき)  小説や漫画は動かないけれど、アニメーションは動く。そもそも、その表現媒体の変化があるのだから、「転」は必ず備わるはずだ。アニメーションの作り手が躍動感のある動きの造形を担うなんて当たり前だろうと言われるかもしれない。しかし、それが違う。  かつて、小説と漫画とアニメーションの関係は、今よりずっと離れていたかもしれないけれど。  宮沢賢治や太宰治や夏目漱石 . . . 本文を読む
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